[大井]第50回羽田盃(南関東G1)|優勝:シーチャリオット|父:シーキングザゴールド|生産:米国・Darley

 5月11日に大井競馬場で行われた、南関東の3歳牡馬クラシック第一弾羽田盃は、単勝元返しと圧倒的な一番人気に推されたシーチャリオット(牡3歳)[内田博幸騎手、川島正行厩舎(船橋)]が、中団追走から勝負所で進出し、直線抜け出して快勝した。勝ちタイムは1:53:5。

 【Keiba.co.jp地方競馬総合サイト】 [3歳限定:大井・ダート1800m:定量・曇・良]

 レースは、京浜盃3着の父カコイーシーズ産駒メイプルエイトが内枠からすんなりハナを奪い、最内枠を利した昨年のハイセイコー記念3着馬ガイアヘッド、父アグネスワールド産駒の伏兵ワールドエミネンスあたりが先団をキープする展開に。京浜盃2着のトウケイファイヤーは好位につけ、その後に人気のシーチャリオット、これをマークする形でしらさぎ賞2着の父ホワイトマズル産駒マズルブラストが追走。昨年のサンライズカップ4着馬で、今期大井に転入後5戦4勝と好調の父コンサートボーイ産駒サウンドイモンは中団やや後からの競馬となった。

 道中はハナを切ったメイプルエイトがかなりのスローペースに落とす形となり、トウケイファイヤーあたりは折り合いに苦労する感じ。シーチャリオットは勝負どころにかかるとペースを見越して早くも進出を開始し、これをマークするようにマズルブラスト、サウンドイモンあたりも動いていくが、道中スムーズさを欠いたトウケイファーヤーは早くも一杯となって脱落する。

 直線は余力を残していたメイプルエイトが粘りを見せ、シーチャリオットとの叩き合いに持ち込むが、最後はシーチャリオットがこれを突き放して優勝した。メイプルエイトが2馬身差の2着で、手応えよく進出も追っての反応一息のマズルブラストはさらに2馬身差の3着まで。

 以下、2連勝中の上がり馬で父マイネルラヴ産駒のキョウエイペガサスが中団追走から直線外目を伸びて4着。的場文男騎手騎乗の父アサティス産駒ボンネビルレコードが、後方追走から直線差を詰めて5着。サウンドイモンは直線で伸びを欠いて6着。トウケイファイヤーは7着に終わった。

 勝ったシーチャリオットは、父が2000年のドバイワールドカップ(首GI)勝ち馬Dubai Millennium、1998年のスプリンターズS(GI)勝ち馬マイネルラヴらを輩出している大種牡馬シーキングザゴールド、母が1999年のフィーユドレール賞(仏GIII)を制し、2000年のブラックヘレンH(米GII)を2着したNeptune's Bride(母父Bering)という良血馬。シェイク・モハメド率いるDarleyグループの自家生産馬で、名義上の馬主はダーレー・ジャパン・レーシング(有)。昨年9月の船橋でデビュー勝ちし、続く平和賞を圧勝。一番人気に推されて臨んだ全日本2歳優駿(統一GI)では惜しくもプライドキムの2着に敗れたものの、NARグランプリサラブレッド系最優秀2歳馬を受賞。今期は、雲取賞、京浜盃と連勝してここに臨んでいた。

 シーチャリオットは、ここは力の違いを見せ付ける順当勝ちといったところ。やはり南関東では能力が一枚上なのだろう。ただ、イレ込む気性、出遅れ癖など、まだまだ気性面での課題は残っている。本質的にはマイルがベストなのは間違いなく、常識的には1ハロン伸びるだけなら大丈夫と考えるべきだろうが、強敵が揃うジャパンダートダービー(統一GI)はもちろんのこと、東京ダービーも気性の成長がなければ思わぬけたぐりを喰らう可能性もないわけではないとしておきたい。まあ、常識的には力でねじ伏せてしまうのだろうが。

 メイプルエイトは、京浜盃に続いてシーチャリオットに完敗の形だが、展開に恵まれたとはいえそれなりに食い下がった内容は評価したい。こちらは距離延長も歓迎のクチだろうし、なんといっても大一番での一発がある父カコイーシーズ産駒だけに、流れ次第ではシーチャリオット逆転の可能性もかすかに残していると考えたい。

 マズルブラストはパドックの気配も良く期待したが、手応え良く進出しながら直線伸び切れなかったのは情けない。詰めの甘さは相変わらずで、このあたりが解消されないと、いつまでたっても善戦マン止まりだろう。素質は高いものを感じるだけになんとか一皮剥けてほしいのだが・・・。

 キョウエイペガサス、ボンネビルレコードパドックの気配が抜群だったし、目下のデキの良さを生かしての入着といったところ。今後一線級で戦っていくにはこの勢いでもう一段の成長がほしいところだろう。

 サウンドイモンは今回は外枠が堪えた感じで、今回だけでは見限りたくない。トウケイファイヤーはスローペースで折り合いに苦労し、レースの流れに乗れなかった。今回は鞍上の有年騎手が若さを出してしまった感じだし、この経験を今後に活かしてもらいたいところだが・・・。