JRHAセレクトセール開催時期が来年から秋季に変更されるとの観測(追記あり)

 米国の競馬専門誌・電子版のThe Blood-Horse現地時間3月9日付で報道したところによると、高額当歳馬の取引市場として毎年7月開催が定着しているJRHA「セレクトセール」の開催時期が、2006年から10月〜11月の秋季へと変更されるとの観測がなされている。[初稿:03/10、追記:03/14]

 現地時間3月1日に開催された"Fasig-Tipton Florida sale of 2-year-olds in training"で上場馬を視察・落札するために渡米していた"Terry Yoshida"こと吉田照哉社台ファーム代表(JRHA日本競走馬協会副会長理事を兼務)が、現地時間2月28日にブラッドホース誌記者に対してコメントした。

 また、来年以降のセレクトセールでは、当歳市場に加えて、1歳市場についても開催することが検討されているという。吉田照哉社台ファーム代表は、その理由について"It's what people want, We feel things are changing.(顧客の意向が働いており、主催者としても変革の時期と考えている)"と簡潔に答えた模様。より具体的には、セレクトセールで取引を行なっている日本人馬主層が海外、特に米国での1歳馬セールにおける取引経験を積み重ねるにつれて、市場取引馬の関心対象馬齢を当歳から1歳へと移しつつあることに起因し、日本での競走馬取引についても、当歳時よりも1歳時へと売買時期を遅らせたいという要請を強めていることが背景にあるようだ。

 また、セレクトセールの国際的知名度が定着したことを踏まえて、海外で主流となっている1歳馬市場を再開することで外国人馬主のセリ参加を促進し、海外向けの売却増を図る狙いもあるものと思われる。

 いずれにせよ、日本における市場取引の動向に大きな影響力を持っているセレクトセールの開催時期・対象馬齢ともに変更が実現することになれば、競走馬取引の時期が日本独自の慣行とされてきた当歳時から、海外で主流とされている1歳時へと移行する契機となることが見込まれるだけに、今後の推移に注目が寄せられることになりそうだ。

 [03/14追記] JRHAセレクトセールが1歳市場に進出するであろうという観測は、馬産地では既出の情報だったようである。既に2月21日に開催されたHBA日高軽種馬農協・組合員懇親会の席上、JRHAセレクトセールが1歳市場に進出するということを前提に質疑応答がなされており、HBA北海道市場としても「米国のKeeneland SaleとFasig-Tipton Florida saleのような良きライバル関係」を築くべく、セレクトセール1歳市場に「負けないよう努力する」―という荒木正博・日高軽種馬農協組合長の答弁が引き出されていた。【「馬事通信」2005年3月15日号6頁】

 ※なお、2005年度のJRHA「セレクトセール2005」開催日は7月11日〜7月12日に決まっており、当歳馬約300頭の上場が予定されている。このThe Blood-Horseのスクープ記事の信憑性を確かめる上では、今年のセレクトセールへの社台グループからの上場馬の傾向が参考になるのではないだろうか。