第34回高松宮記念(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 【JRA日本中央競馬会】 今年の春のGI開幕戦、第34回高松宮記念(GI)が行われる。今年はショウナンカンプとビリーヴが引退し、かなり小粒なメンバー構成だけに、かなりの馬にチャンスがありそう。順当に収まる可能性も低くはない一方、思わぬ伏兵の台頭もあるかもしれない。

 中心は◎シーイズトウショウに期待してみた。2歳時から牝馬路線の一線級で活躍。桜花賞(GI)2着など、実績も十分備えている。その反面詰めの甘さも否めなかったが、昨年のCBC賞(GII)ではゴール前鋭く抜け出し、待望の重賞初制覇。鞍上の安藤光彰騎手の好騎乗もあったが、やはりスプリント戦が向いているようだ。前走の阪急杯(GIII)はサニングデールの2着に惜敗したが、今回は斤量差が2kgに開くのもプラス。好位抜け出しの安定した脚質で、きっちり抜け出すと見る。

 相手は○やはりサニングデール。昨年のこのレースも大外の18番枠を引かなければ勝っていたレース内容。一時期のスランプからも完全に立ち直り、前哨戦の阪急杯できっちり結果を出してきた。中京の芝1200mは5戦3勝2着1回と名うての中京巧者だけに、大崩れは考えにくい。軸としてはこちらのほうがむしろ信頼性が高いともいえそう。唯一、3番枠というのがうまく捌けないリスクも考えると少し内過ぎた印象で、その分だけ対抗に評価を下げた。

 三番手は▲ギャラントアローか。前走の阪急杯は外枠を引いた上にダッシュがつかず、ハナに立つまでに脚を使った分失速してしまった。しかし、スンナリ行ければそのスピード、粘りは一級品。展開に注文がつくし、1200mだとテンの流れが忙しくなりすぎるリスクはあるが、現実に中京の1200mは昨年のファルコンS(GIII)を優勝。絶好枠を引いたし、他の先行勢が色気を出して無理に仕掛けない競馬をしてくれれば、あれよあれよの逃げ切りは十分だろう。

 四番手は△カフェボストニアン。とにかく脚元が弱く、5歳になってまだキャリア12戦だが、秘めた潜在スピードは非凡。中京コースもCBC賞で2年連続2着しているようにむしろ得意といっていいコース。岡部騎手でうまく流れに乗せることができれば、連争いは十分狙える。

 一発があるとすれば△サーガノヴェル、△アタゴタイショウ、△リキアイタイカンあたりか。サーガノヴェルはとにかくすぐにレースを投げる気性が課題だが、二走前の内容から、かつてのスピードを取り戻しつつあることは間違いない。今回は揉まれない外枠を引いて条件としては絶好。名手小牧太騎手が、待望のJRA・GI制覇を果たすシーンも十分考えられそうだ。アタゴタイショウは、以前はズブくて高速レースになると厳しい印象が強かったが、前走の阪急杯はむしろ掛かるくらいの行きっぷりを見せた。どうやら本格化しつつある印象だし、休み明けを叩いての上積みも十分。平坦コースに変わるのもプラスで、本来得意とするある程度時計の掛かる馬場にでもなれば、あるいは一発もあるかもしれない。リキアイタイカンは近走全くの不振だが、このレースは4着、3着と中京の1200mは得意の条件。根が一発屋のタイプだし、人気がガタ落ちのここでも全くの無視はしにくいところだ。

 以下は1頭づつ簡単にコメント。

 シルキーラグーン:目立たないタイプだが、一戦ごとに力をつけて、前走はスプリントの強豪トーセンオリオンとカフェボスとニアンを相手に快勝。その割に今回も人気がないが、中京コースは3歳時に圧勝の経験があり、馬込みを苦にしないタイプだけにこの内枠もプラス。激走しても不思議ないものは持ち合わせている。

 サクラタイリン:3歳時から素質を高く評価され、ニュージーランドトロフィー(GII)3着の実績あり。ここへ来て2連勝と、ようやく素質に成長がついてきた感じはある。ただ、二本柳騎手への乗り替わりはどうか。ここ二走がともに乗り替りで結果を出しているだけに、それほど気にしなくてもいいのかもしれないが・・・

 モンパルナス:昨年のフィリーズレビュー(GII)2着というスピード馬。一線級に入ると若干力不足の印象はあるが、ファルコンS3着があるように、中京コースへの適性はある。うまく流れに乗せて、あとは鞍上の赤木高太郎騎手の豪腕が決まれば、あるいは入着以上も・・・

 ホーマンアピール:昨年のファルコンSの2着馬だけにこの条件への適性は十分。ギャラントアローとの比較から、潜在能力にはそう差がないと思われるが、ここ二走の内容が良くないのが気になるところ。立ち直っていれば内枠を利して頑張れそうだが・・・

 ウインクリューガー:昨年のNHKマイルカップ(GI)勝ち馬も、その後は全くの不振。ある程度時計が掛かったほうがいいだけに、最終週の馬場は案外向くかもしれないが・・・。GI勝ち馬の底力が頼り。

 デュランダル:昨年の最優秀短距離馬も、ここがぶっつけとなるのはどうか。もともと鉄砲掛けするタイプだけに、この点はそれほど気にしなくていいのかもしれないが、やはり平坦小回りの中京コースで直線一気の脚質は引っかかる。人気ほどの信頼性があるとは思えず、これで勝たれたら仕方がないとあきらめて、思い切って軽視する手もあり。

 テンシノキセキ:スプリント路線で上位を賑わせてきた快速牝馬ももう6歳。これまでも一線級だとワンパンチ足りなかったし、年齢的に大きな上積みもどうか。パンパン馬場の高速決着で強みを発揮するタイプだけに、最終週の馬場と週中の雨の影響も懸念されるところ。勝ち負けまでは難しいかも。