[大井]第37回ハイセイコー記念(南関東G2)|優勝:トウケイファイヤー|父:スキャン|生産:静内町・千代田牧場

 1968年に創設。長年大井競馬の2歳馬の登竜門として親しまれ、名馬ハイセイコーの偉業を称えて青雲賞から2001年に現在の名称に変更されたハイセイコー記念は、2番人気のトウケイファイヤー(牡2歳)[有年淳騎手、矢作和人厩舎(大井)]が、先行策から直線抜け出して優勝した。勝ちタイムは1:40:7。2着に7番人気の伏兵ハリケーンストーム、3着に3番人気のガイアヘッドが入り、単勝1.1倍と圧倒的な一番人気に推されたエスプリフェザントしんがりの9着に大敗。三連単は164,860円の大波乱となった。

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 レースは、前走の鎌倉記念を2着に2.6秒差の大差をつけて圧勝し、ここは単勝1.1倍と圧倒的な一番人気に推されたエスプリフェザントが、スタートで大きく出遅れる波乱の幕開け。的場文男騎手騎乗で3番人気に推されたガイアヘッドが外から押してハナに立ち、内の2番手にトウケイファイヤー。1角では押して押してエスプリフェザントが外から3番手に上がり、好位の内にゴールドジュニアー勝ち馬ハッピーパスポートが追走という展開となる。

 道中はエスプリフェザントが引っ掛かり気味に外外を進出して2番手まで上がるものの、勝負所では手応えが怪しくなり、代わってトウケイファイヤーがスパート。中団につけていた内田博幸騎手騎乗のハリケーンストーム、後方に待機していた石崎隆之騎手騎乗のアスリートフェアも進出していくが、ハッピーパスポートは反応が悪く後退していく。

 直線を向くと、トウケイファイヤーが楽々と抜け出して先頭に立ち、ハリケーンストーム、アスリートフェアも懸命に追い込むものの、トウケイファイヤーを脅かすまでには至らない。結局、トウケイファイヤーがそのまま抜け切って優勝した。

 2番手争いは、粘るガイアヘッドをハリケーンストームが3/4馬身差交わして2着を確保。逃げねばったガイアヘッドが3着に入り、中団から伸びたジルハーが4着、アスリートフェアは5着。鎌倉記念3着のカネショウハヤブサは、好位から流れ込んでの6着。鎌倉記念2着のジェネスジョニーは、後方からバテた馬を交わしただけの7着。ハッピーパスポートは8着に沈み、4角では完全に一杯となったエスプリフェザントは、大差の最下位に沈んだ。

 勝ったトウケイファイヤーは、父スキャン、母ワンタッチ(母父ワッスルタッチ)という血統構成。北海道・静内町千代田牧場の生産。6月の大井の新馬戦でデビュー勝ち。9月の準重賞ゴールドジュニアーハッピーパスポートの2着に入り、前走の特別戦を快勝してここに臨んでいた。

 トウケイファイヤーは、いつもながらのセンス溢れるレース運びで快勝。平和賞を勝ったシーチャリオットのようなインパクトはないが、異常に時計の出る今開催の大井の馬場を考慮しても悪くない勝ち時計だし、来年の南関東3歳牡馬クラシック路線に向けて、有力馬の1頭に数えられそうだ。

 一方、デビュー2戦の豪快な勝ちっぷりから注目を集めていたエスプリフェザントはよもやの大敗。大きく出遅れた上に押して押して無理に先行。完全に走りのリズムをおかしくした挙句、コーナーでも終始外に膨れっぱなしと、やってはいけない騎乗を集大成したような乗り方をされ、これでは失速も致し方ないところか。キャリアの浅さ、初の右回りで初の大井コース、スタートの若干の不安と、マイナス要素はないではなかったが、それが全て悪い方向に出てしまったようだ。武井榮一厩舎と「エスプリ」の依田オーナーといえば、エスプリシーズで川崎の名手森下博騎手とコンビを組んでおり、次走以降森下騎手に乗り替わってリズムを取り戻せば、鎌倉記念の勝ちっぷり、走破タイムからいってまだまだ巻き返す余地はあるはずだ。問題は、コーナーコーナーで膨れていたように右回りに問題があるのではないかという点、それに関係者から脚を気にしていたというコメントが聞かれている点、それになにより、今回の手ひどい負けで馬がやる気をなくしてしまわないかということだろう。いずれにしても、次走が本当の意味での試金石となりそうだが、秘めた素質は一級品だけに、何とか巻き返してもらいたいところである。