[中央]第65回桜花賞|優勝:ラインクラフト|父:エンドスウィープ|生産:早来町・ノーザンファーム

 4月10日、阪神競馬場で行われた牝馬クラシック第一弾の桜花賞(GI)は、差のない2番人気のラインクラフト(牝3歳)[福永祐一騎手、瀬戸口勉厩舎(栗東)]が、一番人気に推されたシーザリオをアタマ差抑えて優勝した。勝ちタイムは1:33.5。さらにクビ差の3着は10番人気のデアリングハートで、三連単は36,790円の高配当となった。

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 レースは、伏兵モンローブロンドがハイペースで逃げる展開。道中3番手追走のデアリングハートが直線早めに抜け出したが、道中好位に付けたラインクラフトが、直線半ばで先頭に立ってそのまま押し切った。道中中団追走のシーザリオは、ゴール前で猛然と追い込んだものの、アタマ差届かず2着まで。武豊騎手騎乗で3番人気に推されたエアメサイアは、後方追走から直線大外に持ち出したものの、伸びきれずに4着。4番人気のアンブロワーズは、中団追走も直線失速し14着。後方からの競馬となった5番人気のエイシンテンダーは、直線差を詰めたものの6着に終わった。

 勝ったラインクラフトは、父エンドスウィープ、母マストビーラヴド(母父サンデーサイレンス)という血統構成。北海道・早来町ノーザンファームの生産で、馬主は大澤繁昌氏。昨年は、新馬ファンタジーS(GIII)と連勝、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)では圧倒的一番人気に推されたものの3着に敗れた。今期は、初戦のフィリーズレビュー(GII)を勝ってここに臨んでいた。

 勝ったラインクラフトは、戦前の予想とは異なる積極策でそのまま押し切った。ラストは一杯になっていたが、道中のペースを考えればそれも仕方ないところ。前が残る高速馬場に恵まれた面はあるだろうが、ひとまず快勝といっていいだろう。本質的には距離が伸びていいタイプとは思えないが、昨年のスイープトウショウの例もあり、ジックリ脚を矯める形で展開が向けば、オークスでも通用の余地はあるように思う。

 2着のシーザリオは、テンにゴチャつくなどややスムーズさを欠く形に。ただ、枠順や、内に同馬主の先行馬がいたこと、これまでテンの速い流れを経験したことがなかったことなどを考えれば、こうなったのはある種必然で、騎手を責めても仕方がない。ラスト馬群を割って伸びたように力はあるし、本質的にベストは1800〜2000mくらいだろうが、そもそも近年は2400に向くようなタイプはオークスには出走してこられない以上、相対的に距離延長は有利に出る可能性が高い。オークスでも上位争いの可能性は十分だろう。

 3着のデアリングハートは、ミルコ・デムーロ騎手らしい積極策で見せ場を作った。これ以上ない好騎乗で、現状の力は出している。デムーロ騎手は、もっと速い流れがいいとコメントしたようだが、母父がDanzigであることからも分かるように、この馬は本質的に一本調子のスピード馬。おそらくは1200〜1400でスピードを生かす形がよいのだろう。4着のエアメサイアは、例によってソツなく乗られているが、やはりこの血統らしくパンチ不足。今後も安定して走れるだろうが、大舞台で勝ちきるのは難しいように思う。

 アンブロワーズショウナンパントルは、2歳時からの成長が見られないように思う。今後は過度な期待はかけない方がよいかもしれない。