[中央]第19回クリスタルカップ(GIII)|優勝:ディープサマー|父:タイキシャトル|生産:静内町・マークリ牧場

 3月12日、中山競馬場で行われた3歳馬によるスプリント重賞クリスタルカップ(GIII)は、単勝2番人気のディープサマー(牡3歳)[小野次郎騎手、山内研二厩舎(栗東)]が、スタートからハナに立ち、そのまま逃げ切って優勝した。勝ちタイムは1:08.6。2着に10番人気の伏兵コパノフウジンが入り、圧倒的一番人気に推された柴田義臣騎手騎乗のアイルラヴァゲインは3着。馬連12,240円、三連単は101,140円の波乱となった。

 【JRA日本中央競馬会】 [夕刊フジ賞・3歳限定:中山・芝1200m:別定・晴・良]

 バイオレットS(OP)2着以来のレースとなった伏兵のコパノフウジンが、先団のインからスルスルっと伸びて1 1/2馬身差の2着。昨年暮れのクリスマスローズS(OP)を勝って以来のレースながら圧倒的な一番人気に推された父エルコンドルパサー産駒のアイルラヴァゲインは、出負けして馬群のゴチャついたところで不利を受け、しかも直線も不利があって捌ききれずとどうしようもないレースをしてしまい、よく差を詰めたものの3着まで。

 以下、クロッカスS2着のチアフルワールドが好位からそのまま流れ込んでの4着。昨年の野路菊S勝ち馬エイシンヴァイデンは、後方追走から差を詰めたものの5着まで。昨年のクリスマスローズS3着の父マイネルラヴ産駒マイネルアルビオンは、中団追走も伸びきれずに6着。ヒヤシンスS(OP)4着のフサイチアンテウスは、後方追走から直線勝負に賭けたが7着まで。前走500万下の寒桜賞を快勝してここに臨んできた父リンドシェーバー産駒のエネルマオーは、中団追走も直線伸びず11着。デビュー以来ダート戦を2連勝でここに望み伏兵視されたセレスエンブレムは、やはり初芝では苦しかったか好位追走から直線失速して14着に沈んだ。

 勝ったディープサマーは、父が今年のフェブラリーS(GI)勝ち馬などを輩出している人気種牡馬タイキシャトルで、母がチカリー(母父Sadler's Wells)で、半兄に白富士S(OP)などJRA7勝のアルスブランカ(父ラストタイクーン)、JRA3勝のタヤスエモーション(父ホリスキー)などがいる血統構成。1993年のセントライト記念(GII)勝ち馬ラガーチャンピオンや1994年の皐月賞(GI)4着馬ドラゴンゼアーらを輩出している北海道・静内町のマークリ牧場の生産で、馬主は昨年のダービーグランプリ(統一GI)勝ち馬パーソナルラッシュなどを所有する大馬主の深見冨朗氏。昨年7月の函館開催で新馬勝ちし、続く函館2歳S(GIII)でも勝ち馬から大きな不利を受けながら2着と健闘して将来を嘱望される。しかし、一息入れて京都2歳S(OP)で復帰後は今一つ勝ちきれないレースが続き、前走はダートのヒヤシンスSを6着と敗れてここに臨んでいた。

 ディープサマーは、スンナリハナに行けたことでようやく昨夏に見せていたパフォーマンスを十全に発揮できたようだ。もともと不良馬場のデビュー戦を圧勝していたように、荒れてきている中山の馬場があったという面もあるのかもしれない。今後はやはりパンパンの馬場で決めて比べになったときにどうかという課題はあるが、これまでのレース内容からある程度は距離がこなせるはずで、今後とも短距離路線でそれなりの活躍が期待できそうだ。

 2着のコパノフウジンはダートコースでの実績が豊富ということで軽視されていたが、うまく流れに乗って2着を確保。今回は枠順や流れに恵まれた面が大きいし、どういうわけかダートでの実績もある馬が好走する傾向にあるこのレースの性格にも合ったということだろう。次走、もう一度芝に使ってくるようならそこが試金石となりそうだ。父ヘネシー産駒ということからすれば、ベストがダートなのは間違いないと思われるが。

 3着のアイルラヴァゲインは、全くもって不完全燃焼なレースとなってしまった。前走のクリスマスローズSでの楽勝ぶりからすれば、ここはさすがに負ける理由が見当たらないと思われたが、そこでこういうレースになってしまうのだから鞍上の柴田義臣騎手の重賞での流れの悪さはどうしようもないとしか言いようがない。いずれにしても、今回力負けではないのは明らかで、次走の巻き返しに期待したいところだ。