[大井]第19回 東京プリンセス賞(南関東G1)|優勝:テンセイフジ|父:ハウスバスター|生産:浦河町・小葉松幸雄牧場

 5月12日に大井競馬場で行われた南関東の3歳女王決定戦、東京プリンセス賞は、単勝5番人気のテンセイフジ(牝3歳)[石崎駿騎手、八木正雄厩舎(川崎)]が、道中後方待機から勝負所で一気に捲り、直線もそのまま押し切って優勝した。勝ちタイムは1:55:2。鞍上の石崎駿騎手はこれが嬉しい南関東G1初制覇となった。ちなみに、管理する八木正雄調教師は1917年生まれの88歳という大ベテランで、石崎駿騎手との年齢差が実に67年という異色のコンビの優勝となった。

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 レースは、森下博騎手騎乗の伏兵コスモピュアソウルが外から押して先行するも、桜花賞を制した父トーヨーリファール産駒のミライがスピードの違いでハナを切る展開に。一番人気に推された桜花賞2着馬の父マヤノトップガン産駒ヨウヨウは好位を追走。桃花賞を2着し、ここは張田京騎手騎乗で伏兵視された父ゼネラリスト産駒アウスレーゼと、桃花賞を制した父メジロブライト産駒のクリストサファイヤは中団からの競馬、桜花賞3着のテンセイフジは後方2番手からの競馬となる。

 テンは競り合う形となったものの、ミライがハナを切ってからは流れが落ち着き結局スローの展開に。しかし、向正面を回ったところでテンセイフジが外から一気に捲りをかけてそのまま先頭に立つ勢い。これと合わせてヨウヨウも進出し、後続もようやくスパートをかけ始める。

 直線を向くと、外から早くも先頭に立ったテンセイフジに対し、ミライは懸命の粘りを見せるものの、人気のヨウヨウは意外と伸びがない。結局、そのまま突き抜けたテンセイフジが優勝。道中内でジッと我慢していたクリストサファイヤが、直線馬群を縫うようにして伸びて2 1/2馬身差の2着。桜花賞馬ミライは懸命に粘ったものの、ゴール寸前で差されてハナ差の3着に終わった。

 以下、直線差を詰めたアウスレーゼが4着。直線伸びを欠いたヨウヨウは5着どまり。昨年のローレル賞勝ち馬スコーピオンリジイは、後方追走からジリジリ伸びたものの6着に終わった。

 勝ったテンセイフジは、父が現役時代1990年のジェロームH(米GI)、1991年のヴォスバーグS(米GI)などを制して1990年、91年のエクリプス賞最優秀短距離馬を受賞し、種牡馬としては2002年、03年のスチュワーズカップを制するなど長らく香港の看板馬として活躍したElectronic Unicornや、1998年の香港国際カップ(港GII)を制したミッドナイトベットらを輩出しているハウスバスター、母がハローメルヘン(母父シンボリルドルフ)で、近親に1995年の東京王冠賞を制したツキフクオー(父イナリワン)がいるという血統構成。北海道・浦河町の小葉松幸雄氏の生産で、馬主は平野昭一氏。昨年の7月に川崎でデビューし、3戦目で初勝利。目立たないながらも条件戦で堅実に走り、全くの人気薄だった前走の桜花賞で3着と健闘してここに臨んでいた。

 テンセイフジは、パドックの気配が抜群で、桜花賞組からは明らかにこの馬が上積みが大きいと思わせるデキだった。それに加えて、鞍上の石崎駿騎手の好騎乗が決まり、チャンスを見事に掴んでの勝利となった。今回は条件が全て揃っての勝利だけに、次もこううまくいくとは限らないだろうし、それほど奥のある血統でもないだけに、今後となると微妙なところか。ただ、気性面では成長の余地を残しており、そのあたりに期待といったところだろう。

 クリストサファイヤは、今日に限っては勝ち馬との器用さの差が出ただけ。直線しぶとく追い込んでくる脚は父親譲りで、距離面や今後の成長力を考えても先々期待できそうな1頭だ。川崎コースへの適性も鍵となるだろうが、さらに距離が伸びる関東オークス(統一GIII)でもその末脚に期待したい。

 ミライはテンに競られる形ながらもうまく自分の競馬に持ち込み、現状の力は出しているように思う。父がそうであったように、うまく競馬をすれば距離もこなすが、ベストは1600mくらいだろう。

 ヨウヨウは桜花賞からの変わり身も一息だったが、それにしてもレース内容が案外だった。もしかすると大井コースの適性に問題があるのかもしれない。