ジャパンカップウイークスペシャル 第6回ジャパンカップダート(GI)、第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開 その2〜ジャパンカップダート日本調教馬の分析

アジュディミツオー 牡4歳
[内田博幸騎手、川島正行厩舎(船橋)]
父:アジュディケーティング
12戦5勝 主な勝ち鞍:東京大賞典(統一GI)、東京ダービーJBCクラシック(統一GI)2着

分析:ご存知、昨年の東京大賞典(統一GI)の勝ち馬にして、今年のドバイワールドカップ(首GI)にも遠征(6着)した地方競馬の雄。ドバイから帰国後はさすがに調整に苦労したようで、この秋は日本テレビ盃(統一GII)3着、武蔵野S(GIII)4着と一息の成績。ただ、使いつつ調子は確実に上向いているし、前走は出遅れて追いかける形になった上に、結果的に上位馬がハイペースを利しただけの敗戦。距離延長、斤量減はもちろん大きなプラス。ここ2戦は控える形となってしまって消化不良のレースとなっているが、五分のスタートから本来の横綱相撲ができれば、当然勝ち負けになって良い。鞍上の内田博幸騎手には下手に矯め殺しにならないよう、強気の競馬を期待したいところ。(期待度:A)

カネヒキリ 牡3歳
[武豊騎手、角居勝彦厩舎(栗東)]
父:フジキセキ
10戦6勝 主な勝ち鞍:ジャパンダートダービー(統一GI)、ダービーグランプリ(統一GI)、ユニコーンS(GIII)

分析:デビュー以来ダートでは負けなしの6連勝でユニコーンS(GIII)、ジャパンダートダービー(統一GI)、ダービーグランプリ(統一GI)を制し、ついたあだ名が「ダートのディープインパクト」。ただ、その3重賞はいずれも昨年の勝ち時計を大幅に下回っているし、ここ2戦で勝ち負けをしている同世代のサンライズバッカスは、その直前に阿蘇S(OP)で斤量51kgで重賞勝ちのないタイギャラントとクビ差の勝負をしていた馬。少なくとも現時点で古馬の一線級と五分に戦えるレベルにあるのかは半信半疑の面もある。距離延長はプラスの声もあるが、現に2000mを超える距離の経験がなく、2000mも同世代との対戦のみ。父フジキセキという血統からは必ずしも距離延長歓迎という目は見えてこず、これらの不安要素をクリアしてもおかしくはないと思われる反面、人気ほどの信頼性があるかとなるとどうだろうか?(期待度:B)

サカラート 牡5歳
[ランフランコ・デットーリ騎手、石坂正厩舎(栗東)]
父:アフリート
24戦8勝 主な勝ち鞍:東海S(GII)、ブリーダーズゴールドカップ(統一GII)、日本テレビ盃(統一GII)

分析:重賞クラスでは今一つ足りないレースが続いていたが、今年5月の東海S(GII)を逃げ切って重賞初制覇を達成してから一気にGIIを3連勝。ただ、前走のJBCクラシック(統一GI)では折り合いを欠いたこともあって人気を裏切る4着に終った。今回はランフランコ・デットーリ騎手に鞍上強化と勝負気配はありあり。ただ、もともとは気性に難があって揉まれない競馬が条件の馬。フルゲートのGIでの激戦となると、鞍上の腕は不気味でもあくまで伏兵候補までか。(期待度:C)

サンライズバッカス 牡3歳
[佐藤哲三騎手、音無秀孝厩舎(栗東)]
父:ヘネシー
10戦5勝 主な勝ち鞍:武蔵野S(GIII)、阿蘇S、ダービーグランプリ(統一GI)2着

分析:3歳ダート界の夏の上がり馬。4月に未勝利を勝ってから、そのまま4連勝でオープンまで上り詰め、ダービーグランプリ(統一GI)ではカネヒキリに食い下がっての2着。そして前走の武蔵野S(GIII)でカネヒキリを逆転して重賞初制覇。その前走はカネヒキリの出遅れや斤量差が言われるが、サンライズバッカス自身も出遅れていたわけだし、3kg差で0.3秒差ならカネヒキリとの力関係は五分かそれほど差のない関係と見てよさそう。あとはカネヒキリ同様古馬の一線級との力関係だろう。父ヘネシー産駒ということで距離延長を不安視する向きもあるが、東京のダート2100mは、ジャパンカップダートで2着と好走したサンフォードシチーの例があるように、東京の1600mをこなせて折り合いがつく馬ならとりあえずクリアできる範囲のはず。うまく末を生かす形で展開が向けば好勝負も。(期待度:B)

シロキタゴッドラン 牡6歳
[ミルコ・デムーロ騎手、中尾秀正厩舎(栗東)]
父:ジェニュイン
36戦7勝 主な勝ち鞍:ベテルギウスS

分析:これでジャパンカップダート(GI)には3年連続の挑戦となるように、ダートの長距離得意の馬。ただ、あくまでもOP特別での入着候補というのがこの馬の現在の実力だろう。ミルコ・デムーロ騎手騎乗という上積みを見込んでも、時計のかかるダートでよほど展開が向いての掲示板候補が相場か。(期待度:E)

ジンクライシス 牡4歳
[柴田善臣騎手、土田稔厩舎(美浦)]
父:サボーディネイション
15戦4勝 主な勝ち鞍:ブラジルカップエルムS(GIII)2着、ジャパンカップダート(GI)3着

分析:昨年は準OPを勝った勢いで臨んだこのレースで、3歳馬ながら見せ場たっぷりの3着に大健闘。しかし、今季初戦の平安S(GIII)で脚を余しての3着に終ったのがケチの付き始めで、その後は度々除外の憂き目にあい、レースでも人気を背負って勝ちきれない日々。とはいえ、昨年のこのレースで3着しているのだから潜在能力はここでも再度通用しておかしくないはず。GIだと冴えない騎乗の目立つ鞍上に不安も、流れに乗れれば入着以上も。(期待度:C)

シーキングザダイヤ 牡4歳
[横山典弘騎手、森秀行厩舎(栗東)]
父:ストームキャット
16戦5勝 主な勝ち鞍:ニュージーランドトロフィー(GII)、兵庫ゴールドトロフィー(統一GIII)、川崎記念(統一GI)2着、フェブラリーS(GI)2着、南部杯(統一GI)2着

分析:父が大種牡馬ストームキャットで、母もGI勝ち馬のシーキングザパールという超良血馬。3歳の夏までは芝路線を進んでいたが、秋からダート路線に転じて兵庫ゴールドトロフィー(統一GIII)で重賞初制覇。今期も勝ち鞍こそないもののGIで2着3回と好走を見せている。この馬も血統面から距離不安が言われるが、サンライズバッカスの項でも触れたように、フェブラリーS(GI)での好走から東京のダート2100mも折り合えばこなせておかしくないし、現に川崎記念(統一GI)でタイムパラドックスに食い下がっているのだから、言われるほどの心配はないように思う。前走のJBCクラシック(統一GI)での不可解な敗戦が気にかかるが、これを度外視して状態面に問題なしとなれば上位争いも可能なはず。(期待度:B)

スターキングマン 牡6歳
[ケント・デザーモ騎手、森秀行厩舎(栗東)]
父:キングマン
34戦7勝 主な勝ち鞍:東京大賞典(統一GI)、日本テレビ盃(統一GII)、東海S(GII)2着

分析:一昨年の東京大賞典(統一GI)勝ち馬もその後は不振。ただ、今期は東海S(GII)2着、マーキュリーカップ(統一GIII)2着と、レベルはともかくとしてもそこそこの競馬はしている。左回りの長丁場はいかにも向きそうな条件ではあるし、もともと能力は秘めている馬。ケント・デザーモ騎手で能力全開なら一発があっても不思議はないか。(期待度:C)

タイムパラドックス 牡7歳
[オリビエ・ペリエ騎手、松田博資厩舎(栗東)]
父:ブライアンズタイム
41戦15勝 主な勝ち鞍:ジャパンカップダート(GI)、JBCクラシック(統一GI)、帝王賞(統一GI)、川崎記念(統一GI)

分析:昨年のこのレースを制し、6歳にしてGI初制覇を達成した晩成の古豪。今期は既にGIを3勝と7歳となっても衰えは全く感じられない。敗れたレースも小回りコースであったり距離が短かったりと明確に敗因が存在したもの。この2100m戦は3戦3勝だし、脚質的に東京コースは大歓迎。鞍上のオリビエ・ペリエ騎手も積極的に乗るタイプで脚を余す心配がない分プラスだろう。大崩れはまず考えられず、流れに乗って競馬ができれば連覇の可能性も十分だ。(期待度:A)

ハイアーゲーム 牡4歳
[田中勝春騎手、大久保洋吉厩舎(美浦)]
父:サンデーサイレンス
15戦3勝 主な勝ち鞍:青葉賞(GII)、日本ダービー(GI)3着

分析:昨年の青葉賞(GII)を制し、日本ダービー(GI)は見せ場を作っての3着。しかしその後は不振に陥り、今期もダイヤモンドS(GIII)4着と前走のカシオペアS(OP)3着がやっとという程度の成績。稽古駆けするということでここに矛先を向けてきたようだが、歴戦のダート馬相手に初ダートで通じるほど今のダートは甘くない。さすがにここは勝負になる要素は少ないだろう。(期待度:D)

パーソナルラッシュ 牡4歳
[藤田伸二騎手、山内研二厩舎(栗東)]
父:ワイルドラッシュ
16戦7勝 主な勝ち鞍:ダービーグランプリ(統一GI)、ダイオライト記念(統一GII)、エルムS(GIII)2回

分析:昨年のダービーグランプリ(統一GI)をレコードで圧勝し、BCクラシック(米GI)にも遠征(6着)した馬。帰国後はややスランプに陥ったが、今年の3月のダイオライト記念(統一GII)で復活。秋緒戦のエルムS(GIII)で連覇を達成して上々の滑り出しと見えたが、その後は南部杯(統一GI)で大出遅れの挙句5着、前走のJBCクラシック(統一GI)はスタートこそ五分に出たものの、敗因不明のままいいところなく5着。勝ったときのレース内容から潜在能力ではここに入っても上位の筈だし、ズブいレース振りからは広い東京コースは合うようにも思われる。ただ、とにかくいつ走るか分からない気性がネック。まともなら突き抜けてもおかしくはないが、気性的には伏兵扱いが妥当か。(期待度:B)

ヒシアトラス 牡5歳
[蛯名正義騎手、中野隆良厩舎]
父:ティンバーカントリー
27戦7勝 主な勝ち鞍:平安S(GIII)、フェブラリーS(GI)3着、ダイオライト記念(統一GII)3着

分析:昨秋までは勝ち切れないレースが続いていたが、暮れの師走S(OP)から今季初戦の平安S(GIII)と連勝し、フェブラリーS(GI)でも見せ場たっぷりの3着と健闘。しかしその後は堅実ながらも勝ち切れないレースに逆戻りしている。とはいえ、この秋はここが叩き3戦目となり、3着に終った前走の武蔵野(GIII)からは前進必死。相手なりに走るところがあるし、ダートの中距離向きでこの条件も合いそうなだけに、ここも入着は十分だが、勝ち負けとなると展開など何らかの助けは欲しいところだろう。(期待度:C)

ユートピア 牡5歳
[安藤勝己騎手、橋口弘次郎厩舎(栗東)]
父:フォーティーナイナー
27戦7勝 主な勝ち鞍:南部杯(統一GI)2回、ダービーグランプリ(統一GI)、全日本2歳優駿(統一GI)

分析:2歳時からダート路線で活躍し、既にGIを4勝。揉まれての弱さや小回りの忙しい競馬に課題を見せてきていたが、前走のJBCクラシック(統一GI)では、小回りでしかも勝負どころで揉まれて下がる競馬になりながら直線盛り返しての2着と新境地を見せた。ただ、あの1回だけでこれまで見せてきた課題を克服したと決め付けていいのかは疑問もある。本来マイルがベストの馬と思われるだけにこの距離で末が甘くなる心配もあるし、前走の内容は認めても伏兵評価が妥当か。(期待度:B)
(文責:ま)