[中央]第21回マイルチャンピオンシップ(国際GI)|優勝:デュランダル|父:サンデーサイレンス|生産:千歳市・社台ファーム

 京都競馬場で行われた秋のマイル王決定戦、マイルチャンピオンシップ(国際GI)は、一番人気のデュランダル(牡5歳)[池添謙一騎手、坂口正大厩舎(栗東)]が、後方2番手追走から勝負所で徐々に進出し、直線大外から一気に伸び、先に抜け出した4番人気のダンスインザムードを差し切って優勝した。勝ちタイムは1:33.0。3着には後方待機から直線差を詰めた5番人気のテレグノシスが入り、終始折り合いを欠いて流れに乗れなかった2番人気のファインモーションは9着と惨敗。三連単は13,280円の高配当となった。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上・国際:京都・芝1600m:定量・晴・良]

 また、英国から参戦したクイーンエリザベス2世S(英GI)勝ち馬ラクティは、スタートで大きく出遅れ、その後引っ掛かって一気に先団に取り付き、直線失速して14着に敗れた。

 勝ったデュランダルは、父サンデーサイレンス、母サワヤカプリンセス(母父ノーザンテースト)という血統構成。北海道・千歳市社台ファームの生産で、馬主は吉田照哉社台ファーム代表。昨年のスプリンターズS(GI)でGI初制覇を飾り、続くマイルチャンピオンシップも制して昨年の最優秀短距離馬に選出。今年は、初戦の高松宮記念(GI)は、一番人気に推されたもののサニングデールの2着。その後、安田記念(GI)に向けての調整中に右前脚に裂蹄を発症し休養入り。秋初戦となった前走のスプリンターズSでは、カルストンライトオの2着に入っていた。

 デュランダルは、スタートしてからすぐに外に持ち出していき、直線も外からいつも通りの伸び脚を見せ、外差し有利の馬場も利して一気に突き抜けた。能力面はともかくとして、以前に比べてある程度追走していくことができるようになった気性面の成長も大きいようだ。先週のエリザベス女王杯(GI)のスイープトウショウでは状態面に不安があったのかおっかなびっくり乗っていた池添騎手も、今回は能力、状態ともに自信満々と見え、スタート直後に外に持ち出すと、後は馬任せのレースで持ち味を十分に発揮した。次走は香港マイル(港GI)も検討とのことだが、その場合はシャティン競馬場でしばしば起きる内目が伸びる馬場になったときにどうかだろう。

 2着のダンスインザムードは、今日もいつも通りイレ込んでいたし、外枠だけに引っ掛かる懸念もあったが、鞍上のクリストフ・ルメール騎手が上手に中団で宥め、外差しの馬場も利してキッチリ脚を伸ばしてきた。今回差す競馬もできたことは収穫で、マイル路線なら牡馬相手でも能力そのものは通用しそうだ。あとは、今後誰が手綱を取るのかが問題となりそうだが。

 3着のテレグノシスは、後方の内目で矯め、直線馬群を割る余地がないと見て外に出して伸びてきたが時すでに遅しの3着。もっとも、初めから外に出していてもデュランダルとの決め手勝負で勝てたかは微妙なところで、この鞍上の判断は責められないところか。うまく馬群がバラけていれば真ん中から突き抜けたかもしれないが、一応の力は出しているように思う。

 4着のマイネルソロモンは、最後方から外差しの馬場を利して4着まで追い上げた。ただ、今回は小牧太騎手の決め打ちが嵌まったのと、馬場や展開に恵まれた面があり、これで相手次第ではすぐ勝ち負けといえるかは微妙なところだ。

 ファインモーションは全く能力を出せずじまいの惨敗。敗因を言えば、昨年と違い内目の枠だったために揉まれてしまって折り合いを欠いたという事になるのだろうが、揉まれると良くないことも内目の枠をひいたことも戦前から分かっていたこと。それだけに鞍上の武豊騎手に何の工夫も見られなかったのは正直ガッカリ。パドックでのデキも万全という感じにはなく、やはり直前での予定変更の影響があったのだろうか。いずれにしてもエリザベス女王杯をやめてこっちに回ってきたのはあらゆる意味で裏目に出たといえ、実にかわいそうなことになってしまった。

 記者が期待したラクティは、大きく出遅れた挙句引っ掛かって先行し、直線は逆噴射という絵に描いたようなひどい負け方。もともとムラ馬だし、スタート難が言われていただけに、こういう負けになるのもある意味予想の範囲内ではある。ただ、言っても仕方がないこととはいえ、同じ負けるにしても能力をきちんと出してどれだけのものか見てみたかったところではある。次走香港マイルデュランダルとの力関係がどんなものか見られることを期待したい。