第46回宝塚記念(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 今年も夏のグランプリ、宝塚記念(GI)が目前に迫ってきた。今年は、昨年に続く連覇を狙う大ベテランタップダンスシチーと、昨年の年度代表馬であるゼンノロブロイの二強が激突。今季春の中長距離路線がやや低調だったこともあり、巷間の見方はこの2頭の一騎打ちムードのようだ。果たして、二強で決まるのか、割ってはいる馬がいるのか、興味深い一戦となった。

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 まず予想の上でポイントとなるのは、やはりゼンノロブロイタップダンスシチーの二強の扱いということになるだろう。

 記者の見立ては◎タップダンスシチーを中心にとる。8歳という年齢を不安視する向きもないではないが、現に昨年の暮れの有馬記念(GI)では遠征帰りでようやく間に合ったという感じの仕上がりながらも、緩みないペースでレースを作り、レコードに僅差の2着。そして今季初戦も年齢・休み明けを全く感じさせない貫禄の勝利と、ここへ向けて不安な要素は見出しがたい。しいて言えば前走の金鯱賞(GII)が平凡な時計と内容だったことは気にかかるが、元来が叩き良化型ではあるし、中間の調教も抜群とのこと。昨年同様の大外枠を引き、内の馬の動きを見ながら競馬ができる点もプラス。よほどのことがない限り勝ち負けとなるだろう。

 一方のゼンノロブロイはやはり休み明けというのが気にかかる。現にこの馬自身休み明けは4戦1勝。負けた3戦も2着2回3着1回(3歳時の有馬記念)なのだから、そうも悪くはないのだが、2着の2戦は日経賞(GII)と京都大賞典(GII)で、伸びそうで伸びずのいかにも取りこぼしという内容だったのがどうか。今回は休み明けといってもGIだけに、そうも中途半端な仕上げでは臨まないだろうが、現に万全の仕上がりといわれた同厩の先輩のシンボリクリスエスも、2年前のこのレースで人気を裏切るまさかの5着。他にも休み明けで宝塚記念に臨んだ馬はどうにも成績が上がっておらず、人気のほどの信頼度はないと見て、今回は思い切って軽視したい。

 そこでタップダンスシチーの相手候補に抜擢したいのは○ビッグゴールドだ。昨年まではいかにもワンパンチ足らないGIII級の馬という印象が強かったが、今年に入って急激に良化。オープン特別を連勝して臨んだ天皇賞・春(GI)でも2着と大健闘。しかも、勝ち馬にはうまくしてやられただけで、早め先頭からの横綱相撲は内容的には勝ったに等しいものであろう。天皇賞・春の前に連勝しているように、阪神コースに変わることは全く問題なし。天皇賞・春でも見せたように、控えても競馬ができるだけに、展開面はそれほど心配しなくてもいいだろう。さすがにタップダンスシチーを負かすのは難しいだろうが、粘り込みの2着は十分と見る。

 他はいかにもパンチに欠ける印象のメンバーだが、もしも大逆転があるとするならば▲コスモバルクの一発だろうか。近走は全く精彩を欠いているが、これはリズムを欠いた走りで能力が出せていないだけとも見ることができる。阪神コースは2歳時にラジオたんぱ杯(GIII)を制したコースでもあるし、2200mは抜群のタイムでセントライト記念(GII)を制した距離と、嵌まればここでも激走の可能性はあるはず。とにかく、位置取りにこだわらず馬の気分に任せた走りができれば、大逆転まであっておかしくはないはずだ。

 △トウショウナイトは、ここへきての成長著しく、タップダンスシチーはともかく、2着争いまでなら能力的には十分足りそう。ただ、阪神コースが初めてというのは引っかかるし、2200mはこの馬にはちょっと短いかなという印象は否めない。勝ち負けするには展開の助けとある程度時計がかかることが必要と見て、押さえまでの評価に。

 △スイープトウショウは、前走の安田記念(GI)で2着と復活を示すとともに、牡馬相手でも通用するところを見せた。宝塚記念と相性がいい安田記念上位組みだけに、あまり軽視するのも危険と思う。ただ、この馬自身、阪神コースでは切れ味が鈍る印象があり、現にこのコースでは4戦1勝3着1回と一息の成績。タップダンスシチーが厳しい流れを作りそうなだけに、前崩れに乗じるシーンも考えられそうだが、末脚不発の可能性もそれなりに高いと見て押さえまでの評価とする。

 以下はいかにもここではパンチ不足という面々で、しかもここへきての変わり身もあまり期待できそうにないだけに、勝ち負けまでは苦しいのではないかという気がする。昨年2着のシルクフェイマスが強いて言えば不気味だが、雨が敗因の京都記念(GII)、天皇賞・春は度外視できるとしても、前走の金鯱賞がいかにも物足りない内容。どうも全盛期の力が発揮できていないと見て今回は見送ることとする。