第65回菊花賞(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 3歳牡馬クラシックの最終戦菊花賞(GI)が行われる。今年の3歳世代は、全体にハイレベルといえるものの、長距離向きの上がり馬が少なく、また、皐月賞(GI)、日本ダービー(GI)の勝ち馬も不在で、どの馬を中心に据えるのか、なかなか難しい混戦となった。
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 レース展開がどうなるかは読みにくいところだが、近年の菊花賞はスローの上がり勝負で中距離向きの瞬発力タイプが台頭するというよりは、スタミナと底力に富んだ長距離向きの馬が台頭しており、今回も長距離向きの馬が台頭すると見る。中でも、ソエが解消していよいよ本格化ムードが漂ってきた◎ホオキパウェーブが中心と見たい。前走のセントライト記念(GII)は、2着に敗れたとはいえ、早目に追い上げて長く脚を使って追い込んできた内容は、いかにも「距離伸びて」と思わせる内容。春の段階から速い時計で走っており、時計勝負も問題なし。青葉賞(GII)2着、セントライト記念2着と、やや勝ちきれない面があるだけに、正直勝ちきるまではどうかという気もしないでもないが、連軸としての信頼性は高いと見る。

 相手には、こちらも長距離適性を重視して、この夏の数少ない長距離向きの上がり馬○オペラシチーを抜擢したい。前走の朝日チャレンジカップ(GIII)では7着と敗れたものの、それまでの3連勝の内容は秀逸。その前走にしても、着順は7着とはいえ着差は僅か。それもあえて馬込みで矯める競馬を試してのものだけに、それほど悲観する必要はないだろう。それまでの3連勝の内容から、本来は矯めて切れを生かすタイプではなく、むしろ長く脚を使って頑張るタイプだけに、距離延長は歓迎のはず。最内枠を引いたことが吉と出るか凶と出るかは微妙だが、下り坂を利用して、勝負どころで強気に動いていく競馬ができれば大勢逆転のチャンスも十分ではないか。

 セントライト記念を勝ち、地方所属馬初のクラシック勝ちを目指す▲コスモバルクの評価は正直言って難しい。セントライト記念を含めた一連のレース内容、母父トウショウボーイという血統から、本質的に中距離がベストの馬であることは間違いない。今回も外枠を引いたこともあり、どのようなレースをするべきかは迷うところだし、距離が堪えて大敗の可能性も否定できないところだろう。ただ、キングカメハメハがリタイアした今、総合力で言えば現3歳馬の中ではこの馬の能力が二枚も三枚も抜けているのは確かだし、前走のセントライト記念でも並みの馬なら失速して当然のペースを勝ち切っている底力はやはり半端ではない。こういう馬は本来本命か無印かのどちらかのスタンスで臨むべきであろうが、本命にするにはリスクが高すぎる一方で、これ以上評価を下げることはできないという意味で、中途半端の謗りを覚悟しつつ単穴の評価とする。

 日本ダービー3着のハイアーゲームは、そのレース内容やマンハッタンカフェと同じ血統構成ということから、菊花賞となればこの馬との印象を抱かせたが、前走のオールカマー(GII)のレース内容は休み明けということを加味してもいただけない。勝ったトーセンダンディに対しては展開が嵌ったとして言い訳が立つが、2着のスーパージーンとは道中それほど変わらない位置につけていたはずで、これにあっさり突き放されたのはやはり右回りに問題があるということだろう。スタートの不安もまだ完全に解消されたとは言いがたく、今回に限っては入着までと見て軽視したい。

 残った馬は実績で劣る馬か中距離向きの馬ばかりだけに、着穴を抜擢するのはなかなか難しいが、あえて大穴候補を挙げるとしたら△コスモステージあたりではどうか。菊花賞で穴を出すのは古馬1000万下で勝ち負けの経験があり、かつ長距離適性を兼ね備えている馬。で、芝2500mで勝ち鞍があり、前走古馬1000万下で2着のこの馬を狙いたい。逃げ馬ということに加え、強気に行かせるとしぶとさを発揮する小池騎手が鞍上というのも、なんとなく2001年の菊花賞で逃げ粘ったマイネルデスポットを髣髴とさせるものがある。同馬主のコスモバルクとの兼ね合いがあるだけに、マイネルデスポットのように都合のいい流れに持ち込むのは難しいだろうが、コスモバルクが控えて、単騎マイペースでいけた場合に限りという可能性の低さを承知で狙ってみたい。

 同様に、実績で一歩劣るものの長距離適性を感じさせる△モエレエルコンドル、△エーピースピリットも大穴候補。神戸新聞杯(GII)2着の△ケイアイガードは、折り合える気性だけにこの距離でも我慢は利くだろうが、やはり本質的には中距離までの馬のはず。それだけに強気に勝ちに出るレースは難しいだろう。となると、好位で流れに乗っての流れ込みというのが濃厚で、あくまでも2着、3着候補といったところか。

 日本ダービー2着、神戸新聞杯3着のハーツクライは、鞍上が武豊騎手ということもあってかなりの人気を集めそうだ。ただ、長距離向きとの声も聞かれるものの、母父がトニービン、そしてその母アイリッシュダンスの現役時代を考えれば、やはり本質的に中距離向きというのが妥当ではないだろうか。それだけに、早目に動く競馬では末を失うリスクがついて回るし、逆にギリギリまで矯める競馬では2001年の同じ鞍上のダンツフレームのように、展開不向きで末脚不発の可能性も出てくる。こうしたリスクを考えれば、人気ほどの信頼性はないと見て今回は軽視することとした。