第30回エリザベス女王杯(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 今年の秋のGI路線も中盤戦。牝馬最強を決めるチャンピオン決定戦、エリザベス女王杯(GI)がやってきた。今年も各世代から有力馬が終結し、英国からもサミットヴィルが参戦。なかなかのメンバーが揃い、面白い一戦となりそうだ。

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 上位はなかなかの粒ぞろいだが、中心には◎ヤマニンアラバスタを推す。3歳時は本格化手前ということもあったのか、輸送や飼い食いの悪さによる馬体減に悩まされてきたが、この夏から完全に本格化し、3連勝で新潟記念(GIII)、府中牝馬S(GIII)を連覇。しかも、どちらのレースもスローペースだったとはいえ上がりの3ハロンが33秒台という切れ味。直線が平坦の京都コースならば父ゴールデンフェザント、母父タマモクロス譲りの切れ味を生かすにはもってこいのはず。以前に比べれば位置取りも自在になってきているし、悲願のGI制覇に向けてここは絶好の舞台が整ったといえそうだ。

 もちろん、○スイープトウショウも無視できない。2歳時から高い決め手を発揮し、昨年は秋華賞(GI)を制覇。さらに、今期は宝塚記念(GI)を制するなど、牡馬相手でも強さを見せ、牡馬を含めてもNo.1を争う能力の持ち主であることは間違いない。ただ、昨年のこのレースが5着、この秋2戦も6着、5着に終わっているように、若干器用さに欠くところがあるのも事実。昨年のオークス(GI)でそう差がなかったように、実はヤマニンアラバスタと比較しても決定的な能力差があるわけではない。今回もスローペースになる可能性は否定できず、器用さの点でヤマニンアラバスタを上に取った。もちろん、展開次第ではこの馬が一気に突き抜ける可能性も否定はできないが。

 穴馬として警戒したいのは▲オースミハルカ。昨年は積極的な先行策からゴール寸前まで粘っての2着。今期も3着に敗れたとはいえステップレースの府中牝馬Sが上々の内容。昨年ほどの勢いを感じないだけに、上位2頭を上に取ったが、絶好枠を引いて単騎逃げが濃厚だけに、まんまの逃げ込みがあっても驚けないところではある。

 さらに、大穴なら△ヤマニンシュクル。昨年の秋花賞では勝ったスイープトウショウにただ1頭食い下がっての2着と好走常識的には1年以上の休み明けでは苦しいのだろうが、成長力のある血統だし、なんといっても父のトウカイテイオーは1年振りの実戦で有馬記念(GI)制しているし、存外鉄砲は利きそう。中間もキッチリ追われて体はできているようだし、実戦勘さえ戻っていれば、能力的には上位争いをしてもおかしくはない。

 今年の3歳牝馬はハイレベルとの評判で、秋花賞を勝ってきたエアメサイアが人気を集めているようだ。しかし、注意しなければいけないのは、秋になって今年の3歳牝馬の中で抜けて強かったシーザリオが抜け、ローズS(GII)と秋華賞では本来マイラーラインクラフトが、先に仕掛けて失速してくれたのを後から差したに過ぎないということだ。この2戦だけで詰めの甘さを快勝したと見るのは早計で、今年の古馬勢の層の厚さを考えると、勝ち負けまでは意外に厳しいのではないか。人気になっている分、軽視するのが妙味と見る。

 一方、2連覇中の古豪アドマイヤグルーヴは、今期のレース振りがいかにも精彩を欠いている感。牝馬相手に変わって一変の可能性も否定はできないが、主戦の武豊騎手が乗れないマイナスもあるだろう。

 ならばムラッ気はあるものの、ここへ来て力をつけてきていてルメール騎手騎乗が怖い△マイネサマンサ、前走府中牝馬Sでなかなかの決め手を見せた△マイティーカラー、前走条件戦ながら鋭い決め手を見せたペリエ騎手騎乗の△クロユリジョウ、ここでは実績不足の感も先行脚質で展開に恵まれる可能性のある英国馬△サミットヴィルまでを押さえておきたい。(文責:ま)