［名古屋］第7回かきつばた記念(統一GIII)｜優勝：ヨシノイチバンボシ｜父：トーヨーリファール｜生産：静内町・酒井静男牧場
5月3日に名古屋競馬場で行われた短距離の統一重賞、かきつばた記念(統一GIII)は、単勝4番人気の伏兵ヨシノイチバンボシ(牡4歳)[吉田稔騎手、錦見勇夫厩舎(名古屋)]が、好位のイン追走から直線で抜け出し、そのまま後続の追撃を振り切って優勝した。勝ちタイムは1:27:2。父トーヨーリファール産駒は、初のグレードレース制覇。
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2001年のフェブラリーS(GI)を制している古豪で、武豊騎手騎乗のノボトゥルーは、中団追走から早めに動いたものの、ラスト競り負けてアタマ差の2着。2003年の東京盃(統一GII)勝ち馬ハタノアドニスは、先行策からよく粘ったものの、4角でやや外に膨れたこともあってさらにクビ差の3着。安藤勝己騎手騎乗で、単勝1.3倍と圧倒的な一番人気に推された昨年の南部杯(統一GI)勝ち馬ユートピアは、好位追走も勝負所で置かれて4着まで。
以下、ステップレースの東海桜花賞まで3連勝でここに臨んだレイナワルツは、中団追走から前に取り付いたものの、ラストの決め手で見劣り5着。昨年のこのレース5着で、全日本サラブレッドカップ(統一GIII)勝ち馬のディバインシルバーは、例によってハナを切ったもののラスト失速して6着。昨年、今年とTCK女王杯(統一GIII)を連覇するなど牝馬限定の統一重賞6勝のレマーズガールは、牡馬相手では分が悪く、これといった見せ場なしの7着。2003年の園田ダービー馬で、地元で4連勝中と勢いに乗ってここに臨んだ兵庫からの遠征馬シンドバッドは、ここでは相手が強かったか中団から伸びきれずに8着。昨年の全日本サラブレッドカップ3着のカセギガシラは、スタートで後手を踏み、押して先行したものの、直線は一杯となって最下位の12着に沈んだ。
勝ったヨシノイチバンボシは、父が現役時代1993年のニュージーランドトロフィー(GII)など重賞を3勝し、種牡馬としても少ない産駒の中から浦和･桜花賞勝ち馬のミライを輩出しているトーヨーリファール、母は1998年の東海クイーンカップを勝ったスバルマドンナ(母父シェイディハイツ)という血統構成。北海道・静内町の酒井静男氏の生産で、馬主は野田雅昭氏。昨年の7月に名古屋でデビューし、デビューから2連勝。暮れの全日本2歳優駿(統一GI)では、13番人気ながらハイペースで逃げてあわやの3着に入る大健闘を見せた。3歳時はJRAの交流戦に出走していたこともあって今一つ勝ちきれないレースが続いていたが、秋の岐阜金賞で重賞初制覇を達成し、全日本サラブレッドカップでも2着と健闘。4歳となった今期は、マイル争覇を制し、黒船賞(統一GIII)4着、東海桜花賞2着としてここに臨んでいた。
ヨシノイチバンボシは、昨年の全日本サラブレッドカップで短距離のGIIIクラスなら十分通用するところを見せていたが、地元のGIIIという絶好の舞台で吉田稔騎手の好騎乗にも助けられてしっかりチャンスを掴んだ。ここへきて力をつけてきており、今回は恵まれた面があったにせよ短距離なら統一重賞でやっていけるメドはついた。今年はJBCスプリント(統一GI)が地元の名古屋で行われ、しかも距離は今回と同じ1400m。さすがに相手は揃うだろうが、こちらも育ち盛りの4歳でもあるし、力をつけて秋に大きな仕事をやってくれることを期待したい。
ノボトゥルーは、確かに勝ちきれないではいるものの、いつもながらその末脚の堅実さは健在。今回競り負けたのも斤量差の分だけだろう。むろん、今後もGIIIクラスでは同じような斤量を背負うだけに、なかなか勝ちきるのは難しいではあろうが、今後も上位を賑わせそうだ。
3着のハタノアドニスは、近走の不振振りから見ると一応復活といえそうだ。今回のレース振りは悪くなく、現状では1200mよりも1400mくらいの方が合っているのかもしれない。ノボトゥルーともども9歳の古豪だが、もうひと踏ん張りの活躍を期待したいところだ。
人気のユートピアは、小回りの1400mが忙しすぎたのだろう。今回は条件が合わなかっただけで、ゆったりと運べるマイル戦となれば、十分巻き返してくる余地はあるはず。
レイナワルツはここへ来て完全に本格化してきた印象。牡馬相手には敵わなかったが、現実にレマーズガールには先着。牝馬限定の統一重賞が南関東にしかない関係で、常に遠征を強いられる不利はあるが、牝馬相手でどこまでやれるのか見てみたいように思う。ディバインシルバーは、昨年も5着に敗れているように、このコースとは相性が一息なのかもしれない。若干、年齢的な衰えも感じられるだけに、次走どこまで巻き返してこれるか。
