[中央]第35回高松宮記念(GI)|優勝:アドマイヤマックス|父:サンデーサイレンス|生産:新冠町・川上悦夫牧場

 3月27日、中京競馬場で行われた春のスプリントチャンピオン決定戦高松宮記念(GI)は、4番人気の伏兵アドマイヤマックス(牡6歳)[武豊騎手、橋田満厩舎(栗東)]が、中団追走から勝負所で進出し、直線半ばで先頭に立つとそのまま押し切って優勝した。勝ちタイムは1:08.4。断然の一番人気に推されたプレシャスカフェが3着に終わり、馬単14,570円と波乱の決着となった。

 【JRA日本中央競馬会】 [4歳以上:中京・芝1200m:定量・晴・良]

 中団追走からゴール前外から一気に追い込んだ昨年のこのレース3着のキーンランドスワンが、2 1/2馬身差の2着。単勝1.9倍と断然の一番人気に推された蛯名正義騎手騎乗のプレシャスカフェは、スタートで出遅れたて追い上げに脚を使う厳しい展開で、直線はうまく捌けたものの伸びきれずに2着からさらにクビ差の3着に終わった。

 レースは、昨年のスプリンターズS(GI)勝ち馬で3番人気のカルストンライトオが好発から逃げる展開。プレシャスカフェは出遅れて追い上げていく形に。また、2番人気に推されたフェブラリーS(GI)勝ち馬メイショウボーラーは先団の4番手を追走する流れとなる。メイショウボーラーは、直線入り口では早くも一杯となり、馬群を捌いてきたプレシャスカフェが内から抜け出しを図ったが、道中中団外目を追走して勝負所で進出したアドマイヤマックスが直線半ばこれを捉えて抜け出し、ゴール前外から猛然と追い込んだキーンランドスワンを抑えて優勝した。カルストンライトオは粘りきれず4着、メイショウボーラーは16着に沈んだ。

 勝ったアドマイヤマックスは、父サンデーサイレンス、母ダイナシュート(母父ノーザンテースト)という血統構成。北海道・早来町ノーザンファームの生産で、馬主は「アドマイヤ」の冠号で知られる近藤利一氏。これが6歳にして初のGI制覇で、重賞は3勝目。

 アドマイヤマックスは、もともとが左回りが得意な上に武豊騎手との相性が抜群。抜けて強力な馬がいない現在のスプリント路線なら好勝負になってもおかしくない馬ではあったが、それでも勝ちきったのは武豊騎手の好騎乗による面が大きいだろう。もともと、サンデーサイレンス×ノーザンテーストの配合はこの中京の芝1200mとの相性も抜群で、そういった面も影響したのだろう。

 キーンランドスワンは、昨年のこのレースでも大外枠を克服しての3着。前走で本来苦手な坂のある阪神コースで阪急杯(GIII)を勝ってきたのだから、この条件ならこれくらい走っても全くおかしくはなく、能力は出し切っている。今回は武豊騎手にうまくしてやられたといったところだろう。3着のプレシャスカフェは、蛯名騎手のお家芸とも言うべき出遅れが全て。これで追い上げに脚を使ってしまうことになり、その分最後の一押しが利かなかった。デキは良かっただけに実に勿体ないことをしてしまったと思う。カルストンライトオは、内からコスモラブシックにこられてラチ沿いを行けなかったのがまず痛かった。4角では大きく膨れたようにも映り、やはり左回りはダメなのかと思ったが、レース後の騎手の談話によれば、敢えて馬場のいい外を回らせたとのこと。ただ、この日の芝のレースでは内を衝いた馬も良く伸びていただけに、それほど外を回す必要があったのかは疑問。もともとラチを頼った方がいいタイプということも考えれば内ピッタリで逃げ込みを図る手はあったのではないかとも思う。その意味でやや納得のいかない敗戦となってしまった。こちらも一叩きで馬体が絞れてデキは絶好と映っただけに残念だ。