第28回帝王賞(統一GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 今年も上半期のダート路線の総決算、帝王賞(統一GI)の季節がやってきた。今年の帝王賞は絶対的な存在は不在なものの、近年のダート路線をにぎわせてきたトップクラスの馬が終結し、実に興味深い一戦となった。

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 今年の帝王賞出走馬のうち、上位馬の能力は紙一重。デキの良さや展開で結果が大きく左右されることもありそうだ。

 そんな中で、敢えて中心を選ぶとすれば◎クーリンガーを狙ってみたい。昨年暮れの東京大賞典(統一GI)では、初の大井コース、明らかに太目の馬体、不利な大外枠という厳しい条件ながら、見せ場たっぷりの3着と好走。大井コースの適性の高さを見せるとともに、一線級でも通用する目処をつけた。6歳となった今季も重賞を2連勝するなど好調をキープ。今季も使い詰めできているが、もともと夏場に強いタイプで調子落ちの心配も少なそう。スタートを決めてスムーズに流れに乗れば、待望のGI制覇も十分ありえそうだ。

 地方勢で最有力なのはやはり○ナイキアディライトだろう。昨年のこのレースでは王者アドマイヤドンを寸前まで苦しめるハナ差の2着。とにかくスンナリ行けたときのスピードとしぶとさは折り紙付き。今回はこれまで闘ってきたメンバーに比べると若干相手関係が楽になっている面もあり、能力的には最右翼とも言えそうだ。今回は絶好の最内枠を引いただけに、スタートさえ無難に決めればハナは切れそう。ただ、すぐ隣に同型のユートピアがいるだけにこの出方は気になるところ。すんなり行ければ楽勝まであると思うが、厳しい展開になるリスクもあると見て一枚評価を下げてみた。

 一発があるとすれば▲スターキングマンか。2003年の東京大賞典を制した後スランプに陥っていたが、前走の東海S(GII)で2着に入り、一応復活の兆しは見せた。2003年のJBCクラシック(統一GI)でも2着に入ったように、大井コースの適性は問題なし。鞍上のケント・デザーモ騎手も2001年のこのレースをマキバスナイパーで制しており、その手腕にも期待がかかる。

 昨年の東京大賞典2着のユートピアは、能力的にはここでも通用だし、大井コースの適性そのものはこれまでの実績から問題なさそう。ただ、今回は2番枠という微妙すぎる枠を引いてしまったのが気にかかる。内にナイキアディライトがいるだけに、これのハナを叩いていききれるかは微妙なところだし、活かせて2番手に付けれれば良いが外から来られるとさっぱり駄目な馬だけに、この枠が裏目に出る可能性も高そうだ。安藤勝己騎手の腕に期待したいところだが、今回はかなり展開に注文がつきそうだ。

 △ケージーチカラ、△タカオライアンの上がり馬2頭は、近走の内容を見る限り、力はつけてきてはいるものの、まだこのクラスで通用するには一枚能力が足りないことは否めないだろう。今回は好枠を引いたことだし、目下の好調を生かしてどこまで食い下がれるか、積極的なレースを期待したいところだ。

 川崎記念(統一GI)を制した△タイムパラドックスは、このメンバーに入れば能力は一枚上の印象。ただ、ここまで3戦、大井コースでは差を詰めてくるものの勝ち負けまでには至っていないように、やはり本質的にはこのコースは向いていないように思う。今回も能力の高さでどこまでといったところで、あくまでも連下までの評価とせざるをえないか。

 そのほか、浦和記念(統一GII)勝ち馬モエレトレジャーは大井コースとの相性がサッパリ。かしわ記念(統一GI)を制したストロングブラッドは、大井の2000mが距離が長い印象で、今季絶好調の内田博之騎手をもってしてもどうか。それならば、他力本願の脚質ながら嵌まれば終いは伸びてくるクールアイバーと、ノド鳴りがあって距離に不安も今季絶好調の石崎駿騎手が手綱を取る古豪トーシンブリザード三連単の紐に押さえたいところだ。