[中央]第7回阪神スプリングジャンプ(JGII)|優勝:ナムラリュージュ|父:サクラチトセオー|生産:静内町・伊藤明牧場

 3月12日に阪神競馬場で行われた今年最初のジャンプ重賞阪神スプリングジャンプ(JGII)は、単勝3番人気のナムラリュージュ(牡4歳)[白浜雄造騎手、目野哲也厩舎(栗東)]が、後方待機から徐々に進出し、直線アッサリと抜け出して7馬身差で圧勝した。勝ちタイムは4:20.5。

 【JRA日本中央競馬会】 [障害・4歳以上:阪神・芝3900m:別定・曇・良]

 2着に中団追走から差を詰めたラージヒルジャンプが入り、淀ジャンプSの勝ち馬フレノキャプテンが、好位追走から流れ込んでの3着。2番人気に推されたアズマビヨンドは、2番手追走から早めに先頭に立ったのものの、末が甘く4着。中山新春ジャンプ、春麗ジャンプSと特別を連勝してここは一番人気に推されたチアズシャイニングは、好位追走も勝負所でついていけず5着。

 以下、昨年1月の中山大障害(JGI)3着のメジロライデンは、中団追走も流れ込んだだけの9着。昨年の京都ジャンプS(JGIII)勝ち馬クールジョイは、流れに乗れず後方儘の10着。牛若丸ジャンプS、淀ジャンプSとオープン特別で連続2着と好調のコアレスプレジャーは、主戦の西谷誠騎手から仲田雅興騎手への乗り替わりがまずかったのかいいところなく11着に沈んだ。

 勝ったナムラリュージュは、父が現役時代に1995年の天皇賞・秋(GI)を制し、種牡馬としても昨年のダイヤモンドS(GIII)勝ち馬ナムラサンクスらを輩出しているサクラチトセオー、母がバーハレン(母父Capote)という血統構成。北海道・静内町の伊藤明氏の生産で、馬主は「ナムラ」の冠号でおなじみの奈村信重氏。昨年1月の京都開催でデビューし、平地では8戦して未勝利。しかし、秋に障害入りすると、入障緒戦の未勝利を快勝。続く京都ハイジャンプ(JGII)でもロードプリヴェイルの2着と健闘する。今期は、緒戦の平場オープンを2着、続く淀ジャンプSを3着と堅実に走ってここに臨んでいた。

 ナムラリュージュは、ここ二走の62kgから59kgと斤量が楽になり、この相手なら順当勝ちといったところか。デビュー以来3着を外したことがない堅実ぶりに加えて、阪神・京都を問わず安定して力を発揮できるところは好感が持てる。次走いきなり中山グランドジャンプとなるとさすがに一気に相手が強くなるのでどうかとは思うが、なんといってもまだ若い4歳馬だけに、今後の更なる成長に期待したいところだ。

 2着のラージヒルジャンプは常に堅実に力を発揮するが、逆に言えば重賞クラスではワンパンチ足りない。3着のフレノキャプテンは、昨年暮れの三木ホースランドパークジャンプSで大敗しているのでこの条件はどうかと思われたが、この内容なら阪神コースでも問題なさそう。こちらも堅実なタイプで、どちらかというと距離があったほうがよいようだ。

 アズマビヨンドは暮れから年明けにかけて連勝したが、あれは多分に相手に恵まれてのもの。前走の春麗ジャンプSでも案外の5着に終わっているように、このクラスの相手だとこんなものなのだろう。特別を連勝して人気になったチアズシャイニングは、結果としてそれを裏切る形になってしまった。ただ、昨年暮れの三木ホースランドパークジャンプSで3着に入っているとはいえ、どちらかといえば阪神は得意ではないコースだけに、この結果も致し方ない面もある。関西馬ながら中山・東京の関東圏のコースを得意としているだけに、次走の巻き返しに期待したいところだ。他では、近走堅実だったコアレスプレジャーが意外な大敗だが、これは主戦の西谷騎手がチアズシャイニングに騎乗するための乗り替わりが影響したと見たい。本来はもっと走れる馬のはずで、次走条件次第では一変もあるだろう。