第21回マイルチャンピオンシップ(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 秋のマイル王決定戦マイルチャンピオンシップが行われる。昨年に比べて短距離路線は大きな勢力図の変化はなさそうだが、それでも新勢力の参戦も見受けられるし、英国からラクティが参戦と、それなりのみどころがある一戦となった。

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 中心に推すのは英国から参戦の◎ラクティ。レーティングが示す通り、今回の出走馬の中では本来的な能力が二枚も三枚も抜けている。イタリアダービー(伊GI)勝ちに加え、香港カップ(港GI)2着の内容から、硬い馬場への適性もそれほど心配することはないはず。仕上がり状態についても、次走の香港マイル(港GI)が控えているだけに、100%までは仕上げていないかもしれないが、目標がまだ残っているだけに、欧州シーズン終了後の「出がらし」状態という心配はない。確かに、遠征馬にリスクはつきものだが、昨年の香港カップで接戦したファルブラヴがここに出走していれば断然人気になっているだろうことを考えれば、現在の人気なら配当的妙味は充分と見る。

 相手には捻って○ギャラントアローを抜擢。昨年はハイペースで逃げて3着と大健闘。前走のスワンS(GII)は大敗しているが、父リンドシェーバー産駒にしては珍しい叩き良化型の馬だけに、それは度外視してもいいだろう。今年も絶好枠を引き、単騎逃げは確実の情勢。今週の追いきりの動きも良かったし、ペース次第では粘りこみも充分とみる。

 一発候補は三歳馬の▲メイショウボーラー。秋初戦の前走スワンSは3着に終わったが、内容そのものは悪くなかった。もともと、父タイキシャトル産駒は一叩きで変わってくるタイプが多く、今回はキッチリ変わってくるだろう。ギャラントアローに行かせての2番手から自分で競馬を作れる強味は大きい。仕掛けのタイミング次第ではそのまま抜け出しての押し切りがあってもおかしくはない。

 △テレグノシスは、前走の天皇賞・秋(GI)は馬場状態に加えて大外を回した時点でそもそもレースになっていなかったので度外視していいだろう。その天皇賞・秋の時もデキが良く映ったし、毎日王冠(GII)の勝ちっぷりからも今季の充実ぶりは明らか。ベストは府中コースだろうが、一昨年のこのレースで僅差の4着に入っているように、京都のマイルがサッパリ駄目というわけではない。今回、横山典弘騎手に鞍上も強化されたし、上手く捌いてこれればチャンスは充分だろう。

 △マイネルソロモンは、今季も今一つ突き抜けられない歯痒いレースが続いている。ただ、苦手の渋った馬場ということを考えれば前走のスワンSの内容は悪くなかった。トウカイポイントがこのレースを制しているように、意外に流れの厳しいマイル戦に強い父トウカイテイオー産駒。鞍上の小牧太騎手も不気味で、乱戦になった場合の一発候補はこの馬か。

 △ファインモーションは、昨年のこのレース2着が示すように、ここでも上位争いできるだけの能力は持っている。ただ、その昨年は大外枠から揉まれずに外をスムーズに回れたのにないし、今回は内目の枠。それだけにどのようにレースを運ぶかは難しいところで、昨年ほど信頼できるかとなると微妙。先週エリザベス女王杯(GI)を勝って波に乗っている武豊騎手が鞍上だけに、そこは上手くやってのける可能性も十分だが、人気ほどの信頼性はないとみて押さえまでの評価に。

 最後に、いつ走るか分からないムラ馬だが、まともに走ればそれほど遜色ない能力を持つ△マイネルモルゲンまでを押さえる。

 断然の人気を集めているデュランダルの評価については正直迷うところ。昨年からの一連のレース振りから見て、常識的にはここも大崩れはないとみるのが素直ではある。ただ、その昨年のこのレースは、ギャラントアローの逃げをマグナーテンがつつく形となってかなり前に厳しいペースとなり、上がりの2Fがかなりかかっての直線一気。今年も同じ流れになる保証はないし、先週同じような追い込み馬のスイープトウショウが不発に終わったというのが流れとして気になるところ。追い込み脚質のリスクを考えれば人気ほどの信頼性があるかは微妙だし、もしデュランダルが不発に終わるとしたら今回ではないかとみて、来られたら仕方ないと割り切って軽視することにする。