さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その38「ファイヴナカヤマの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 ファイヴナカヤマ(USA)→2002年9月1日死亡

 1991年生。父はHaloの直仔で、現役時代にシャンペンS(米GI)、ローレルフューチュリティ(米GI)を制して米最優秀2歳牡馬となったDevil's Bag。後に名マイラータイキシャトルを輩出して名を挙げている。母はNijinsky牝馬のSuspend。

 旧3歳暮れの中山開催でデビュー。開催初日から三連闘も3、11、2着と勝ちきれなかったが、明け旧4歳となった初戦のダ1200mを7馬身差で圧勝。またも連闘で臨んだダ1200mの500万下も人気に応えて連勝。

 オープン入り後は番組の関係で芝のレースに挑み、芝適性に不安を抱えながらも、持ち前のスピードをフルに発揮。菜の花Sで朝日杯3歳S(GI)2着馬フィールドボンバーの2着、クリスタルC(GIII)、NZT4歳S(GII)が名牝ヒシアマゾンの4、5着と堅実な走りを見せた。

 夏場を休養に充て、自己条件からの再スタートとなった秋は、3戦目の鷹巣山特別で待望の芝初勝利(ちなみに2着は後の高松宮杯GI勝ち馬シンコウキング)。昇級後2戦は14、10着と苦戦も、年が明け旧5歳初戦、ダート1200mに戻ったサンライズSで13番人気ながら2着と激走。続く春望Sは出走取消となってしまい、しばし休養。

 休養明け後は900万下に降級。2戦目の飯盛山特別を10馬身差で圧勝すると、余勢を駆って格上挑戦したオープン特別の関越Sも後のアンタレスS(GIII)2着馬スピードアイリスをハナ差抑えて2連勝を遂げた。

 しかし、このレースがピークだったのか、その後はオープンで頭打ちのレースが続いた。暮れには何とステイヤーズS(GIII)に出走したものの、案の定というのか勝ち馬から8.2秒差の大差シンガリ負け。以降も不振が続き、旧8歳時には障害に転向したが、こちらも4戦して勝ち切れず、ついに現役を引退することとなった。通算成績は35戦5勝。

 引退後は、父がタイキシャトルと同じDevil's Bag、母系も同じNijinsky系(タイキシャトルの母父はNijinsky直仔のCaerleon)という血統も評価されたのか、九州で種牡馬入りした。ちなみに供用先は、現役時代に同馬を管理していた吉永正人調教師の実家、吉永ファームだった。

 昨年産駒がデビューし、父と同じ吉永正人厩舎からデビューしたイチライファイトが勝ち上がった。九州で供用される種牡馬としてはかなりの良血の部類に入るだけに、今後に期待がかかるところだったが、残念ながら死亡してしまった。2年目の産駒も、リンカネイションが既に夏の小倉で勝ち上がっており、九州産馬限定戦での活躍が期待できそうだ。