BTCによる平成17年度引退名馬繋養展示事業助成対象馬の件

 少々旧聞に属する話題だが、BTC軽種馬育成調教センターが実施している「名馬の年金」こと引退名馬繋養展示事業の平成17年度助成対象馬一覧が、2月7日現在の情報として公表されている。

 この「名馬の年金」助成対象馬となるためには、(1)中央競馬重賞勝ち馬であって、(2)種牡馬登録・繁殖登録・乗馬登録いずれも抹消されており、(3)一般公開されている引退馬であることがが条件とされている。助成対象馬は142頭で、その中には今年度から助成対象に新しく加わった馬37頭が含まれている。【BTC軽種馬育成調教センター

 ただし、この「名馬の年金」こと引退名馬繋養展示事業の助成対象に加わったということは、確かに繁殖登録は抹消されたものの、繋養先が公表された上に一般見学も可能であることを意味するので、引退馬の余生としては恵まれた部類に属することを幸いとすべきなのだろう。

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 この結果、少なくとも2005年2月7日までに、イナリワン(牡21歳)[1989年JRA年度代表馬]、ネーハイシーザー(牡15歳)[1994年天皇賞・秋(GI)]、グルメフロンティア(牡13歳)[1998年フェブラリーS(GI)]の各馬が、種牡馬を引退していたことが新たに判明。また、メジロラモーヌ(牝22歳)[1986年牝馬三冠]、メジロモントレー(牝19歳)[1990年アルゼンチン共和国杯(GII)]、センゴクヒスイ(牝19歳)[1992年新潟記念(GIII)]などが繁殖牝馬を引退したことも明らかになった。

 イナリワンネーハイシーザーグルメフロンティア3頭とも昨年の種付けは行なわれていない。やはり、種牡馬登録が残されていたとしても、繋養先が個人牧場など種付け施設のない場所に移されてしまうと、種牡馬生活を続行することは難しいようだ(仮に種付け希望があったとしても、人手と場所が確保できず、種付けをさせることが物理的に不可能となってしまうこともあるらしい)。特に、グルメフロンティアについては、種牡馬入りに際して画期的なシンジケート・システム「シンジケート・フロンティア方式」を採用しようとしていただけに、その成果を得ることができなかったことが惜しまれる。

 (注) 「シンジケート・フロンティア方式」とは―
  ア) 最初の2年間は個人所有のまま供用され、種付け料を収受する。
  イ) 供用2年目シーズン終了後、シンジケートを結成する。初産駒の仔出しを見ながら、加入を決めることができる点が特色とされる。
  ウ) シンジケート価格は種付料2年分。既に支払った種付け料があるときは、シンジケート代金に充当される。
  エ) 加入希望者の多い場合は公開入札で加入者を決める。
  オ) 公開入札が実施されたときは、満口数目(60口なら60番目)の入札価格がシンジケート価格に改訂される。

 ちなみに、前年に供用停止した種牡馬については、毎年6月頃にJRHR日本軽種馬登録協会から公表されることが通例となっているので、2004年に死亡・用途変更その他の理由で供用を停止した種牡馬の一覧も2005年6月頃に明らかになると思われる。