さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その51「モガミプレジデントの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MilkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 モガミプレジデント(JPN)→2002年1月1日、用途変更

 1985年生。父は、Sir Ivorの初期の代表産駒サーペンフロ。同馬は現役時代にガラニュールS(愛GII)、デズモンドS(愛GIII)を制し、愛ダービー(愛GI)3着。種牡馬としては日経賞(GII)勝ち馬ランニングフリーNHK杯(GII)勝ち馬トーワトリプルなど、タフで渋い名脇役を多数輩出した。

 母は、南関東で17戦11勝し、船橋クイーン賞を2着したホースメンリーダー。母父のフォルティノは、種牡馬として直仔から仏2000ギニー(仏GI)勝ち馬Caroや、毎日王冠(GII)勝ち馬シービークロスを出し、母父としてもダービー馬サクラショウリを輩出して成功している。また、半兄に神戸新聞杯(GII)を勝ち、マイルチャンピオンシップを3着したダイゼンシルバーがいる。

 バブル時代に一世を風靡した「最上恒産」社長・早坂太吉氏の所有馬としてデビュー。旧4歳1月の京都開催の新馬戦を、2着に1.5秒差を付ける大差で圧勝。しかし、2戦目のさわらび賞で10着と大敗し、その後脚部不安もあって北海道競馬に移籍。1年3ヶ月ぶりとなった復帰戦を1.4秒差で圧勝。その後も脚部不安と闘いながら出走し、北海道競馬で5戦3勝(JRAからの通算7戦4勝)の成績で引退した。

 現役引退後は、生産牧場の鎌田牧場で種牡馬入り。さすがに、多くの交配相手を集めることはなかったが、鎌田氏の執念が実り、数少ない産駒のなかから葵S(OP)、札幌日刊スポーツ杯(OP)を勝ち、クリスタルC(GIII)4着、GIの高松宮記念にも出走したオープン馬ザゴールドを輩出した。

 残念ながら、その血は途絶えてしまいそうだが、現役時代に脚部不安で発揮できなかった潜在能力の高さの一端を見せることができたのは幸運といえるだろう。