ジャパンカップウイークスペシャル 第6回ジャパンカップダート(GI)、第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開 その1〜ジャパンカップダート、ジャパンカップ外国招待馬の分析(1)

ジャパンカップダート(GI)招待馬

エキセントリック(Eccentric) セ4歳
[ダグラス・ホランド騎手、A.リード厩舎(英国)]
父:モーストウェルカム
26戦9勝 主な勝ち鞍:ウインターヒルS(英GIII)

分析:デビュー2戦目からオールウェザーコースを主戦場とするようになり、ウインターダービー(英LR)を制するなどLingfield競馬場のオールウェザーコースで圧倒的な成績を誇っている。この夏から芝を主戦場に戻してウインターヒルS(英GIII)を制覇したもののその後は凡走。今回は久々のダートコースとなる。これまで全くの不振だった欧州からのジャパンカップダート参戦馬の中では最も実績のある馬であることは確か。とはいえ、Lingfield競馬場以外では全く成績が上がっていないように、どうも遠征競馬に向いたタイプではないようだ。これまでの欧州馬の成績からいっても、正直苦しいように思う。(期待度:D)

タップデイ(Tap Day) 牡4歳
[エイバー・コア騎手、M.へニング厩舎(米国)]
父:プレザントタップ
21戦10勝 主な勝ち鞍:メドウランズBCS(米GII)、サバーバンH(米GI)2着

分析:父のPleasant Tapは、タップダンスシチーを輩出して日本でもお馴染みとなった血統。この馬もタップダンスシチーと同様この血統らしい晩成馬で、3歳時までは目立たない馬だったが、4歳となった今期は力をつけ、サバーバンH(米GI)でOfflee Wildの2着と健闘。その後、サラトガBCH(米GII)3着を挟み、メドウランズBCS(米GII)で重賞初制覇を果たしての来日。タップダンスシチーを見ても分かるように、父Pleasant Tap産駒は晩成タイプで力をつけてくると一気に上昇するタイプの血統。それだけに不気味な穴ムードは漂っているし、距離は全く問題なさそう。どちらかというと追い込んで強そうなタイプではあるが、直線が長いといっても意外に差しが利かないのが東京のダート2100mだけに、ある程度の位置につけていければ一発もといったところか。管理するへニング調教師は、スターオブコジーンで1993年のジャパンカップに来日経験あり(5着)。(期待度:B)

ラヴァマン(Lava Man) セ4歳
[コーリー・ナカタニ騎手、ダグ・オニール厩舎(米国)]
父:スルーシティスルー
26戦7勝 主な勝ち鞍:ハリウッド金杯(米GI)、カリフォルニアンS(米GII)、マリブS(米GI)2着、パシフィッククラシック(米GI)3着

分析:父のスルーシティスルーに母系ともにおよそ一流とはいえない血統ながら、昨年後半から徐々に力をつけ、今年6月のカリフォルニアンS(米GII)で重賞初制覇。続くハリウッド金杯(米GI)で一気にGI馬まで上り詰めた。その後はパシフィッククラシック(米GI)3着、ジョッキークラブ金杯(米GI)7着と連敗だが、パシフィッククラシックは僅差だし、ジョッキークラブ金杯は鼻出血と敗因はハッキリしている。フリートストリートダンサーで一昨年のジャパンカップダートを制したダグ・オニール調教師の管理馬だが、能力的にはこちらの方が断然上。先行して頑張るタイプなので脚質的にはこのレースに向いているし、Seattle Slew系で自身が10FのGIを制しているのだから距離の心配は全くない。あとは前走鼻出血をしているように状態がどうかということと、遠征の経験が少ないということがどう出るか。能力をキッチリ出せれば十分勝ち負けになるだけの馬。(期待度:B)

ジャパンカップ(国際GI)招待馬

アルカセット(Alkaased) 牡5歳
[ランフランコ・デットーリ騎手、ルカ・クマーニ厩舎(英国)]
父:キングマン
15戦5勝 主な勝ち鞍:サンクルー大賞(仏GI)、ジョッキークラブS(英GII)、コロネーションカップ(英GI)2着、フォワ賞(仏GII)2着

分析:比較的地味な戦績だったが、5歳となった今季初戦のジョッキークラブS(英GII)で重賞初制覇。続くコロネーションカップ(英GI)でも2着と好走すると、サンクルー大賞(仏GI)でついにGI制覇。秋はフォワ賞(仏GII)で復帰(2着)するも凱旋門賞は回避。さらに英・チャンピオンS(英GI)5着を挟んでBCターフ(米GI)を目指すもこちらも回避してジャパンカップに向かってきた。このメンバーではやや格落ちの感もあるが、固い馬場が向くということで早くからここを目標にしてきたようだし、父Kingmamboなら日本の芝は向くはず。脚質は自在で先行することもできるタイプだし、なんといっても鞍上のランフランコ・デットーリ騎手は魅力。展開次第では一発があってもおかしくはなさそうだ。(期待度:B)

ウィジャボード(Ouija Board) 牝4歳
[キアラン・ファロン騎手、エディ・ダンロップ厩舎(英国)]
父:ケープクロス
11戦6勝 主な勝ち鞍:英・オークス(英GI)、愛・オークス(愛GI)、BCフィリー&メアターフ(米GI)、凱旋門賞(仏GI)3着

分析:ジャパンカップに過去来日した牝馬の中でも最上級といっていい名牝。昨年は英、愛・オークスを制したほか、牡馬相手の凱旋門賞(仏GI)でも3着と健闘し、昨年の欧州年度代表馬に輝いた。今期は復帰戦のプリンスオブウェールズS(英GI)は怪我の影響で惨敗したが、復帰後はプリンセスロイヤルS(英GIII)を快勝し、BCフィリー&メアターフ(米GI)でも僅差の2着と好走した。今年に入ってまだ4戦目とフレッシュな状態を保っているのは好感が持てるし、米国での好走があるだけに固い馬場への適性もそれなりにありそうだ。デットーリ騎手には振られてしまったが、代わりに昨年の快進撃のときのパートナーであるキアラン・ファロン騎手が乗ってくれるのも能力発揮の面からはプラスに働きそう。極端に上がりの早い競馬になったりした場合にどうかということはあるが、ある程度力の勝負になってくれれば底力でねじ伏せることができそうだ。なお、馬主は英国ダービー(英GI)の創設者である第12代ダービー卿の血を引く第19代ダービー卿。(期待度:A)

ウォーサン(Warrsan) 牡7歳
[ジェイミー・スペンサー騎手、C.ブリテン厩舎(英国)]
父:カーリアン
41戦9勝 主な勝ち鞍:バーデン大賞(独GI)2回、コロネーションカップ(英GI)2回

分析:昨年も来日しているように、既にお馴染みといっていい馬。今期もバーデン大賞で連覇を達成しているように、能力面でそう衰えはなさそう。ただ、昨年のこのレースで15着と大敗しているのがどうか。もっとも、その昨年は調教までは良かったが当日の気配が最低で、能力以前の問題だった感も。父Caerleonなら日本の馬場に合わないとは思わないし、バーデン大賞連覇の実績から左回りの12Fも合うはず。あとは今年エイダン・オブライエン厩舎の主戦というプレッシャーから解放されて英国リーディングジョッキーに上りつめたジェイミー・スペンサー騎手の手腕に期待といったところか。(期待度:C)

(文責:ま)