[中央]第42回報知杯弥生賞(GII)|優勝:ディープインパクト|父:サンデーサイレンス|生産:早来町・ノーザンファーム

 3月6日に行われた、皐月賞(GI)の前哨戦の弥生賞(GII)は、単勝1.2倍と圧倒的な一番人気に推されたディープインパクト(牡3歳)[武豊騎手、池江泰郎厩舎(栗東)]が、後方追走から直線大外を伸び、最内から伸びた3番人気のアドマイヤジャパンをクビ差制して優勝した。勝ちタイムは2:02.2。さらに1 1/4馬身差の3着に先行した2番人気のマイネルレコルトが入った。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳限定:中山・芝2000m:馬齢・曇・良]

 レースは、前走ダートの500万特別を勝ってきた伏兵のダイワキングコンがハナを切り、これに昨年の朝日杯フューチュリティS(GI)勝ち馬のマイネルレコルトが掛かり気味に並びかけていく展開。3番人気のアドマイヤジャパンは好位追走、人気のディープインパクトは後方3番手を追走する形となる。ディープインパクトは、勝負所で外から進出し、直線半ばでマイネルレコルトを振り切って抜け出すと、最内を突いたアドマイヤジャパンがゴール前で一旦抜け出しかかったが、ディープインパクトがこれをクビ差抑えた。

 勝ったディープインパクトは、父がサンデーサイレンス、母が1995年のアラルポカル(独GI)勝ち馬ウインドインハーヘア(母父Alzao)という血統構成。北海道・早来町ノーザンファームの生産で、馬主は昨年の日本ダービー(GI)勝ち馬キングカメハメハなどでお馴染みの大馬主金子真人氏。昨年12月の阪神開催で新馬勝ちし、続く若駒S(OP)も勝って2連勝でここに臨んでいた。

 ディープインパクトは、外差しの利きにくい前残りの馬場を大外から差し切っているだけに、着差以上に強い内容で、今年の3歳牡馬でもトップクラスの能力があるとはいえそうだ。もっとも、スローペースの上がりの競馬はこれまでのレース振りを見る限りこの馬にとってもっとも向いているわけで、その点は恵まれたといえなくもない。多頭数となる皐月賞ではスローペースになれば大外を回していては届かない可能性が高く、他方ストーミーカフェらが引っ張って緩みないペースになった場合に同じような脚が使えるかは未知数。もともと強いときはとことん強いが、たまに大ポカがあるという血統でもあるし、馬込みに入れる競馬は今回もできなかったわけで、皐月賞に向けて死角なしともいいがたいだろう。

 アドマイヤジャパンは一戦毎に器用さを身につけているのは収穫。もっとも、今回は最内をすくっての競馬でディープインパクトにねじ伏せられてしまったわけで、サンデーサイレンス産駒内のヒエラルキー的にディープインパクトを逆転するのは難しそう。確実にある程度の能力は発揮してくるタイプだけに、ディープインパクトのポカ待ちといったところか。

 マイネルレコルトは今回スローペースの上がりの競馬という自身にとってもっとも苦手で、相手にとってもっとも得意な競馬となったのだから負けてしまったのは仕方がない。一叩きの上積みは見込めるし、ストーミーカフェが緩みないペースで引っ張ってくれればこの馬にとってはレースがしやすくなるはずで、逆転の望みは十分だろう。鞍上の後藤騎手がいやに弱気なコメントを発しているのが気になるところだが、煙幕というならそれもいいし、本当に勝つ自信がないのならば降板していただければいいだけの話である。

 4着以下は上位3頭とは明らかに能力差が感じられた。現状、一線級では能力不足といったところであろう。