[中央]第10回アンタレスS(GIII)|優勝:ピットファイター|父:プルピット|生産:千歳市・社台ファーム

 4月24日、京都競馬場で行われたダート重賞のアンタレスS(GIII)は、5番人気のピットファイター(牡6歳)[安藤勝己騎手、加藤征弘厩舎(美浦)]が、2番手追走から直線抜け出して優勝した。勝ちタイムは1:49.8。

 【JRA日本中央競馬会】 [4歳以上・国際:京都・ダート1800m:別定・晴・良]

 前走、準OPの甲南Sを勝ったばかりの10番人気の伏兵オーガストバイオが、好位追走から積極的に動いて1 1/2馬身差の2着。さらに1馬身差の3着には中団追走からしぶとく伸びた小牧太騎手騎乗の12番人気の伏兵サワノブレイブが入り、一番人気に推された平安S(GIII)ヒシアトラスは、好位追走から勝負所で置かれてさらにクビ差の4着まで。三連単は1,159,180円の大波乱となった。

 以下、マーチS(GIII)2着のサミーミラクルは、道中最後方追走から直線よく伸びたものの、前残りの馬場ということもあって6着まで。仁川S勝ち馬エンシェントヒルは、後方追走もうまく捌けず末脚不発の11着に終わった。

 勝ったピットファイターは、父が現役時代に1997年のブルーグラスS(米GII)を制し、ケンタッキーダービー(米GI)4着、種牡馬としても昨年のウッドメモリアルS(米GI)勝ち馬Tapitらを輩出しているPulpit、母がデアリングダンジグ(母父Danzig)という血統構成の持込馬。半兄に1999年のスーパーダービー(米GI)勝ち馬Ecton Park(父Forty Niner)、近親に1997年のピーターパンS(米GII)などを制したBanker's Goldがいる。2歳11月の東京開催でデビューし、3歳夏の旭川交流戦で4戦目で初勝利。その後は休養を挟みつつも順調に条件戦を勝ちあがり、骨折による長期休養明けで臨んだ昨秋の武蔵野S(GIII)で重賞初制覇。今期は、緒戦の平安Sで11着と大敗。続く前走のフェブラリーS(GI)も6着に敗れ、一息入れてここに臨んでいた。

 ピットファイターは、近二走の大敗でここではやや人気を落としていたものの、その連敗は仕上げに問題があっただけで、立ち直りさえすればこれくらい走って当然の馬。休み休み走っているように、仕上げが難しい馬だけに、今後も陣営の調整技術次第でどうしても結果にムラが出てしまう可能性は否定できないが、GIIIクラスでは実力上位。あとはもう一段ランクアップできるかだろう。

 2着のオーガストバイオは、近走の充実振りを示すように下見での気配が抜群。レースでも積極策からよく食い下がり、目下の調子の良さを示した。今が勢いに乗っている時期だけに、次走にも注目したいところ。サワノブレイブは、オープンに入ってからがややパンチ不足だったが、今回はしぶといところを見せた。追うほどに伸びるタイプだけに小牧太騎手との手が合うのかもしれない。

 ヒシアトラス平安Sを制したのと同じ舞台だけに期待されたが、思うような伸びはなかった。近走の充実したレース振りからすると、いかにも物足りなさが残る内容で、もしかすると連戦の疲れがあったのかもしれない。今後の立て直しに期待したいところだ。

 サミーミラクルエンシェントヒルは、この前残りの馬場では脚質的に厳しかった。今後も流れに左右される面はあるだろうが、それだけに条件一つで巻き返す余地もあると思えるだけに、注意しておきたいところ。