[福山]第5回全日本タマツバキ記念アラブ大賞典|優勝:スイグン|父:ホーエイヒロボーイ|生産:門別町・中山巌牧場

 6月5日に福山競馬場で行われたアラブの日本一決定戦、全日本タマツバキ記念アラブ大賞典は、単勝1.1倍と圧倒的な一番人気に推されたスイグン(牡5歳)[片桐正雪騎手、千同武治厩舎(福山)]が、好位追走から直線抜け出して優勝した。勝ちタイムは1:59:7。

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 レースは、福山マイラーズカップ2着の快速牝馬ラピッドリーランがスンナリとハナに立ち、昨年の瀬戸内賞勝ち馬アポロセンスイが2番手に控え、ゆったりとした展開に。圧倒的人気に推されたスイグンは、好位追走から直線を向くと、4角で先頭に立ったアポロセンスイを楽々と捉え、後続の追撃を悠々と振り切って優勝した。

 福山大賞典2連覇など重賞6勝の古豪ユキノホマレは、後方追走から直線勝負に賭けたものの、スイグンを脅かすまでには至らず2 1/2馬身差の2着まで。3着には園田から遠征してきた昨年の全日本アラブグランプリ5着馬ゲンキガイチバンが入った。

 以下、逃げたラピッドリーランは直線も粘って4着。前走名古屋杯を勝ってここに臨んできた名古屋からの遠征馬エムエスオーカンは、3番人気に推されたものの中団追走から伸びきれずに5着まで。高知市長賞、南国桜花賞を制するなど、地元高知では9連勝中のエスケープハッチは、ここでは相手が強かったか、後方から差を詰めただけの6着。今季初戦の福山大賞典でスイグンを破る金星を挙げながら近走不振のメイユウオライオンは、後方追走から勝負所で追い上げにかかったものの、直線伸びず7着。昨年の全日本アラブグランプリ2着のヤスキノショウキは、中団追走も勝負所で一杯となりブービーの9着。笠松から遠征してきた昨年のアラブギフ大賞典勝ち馬ミスターハヤブサは、中団追走も早々に一杯となり最下位の10着に沈んだ。

 勝ったスイグンは、父が2002年の楠賞全日本アラブ優駿勝ち馬チョウヨームサシなどを輩出しているホーエイヒロボーイ、母がエイランスイセイ(母父スイセイガバナー)で、全兄に1999年のタマツバキ記念などを制して同年のNARグランプリアラブ系最優秀古馬に選出されたエイランボーイがいるという血統構成。スイグンの兄のエイランボーイのほか、今年の北日本新聞杯を制したシャインカイザーなどを輩出している、北海道・門別町の中山巌氏の生産で、馬主は村上俊信氏。2歳の6月にデビューして2戦目で初勝利。3歳春まではあまり目立たない存在だったが、楠賞全日本アラブ優駿で逃げ粘って2位入線(進路妨害で失格)した頃から力を付け始め、秋は鞆の浦賞、全日本アラブグランプリを連勝して福山の最優秀アラブ馬に選出された。4歳となった昨年は、西日本アラブ大賞典、セイユウ記念全日本アラブグランプリ、タマツバキ記念全日本アラブ大賞典を制してNARグランプリアラブ系最優秀古馬に選出された。今期は、緒戦の福山大賞典でメイユウオライオンの2着に敗れたものの、続くエフエム福山BINGO賞でメイユウオライオンに雪辱。その後はローゼンホーマ記念、福山桜花賞と連勝してここに臨んでいた。

 スイグンは、一時期調子を崩して一息のレース内容が続いていたが、今回のレース内容を見る限りは完全復調なったと見てよさそうだ。今後は斤量が厳しいものとなるため、他地区でのサラブレッド挑戦も視野に入れていくとのこと。常識的にはサラブレッドのオープン馬相手では厳しいだろうが、どこまでやれるか頑張ってもらいたいところだ。

 ユキノホマレは相変わらずその末脚は健在で、この相手関係なら2着は当然といったところだろう。脚質的にどうしても成績にムラは出てしまうが、嵌まったときの末脚は破壊力抜群で、今後も展開一つで大きい仕事をやってのけそうだ。ゲンキガイチバンの激走は正直驚きだが、昨年の全日本アラブグランプリでもそこそこのレースをしているように、遠征に強いタイプなのかもしれない。

 ラピッドリーランは、要はスンナリ行ければこれくらいは走れる馬。逆にエムエスオーカンとエスケープハッチは、勝ち負けはともかくとしてももう少し走れる馬と思っていただけにこの結果は案外。メイユウオライオンは状態面の立て直しが先決だろう。