第27回帝王賞(統一GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

【Keiba.go.jp 地方競馬情報サイト】 上半期のダート最強馬決定戦・第27回帝王賞(統一GI)が6月30日に行われる。頭数こそ11頭とやや寂しくなったが、昨年のJRA最優秀ダート馬のアドマイヤドンを筆頭に、強力なメンバーが揃った。

―出走馬の紹介と分析―

 タイムパラドックス(牡6歳)[横山典弘騎手、松田博資厩舎(栗東)]
 25戦9勝で主な勝ち鞍は今年のアンタレスS(GIII)と平安S(GIII)。オープンに昇級した昨年はやや勝ちきれないレースが続いていたが、今年に入ると一皮剥け、平安SアンタレスSを快勝。差し一辺倒の脚質と、地方のダート未経験が気になるところだが、展開が嵌まれば上位争いも十分。(期待度C)

 シャイニングボス(牡5歳)[今野忠成騎手、小野寺孝司厩舎(大井)]
 34戦5勝で、2002年の東京ダービー4着馬。昨年の東京記念4着もその後は不振。好調期も詰めの甘い面があったし、さすがにこのメンバーでは苦しい。(期待度E)

 オンユアマーク(牡6歳)[佐藤隆騎手、福永二三雄厩舎(大井)]
 37戦4勝で、主な勝ち鞍は2002年の東京記念。3歳時から大井の一線級で上位を賑わせてきたが、今年は3戦していいところなし。相手なりに走るタイプだし、内枠を引いたのはプラスだが、年齢的に厳しいものがあるかも。(期待度D)

 アンドゥオール(牡5歳)[松永幹夫騎手、長浜博之厩舎]
 17戦8勝で、主な勝ち鞍は今年の東海S(GII)。デビュー時から素質の高さを評価されながら、昨年までは詰めの甘さもあって条件クラスにいたが、今年に入って完全に本格化し、マーチS(GIII)、東海S(GII)と連勝。勢いがあるし、小回りをこなす器用さも持ち合わせているだけに面白い1頭。大井の馬場をこなせば上位争いも十分ある。(期待度C)

 ナイキアディライト(牡4歳)[石崎隆之騎手、出川龍一厩舎(船橋)]
 15戦7勝で、主な勝ち鞍は今年のかしわ記念(統一GII)。昨年の南関東二冠を制し、ジャパンダートダービー(統一GI)も僅差の3着。その後しばらくスランプに陥っていたが、前走のかしわ記念で復活の勝利。そのかしわ記念は展開に恵まれた面もあるだけに、まだ全幅の信頼は置けないが、今回も単騎で行けそうなメンバーとなったのは大きい。すんなり行ければ流れ込みもありそう。(期待度B)

 アドマイヤドン(牡5歳)[安藤勝己騎手、松田博資厩舎(栗東)]
 16戦8勝で、主な勝ち鞍は今年のフェブラリーS(GI)をはじめGIを5勝。2歳時からGI戦線で戦ってきたが、特に昨年の夏からは破竹の快進撃で、南部杯(統一GI)、JBCクラシック(統一GI)、フェブラリーS(GI)を制し、ジャパンカップダート(GI)を2着。ドバイワールドカップ(首GI)こそ大敗したが、国内のダートでは能力上位は明らか。休み明けも苦にしないタイプだけに、ここも当然上位だろう。(期待度A)

 ビッグウルフ(牡4歳)[蛯名正義騎手、中尾正厩舎(栗東)]
 15戦7勝で、主な勝ち鞍は昨年のジャパンダートダービー(統一GI)。昨年は名古屋優駿(統一GII)、ジャパンダートダービーを連勝し、秋もダービーグランプリ(統一GI)で2着に入って期待されたが、その後はスランプに。昨年の東京大賞典(統一GI)は6着とはいえ勝ったスターキングマンから2.0秒差。前走のブリリアントSも休み明けとはいえ、決して強くはない相手に3着と物足りない。大井コースの適性には問題がないだけに、他が崩れればだが・・・(期待度C)

 サンデーバニヤン(牡4歳)[鷹見浩騎手、岡部盛雄厩舎(大井)]
 14戦9勝で、主な勝ち鞍は今年の大井記念。昨秋から条件戦を一気に駆け上がり、前走の大井記念で重賞初制覇。ただ、その前走はいかにも相手に恵まれた感があるだけに、相手の揃ったここではさすがに苦しいか。(期待度D)

 スターキングマン(牡5歳)[武豊騎手、森秀行厩舎(栗東)]
 26戦7勝で、昨年の東京大賞典(統一GI)勝ち馬。3歳時にダービーグランプリ(統一GI)を2着。その後しばらく不調が続いていたが、昨秋に本格化。南部杯(統一GI)、JBCクラシック(統一GI)、ジャパンカップダート(GI)を3着、2着、4着と来て、アドマイヤドンのいなくなった東京大賞典で待望のGI制覇。今年緒戦の川崎記念(統一GI)2着後に骨折が判明して休養し、休み明けのかしわ記念(統一GII)が5着。一叩きでどこまで変わってくるかがポイントだろう。(期待度B)

 ウエノマルクン(牡5歳)[鈴木啓之騎手、岡部盛雄厩舎(大井)]
 39戦2勝で、今年の大井記念3着馬。デビュー以来常に堅実に走ってきて、黒潮盃戸塚記念大井記念と重賞の3着が3回。しかし、その堅実さは決め手不足の裏返しでもある。さすがにこの相手では勝ち負けは難しいだろう(期待度D)


―まとめ―

 南関東期待のコアレスハンターが出走取消となり、いよいよJRA勢の優位は動かなくなった。中心となるのは当然◎アドマイヤドン。このメンバー相手なら実績・能力上位は明らかで、GI 6勝目はほぼ固いだろう。ドバイ帰りのぶっつけは多少気になるが、もともと鉄砲が効くタイプだけに、それほど気にしなくてもよさそうだ。

 父ブライアンズタイム産駒の上がり馬2頭では、○アンドゥオールが前に行ける分上位と見る。さすがに打倒アドマイヤドンまでは難しいかもしれないが、現在の勢いでどこまで迫れるか見たいところ。▲ナイキアディライトは、正直前走のかしわ記念は恵まれた印象だが、今回もメンバー構成からスンナリ行ける公算が大。後続の仕掛けが遅くなるようなら流れ込みも期待できる。

 △スターキングマンは、大井コース得意だし昨年のパフォーマンスからは2番手に推したいところだが、前走のかしわ記念の内容が悪すぎるのが気になるところ。一叩きで一変まであるかは微妙なところだけに、今回は連下までの評価に留める。△タイムパラドックスは有力どころが早めに動いて先行勢が潰れるような展開になれば上位もありそうだが、勝ち負けするには注文がつきそうなので連下評価に留める。