ジャパンCとジャパンCダートで、改めて注目される! 「SSSS」は永遠に不滅です!

 競馬界の最大のイベントともいえる、ジャパンCジャパンCダートで、改めて注目される永遠の「SSSS(スーパー・サイヤー・サンデー・サイレンス)」の偉大性。「日本競馬を変えたサンデーサイレンスが今なお健在ならば−」というのが競馬関係者、ファンの一致した思いだ。今年のジャパンCも、今は亡きサンデーサイレンスの血の力だけがクローズアップされる展開になりそうだ。(夕刊ミルキー編集委員・シエ尻馬文)

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 11月25日、東京競馬場ジャパンCジャパンCダートが同時開催される。昨年まではジャパンCダートは土曜日だっただけに、G1同時開催の府中は大きな盛り上がりが期待される。

 ただ、競馬関係者の間では、こんな指摘がある。

ジャパンCジャパンCダートでは、迎え撃つ日本勢の層に差がありすぎる。ダートほど層が薄いと、G1と言っても盛り上がらない」

 確かに、ジャパンCジャパンCダートの日本馬たちを比較すると、層の厚みでは大きな差がある。今年も日本勢の勝利が確約されたジャパンCに比べ、ジャパンCダートの出走馬が貧弱すぎるのだ。そのことは、両レースの予想を並べてみるとよく分かる。

 ジャパンCは、天皇賞ゼンノロブロイで鉄板だ。ダービーと天皇賞・春で2着、菊花賞宝塚記念で4着と惜しい競馬を繰り返していた同馬だが、天皇賞・秋での圧勝で、完全にひと皮むけた感がある。ネオユニヴァースリンカーンザッツザプレンティという、春に「4歳四強」を形成した仲間たちは皆故障で姿を消し、日本馬唯一の4歳馬となるが、底力のある強い世代だけに、その世代の頂点を占めた実力は、他を寄せ付けないだろう。

 ゼンノロブロイ以外の古馬たちは、あまり頼りにならない。マグナーテンは8歳馬でいくらなんでもないだろうし、トーセンダンディは、ここ10走で馬券に絡んだのが2戦だけ。前々走のオールカマー優勝が突然変異としか思えない。ヒシミラクルも、もともと幸運に恵まれてのG13勝という感があった上、故障後は完全にただの馬。府中といえば来るというイメージのあるトニービン産駒のナリタセンチュリーだが、実はこの馬、左回りの良績は中京の条件戦1勝だけだ。エルノヴァは、大穴狙いとしては面白いが、一線級相手の2400mは少し長いだろう。

 ゼンノロブロイに迫るとすれば、むしろ未知の実力を持つ3歳馬からだ。今さら3000mという距離は時代遅れの感がある菊花賞だが、ここは菊花賞で崩れて人気を落としている馬を買う。菊花賞で好走するような馬は、府中2400mで通用するスピードはないから、ここは「危険な人気馬」として切るのが正解だ。

 対抗に、先日急死したダービー馬アドマイヤベガと同配合のハーツクライを抜擢する。サンデーサイレンスがあまりに偉大であるがゆえにかすみがちな後継種牡馬たちだが、アドマイヤベガはその本命たりうる器だっただけに惜しまれるが、「死んだ馬の子は走る」の格言を「死んだ馬と同配合は走る」と読み替えれば、この馬がヒモに来る可能性は高い。1番人気ゼンノロブロイとの組み合わせでも、高配当が期待できる。幻の凱旋門賞マンハッタンカフェと同配合のハイアーゲームも面白い。菊花賞デルタブルースは、2400mでは距離不足か。地方出身で話題を読んだコスモバルクは、ダービーと菊花賞でかかりにかかり、話題先行型の底力不足と暴露された。気性も激しく、2400mでは用なしだ。菊花賞2着のホオキパウェーブは、条件戦2勝の身での世界への挑戦は無謀と言わざるを得まい。

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 このようにみていくと、ジャパンCは今年も日本馬の優位が明らかだ。外国馬を見ても、この顔ぶれに対抗できる馬は見当たらない。ところが、ジャパンCダートに視線を移すと、その難解さは一気に増す。

 1番人気はアドマイヤドンだろうが、半兄のアドマイヤベガに比べると、父がティンバーカントリーに代わった分、全幅の信頼が置きづらい。ドバイでは惨敗し、昨年もアメリカの二流馬フリートストリートダンサーに一蹴されたことを考えると、鉄板とはとてもいえまい。

 かといって、他の実績馬を見ても、安定感を欠くタイムパラドックスユートピア、カフェオリンピア級では、やはり買いづらい。ダート競馬の本場・アメリカのトータルインパクトには、とてもかなわないだろう。

 今年の日本馬から買うとすれば、シロキタゴッドランしかいない。2年連続でジャパンCダートに出走となるが、その中で昨年の実績を比較すると、アドマイヤドンに次いでゴールしている。ここ2走は不振にあえいでいるが、衰えの見えるアドマイヤドンよりはよほど夢のある選択だ。

 このように、ジャパンCジャパンCダートでは、「買える日本馬」の層の違いは明らかだ。なぜこんなに格が違うのかを考えてみると、結局「ダートにはサンデーがいない」ことに行き着く。

 先に挙げたジャパンCの有力馬たちは、ことごとくサンデー産駒で占められていることに驚く。日本競馬は、やはりサンデーサイレンスの血の力に依存している、という声には説得力がある。

 今年のジャパンCも、日本馬の大勝利に終わるだろう。しかし、サンデーサイレンス産駒の時代は、サンデー自身の死によってもうすぐ終わりを迎える。果たして、サンデーサイレンスに代わって日本競馬を救うウルトラDは、この世に現れるのだろうか。