[船橋]第17回かしわ記念(統一GI)(南関東G1)|優勝:ストロングブラッド|父:トウカイテイオー|生産:静内町・千代田牧場

 5月5日に船橋競馬場で行われた、今年からGIに昇格したマイルGI、かしわ記念(統一GI)は、単勝5番人気の伏兵ストロングブラッド(牡6歳)[内田博幸騎手、増沢末夫厩舎(美浦)]が、好位追走から直線インを衝いて鮮やかに抜け出し、優勝した。勝ちタイムは1:37:9。

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 道中後方追走から徐々に追い上げた川崎記念(統一GI)勝ち馬タイムパラドックスは、直線も外からよく伸びたものの、内外のコース取りの差もあって1馬身差の2着まで。今季初戦のマイルグランプリを快勝してここに臨んだ昨年のこのレースの勝ち馬ナイキアディライトは、粘ったもののさらに2馬身差の3着まで。昨秋からやや不調気味のJRA最優秀ダート馬アドマイヤドンは、2番人気に推されたものの中団追走から伸びきれずに4着。単勝1.7倍と断然の一番人気に推されたフェブラリーS(GI)勝ち馬メイショウボーラーは、好位追走から4角では前に取り付いたものの、直線失速して5着に終わり、三連単は27,190円の好配当となった。

 勝ったストロングブラッドは、父が現役時代に1991年のクラシック二冠を制したほか、1992年のジャパンカップ(GI)、1993年の有馬記念(GI)を制し、種牡馬としても2002年のマイルチャンピオンシップ(GI)勝ち馬トウカイポイントや、2003年の阪神ジュヴェナイルフィリーズ(GI)勝ち馬ヤマニンシュクルなど、活躍馬を輩出しているトウカイテイオーで、母がワイプザアイ(母父Gulch)という血統構成で、半姉に2001年のNHKマイルカップ(GI)3着のサマーキャンドル(父シアトルダンサーII)がいる。北海道・静内町の名門、千代田牧場の生産で、馬主は「ストロング」の冠号で知られ、1991年のセントライト記念(GII)勝ち馬ストロングカイザーなどを所有する村木篤氏。3歳1月の東京開催でデビュー勝ちし、3歳時は1000万下でやや苦戦していたが、明けて4歳となると条件戦をポンポンと勝ちあがり、勢いにのって臨んだカブトヤマ記念(GIII)で重賞初制覇。その後もGIIIクラスで活躍し、2003年のさくらんぼ記念(統一GIII)、2004年の群馬記念(統一GIII)を制覇。今期は、一戦毎に調子を上げ、前走名古屋記念(統一GIII)でクーリンガーの3着してここに臨んでいた。

 ストロングブラッドは、昨年の群馬記念以来の勝ち星が嬉しいGI初制覇。正直なところ、今回は鞍上の内田博幸騎手の好騎乗に尽きるところだろうが、もともとこのくらいの距離の小回りコースは最も得意とする舞台であったし、着順はともかくとして今期は好内容のレースが続いていたのも事実。条件が揃ったところでチャンスを掴んだ勝負強さは評価したい。今後もGIクラスで常に勝ち負けとなるとどうかだが、高齢になってもそうは衰えない血統だけに、ダート路線での活躍が期待できそうだ。

 2着のタイムパラドックスは、距離不足が懸念されたが少頭数で動きやすい条件ならこれくらいは走れる馬。今回は勝ち馬にうまくしてやられたが、とりあえず能力は出しているといえそうだ。昨年からの好調を持続しており、今後もGI路線で堅実に上位を賑わせそう。むろん、もっと距離があったほうがいい馬であることはいうまでもないが。

 3着のナイキアディライトは、とりあえずハナに行って一応能力は出しているといえそうだ。4角でメイショウボーラーに来られた分粘りを欠いた面もなくはないが、そうそういつも楽に逃がしてもらえるわけでもなく、これは仕方がないところ。展開や相手関係に恵まれれば、いつでもチャンスは回ってくるだろう。

 4着のアドマイヤドンは、昨年からずっと指摘してきているように、どうもズブさが抜け切らない。これに加えて若干年齢的な能力の陰りも見られるようになってきており、今期は底力で上位を賑わすことはあっても、相当に恵まれないと上位争いというのは難しくなってきたように思う。

 5着に終わったメイショウボーラーは、調子のピークが過ぎてしまったか、それとも地方の砂が合わないのか。正直今回だけでは判断しかねる面もあり、一息入れて立て直しを待って、もう一度見てみたいところだ。