第4回JBC直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 ダート競馬の祭典第4回JBCが行われる。今年も全国からダートの強豪が集結し、激しいレースが期待できそうだ。

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 関連:blog対抗予想大会「とらっくばっく競馬:JBCスプリント」(主宰=負け馬@馬耳東風)
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JBCスプリント(統一GI)―出走馬の紹介と分析―

ヒカリジルコニア(牡5歳)[吉田稔騎手、清水久雄厩舎(栗東)](父:アフリート)
通算成績:20戦8勝(主な勝ち鞍:BSN賞、東京盃(統一GII)2着)
短評:3歳1月の京都でデビュー勝ち。昨年までは一介の下級条件馬だったが、今年に入ってメキメキと力をつけ、オープン特別を2連勝した前走の東京盃マイネルセレクトの2着と健闘。前走が完敗の形だっただけに、逆転はなかなか難しそう。絶好の1番枠と、吉田稔騎手への鞍上強化でどこまで食い下がれるか。(期待度=B)

カセギガシラ(牡4歳)[的場文男騎手、大山一男厩舎(大井)](父:ジェイドロバリー)
通算成績:22戦7勝(主な勝ち鞍:隅田川オープン、アフター5スター賞4着)
短評:2歳9月にデビューし、デビュー3連勝も南関東3歳クラシック路線ではいいところなし。4歳となった今期は、条件戦を着実に勝ち上がってオープン入り。しかし、アフター5スター賞4着、東京盃では7着と、一線級ではまだまだ力不足。今回も恵まれて入着までだろう。(期待度=D)

ユウキュウ(牡5歳)[岡部誠騎手、角田輝也厩舎(名古屋)](父:エリシオ)
通算成績:49戦12勝(主な戦績:オータムスプリントカップ3着)
短評:2歳の夏に旭川でデビューし、園田→名古屋と移籍。名古屋に移籍後はトントン拍子に勝ち上がってオープン入り。その後は積極的に統一重賞に遠征しているものの、ここまでは全く通用していない。少しづつ力をつけているのは確かだが、さすがにここでは相手が強すぎる。(期待度=E)

ヤマニンデューク(牡7歳)[真島大輔騎手、佐藤壽厩舎(大井)](父:ミシル)
通算成績:49戦9勝
短評:旧4歳の夏に大井でデビューし、6戦目で初勝利。5歳の夏に5連勝し、その後も条件戦で着実に入着を繰り返している。さすがにここでは相手が強すぎ、通用の根拠は見当たらない。(期待度=E)

ディバインシルバー(牡6歳)[安藤勝己騎手、和田正道厩舎(美浦)](父:シルヴァーデピュティ)
通算成績:30戦9勝(主な勝ち鞍:北海道スプリントカップ(統一GIII)、黒船賞(統一GIII)、クラスターカップ(統一GIII))
短評:3歳の1月に中山でデビューし、2戦目で初勝利。3歳秋に3連勝してオープン入り。その後は、積極的に統一重賞にも遠征しつつ、短距離の重賞で常に上位を賑わし、昨年夏のクラスターカップで待望の重賞初制覇。今季も1200mの重賞を2勝したが、前走の東京盃では6着と大敗。大井コースの適性にやや疑問符がつくし、本来逃げてこその馬だけにここは展開も厳しそう。上位争いするには色々と注文がつきそうだ。(期待度=C)

シャドウスケイプ(牡5歳)[小牧太騎手、森秀行厩舎(栗東)](父:フォーティーナイナー)
通算成績:35戦5勝(主な勝ち鞍:根岸S(GIII)、クラスターカップ(統一GIII))
短評:2歳の11月に東京競馬場でデビューし、4戦目で初勝利。名古屋優駿(統一GIII)2着、グランシャリオカップ(統一GIII)2着など、ダートの短距離路線で上位を賑わし、今年の根岸Sで待望の重賞初制覇。その後もクラスターカップを勝つなど、今季はコンスタントに末脚を発揮し、東京盃でも3着。ただ、どうしても展開に左右される面はあるし、このメンバー相手に直線一気を決められるほどの決め手はないことも事実。あくまでも展開が向いての連争いまでか。(期待度=C)

シャドウランサー(セ7歳)[内田博幸騎手、矢作和人厩舎(大井)](父:サクラバクシンオー)
通算成績:32戦7勝
短評:旧3歳の11月に東京競馬場でデビューし、4戦目で初勝利。昨年の夏にJRA準OPから大井に移籍し、移籍緒戦を快勝。さらに、秋におおとりオープンを勝ったものの、その後は全くの不振。年齢的な衰えも否めず、ここも苦しいだろう。(期待度=E)

マイネルセレクト(牡5歳)[武豊騎手、中村均厩舎(栗東)](父:フォーティーナイナー)
通算成績:15戦8勝(主な勝ち鞍:東京盃(統一GII)、ガーネットS(GIII)、JBCスプリント(統一GI)2着)
短評:2歳10月の福島でデビュー勝ち。脚元の関係で休み休み使われていたが、昨夏から3連勝でシリウスS(GIII)を制し、JBCスプリント(統一GI)ではハナ差の2着。今季はドバイゴールデンシャヒーン(首GI)に遠征し(5着)、帰国緒戦のさきたま杯(統一GIII)こそ6着に敗れたが、前走の東京盃でキッチリ巻き返した。まだ、昨年ほどのデキには戻っていない印象があるが、それでもこのメンバーなら能力は上位で、ここも当然勝ち負けだろう。(期待度=A)

アグネスウイング(牡4歳)[中舘英二騎手、白井寿昭厩舎(栗東)](父:エンドスウィープ)
通算成績:12戦6勝(主な勝ち鞍:シリウスS(GIII))
短評:2歳夏の小倉でデビューし、3戦目で初勝利。もともとスピード能力は高く評価されていたが、この夏に本格化し、4連勝でシリウスSを制覇。前走の勝ちタイムも悪くないだけに、初の大井コースとナイターをこなせば、一発があってもおかしくはなさそう。(期待度=A)

タイガーロータリー(牡4歳)[水野貴史騎手、川嶋弘吉厩舎(高崎)](父:ワカオライデン)
通算成績:25戦12勝(主な勝ち鞍:北関東ダービー、北関東菊花賞、群馬記念(統一GIII)3着)
短評:2歳の8月に高崎でデビュー勝ち。その後も積極的にJRA統一重賞に挑戦しつつ、地元では無敗。昨年のとちぎマロニエカップ(統一GIII)が4着、今年の群馬記念が3着と、統一重賞でもそこそこ通用するところを見せ、前走の東京盃でも最後方から追い込んで4着と健闘。今回は流れにも慣れてくるだろうし、スタート五分からある程度ついて行ければ、入着以上の期待もできそうだ。(期待度=B)

シャンハイジャンプ(牡3歳)[佐々木国明騎手、若松平厩舎(北海道)](父:シャンハイ)
通算成績:10戦5勝(主な勝ち鞍:北斗盃王冠賞北海道スプリントカップ(統一GIII)5着)
短評:昨年4月に門別でデビュー勝ち。タヤスツヨシ小4着を挟んで栄冠賞で重賞初制覇。今季は、北斗盃王冠賞の北海道3歳クラシック二冠を制し、北海道スプリントカップで5着と健闘。前走の東京盃では結果的に最下位に沈んだものの、テンのスピードは通用するところは見せた。今回も展開は厳しそうだが、自分のペースで競馬ができればもう少しやれていいはず。(期待度=D)

サニングデール(牡5歳)[福永祐一騎手、瀬戸口勉厩舎(栗東)](父:ウォーニング)
通算成績:25戦7勝(主な勝ち鞍:高松宮記念(GI)、CBC賞(GII)、阪急杯(GIII))
短評:2歳11月の中京開催でデビュー勝ち。3歳のファルコンS(GIII)で重賞初制覇し、その後も芝の短距離路線で活躍。今季は、阪急杯を勝って臨んだ高松宮記念で待望のGI制覇。この秋はセントウルS(GIII)を3着して臨んだスプリンターズS(GI)では鞍上の判断ミスもあって人気を裏切る9着に終わった。このメンバーでも実績は上位だが、問題はダート適性。初ダートだったガーネットSの内容から、ダートがサッパリということはないだろうが、それでも初の大井コースとなるとどうか。常識的には厳しいところだろう。(期待度=D)


―まとめ―

 前哨戦の東京盃を完勝したマイネルセレクトがこのレースの中心勢力であることは間違いなく、この馬を負かすことができる馬がいるかがポイントとなる。初の大井コースということで大敗の恐れも否定はしないが、逆転できるとすれば◎アグネスウイングだろう。とにかくこの夏からの充実ぶりは素晴らしく、前走のシリウスSの内容も良かった。マイネルセレクトは確かに強敵だが、昨年に比べると勢いに欠いている面はあるだけに、上昇一途のこの馬が勢いで逆転する可能性はあるはずだ。

 相手は当然○マイネルセレクト。昨年に比べるとやや迫力不足の感はあるものの、それでも東京盃は完勝と言っていい内容。少なくとも東京盃で負かした相手に逆転される可能性は低いと思われ、連軸としての信頼性で言えばこちらを中心に据える手もあるくらいだ。

 以下はあくまでも2着争いということになるだろうが、東京盃組から変わり身があるとすれば▲タイガーロータリーだろう。東京盃では流れに乗り損ねた感もあり、スムーズに追走できれば2番手争いは充分だろう。他では、△ヒカリジルコニアと△シャンハイジャンプが、自分のペースで競馬ができた場合に粘りこみが期待できそうだ。




JBCクラシック(統一GI)―出走馬の紹介と分析―

ウエノマルクン(牡5歳)[鈴木啓之騎手、岡部盛雄厩舎(大井)](父:サッカーボーイ)
通算成績:43戦2勝(主な戦績:大井記念2着、黒潮盃3着、戸塚記念3着)
短評:2歳の8月に大井でデビューし、2戦目で初勝利。3歳の4月に2勝目を挙げて南関東のクラシック路線に乗るも、三冠では通用せず、戸塚記念3着、黒潮盃3着が最高。その後は条件クラスでもオープンクラスでも堅実に相手なりの走りを続け、今期は大井記念3着、サンタアニタトロフィー4着。相手なりのタイプではあるが、これまでわずか2勝の成績が示すように決め手不足。この相手では厳しく、よほど上がりがかかっての入着候補といったところか。(期待度=D)

ユートピア(牡4歳)[横山典弘騎手、橋口弘次郎厩舎(栗東)](父:フォーティーナイナー)
通算成績:17戦6勝(主な勝ち鞍:南部杯(統一GI)、ダービーグランプリ(統一GI)、全日本2歳優駿(統一GI))
短評:2歳の11月にデビューし、折り返しの新馬から3連勝で全日本2歳優駿を制覇。3歳時はジャパンダートダービー(統一GI)で2着に入り、秋にはダービーグランプリを制したものの、その後しばらくはスランプに。しかし、前走の南部杯アドマイヤドンを相手に鮮やかに逃げ切って復活した。ジャパンダートダービーの内容から、距離延長・大井へのコース変わり自体は問題ない。ただ、気性面から展開に注文のつく馬。今回はハナに行きそうな馬がそろっているだけに、自分のペースで競馬ができるかどうか。とにかく展開だけが鍵。(期待度=B)

ナイキアディライト(牡4歳)[石崎隆之騎手、出川龍一厩舎(船橋)](父:ディアブロ)
通算成績:17戦8勝(主な勝ち鞍:日本テレビ盃(統一GII)、かしわ記念(統一GII)、帝王賞(統一GI)2着)
短評:2歳の9月に船橋でデビュー勝ち。そのまま南関東では無敗のまま羽田盃東京ダービー南関東クラシックの二冠を制覇し、ジャパンダートダービーでは僅差の3着。その後しばらくスランプに陥っていたが、今年のかしわ記念で復活を果たし、続く帝王賞ではアドマイヤドンのハナ差2着と大健闘。秋緒戦の日本テレビ盃を快勝して万全の状態でここに臨む。ここ3戦の内容からここも当然勝ち負けの力はあるが、その一方でこの3戦すべてが単騎マイペースの展開に恵まれているのも事実。今回は逃げ馬が揃っているだけに、厳しい展開となって失速の危険もありそうだが。(期待度=B)

ビッグウルフ−出走取り消し

シャコーオープン(牡4歳)[的場文男騎手、蛯名末五郎厩舎(大井)](父:ジェイドロバリー)
通算成績:16戦7勝(主な勝ち鞍:船橋記念、東京記念)
短評:2歳10月に大井でデビュー勝ち。雲取賞を勝って臨んだ南関東クラシック路線は、羽田盃が4着で東京ダービーが3着。その後一息のレースが続いたが、ここへきて本格化し、4連勝で船橋記念、東京記念を制覇。その東京記念は強い勝ち方だったし、これなら今回の強力メンバーでも通用しそうな感触はある。鞍上の的場文雄騎手とは相性抜群だし、逃げ馬が揃って展開が読みにくいだけに自在の脚質も良い方に働きそう。流れ次第では勝ち負けの期待も。(期待度=A)

アジュディミツオー(牡3歳)[内田博之騎手、川島正行厩舎(船橋)](父:アジュディケーティング)
通算成績:7戦4勝(主な勝ち鞍:東京ダービー東京湾カップ日本テレビ盃(統一GII)2着)
短評:昨年の9月に船橋でデビュー勝ちし、そのまま無敗の4連勝で東京ダービーを制覇。その後ジャパンダートダービーを4着し、黒潮盃では3着と不覚を取ったものの、前走の日本テレビ盃ナイキアディライトの2着に入った。もともと素質は高く評価されていた馬だが、多少相手が軽かったとはいえ前走で古馬相手に結果を残しているのは好感。ここのところの内容から控える競馬もできるようになっているし、うまく立ち回れば一発があっても。(期待度=B)

アドマイヤドン(牡5歳)[安藤勝己騎手、松田博資厩舎(栗東)](父:ティンバーカントリー)
通算成績:18戦9勝(主な勝ち鞍:JBCクラシック(統一GI)2回、フェブラリーS(GI)、帝王賞(統一GI))
短評:2歳の10月に京都でデビュー勝ちし、3連勝で朝日杯フューチュリティS(GI)を制覇。3歳時はJRAのクラシック路線を歩んだものの、秋にダート路線に矛先を変え、JBCクラシックを快勝。昨秋に完全に本格化し、エルムS(GIII)、南部杯JBCクラシックと3連勝し、ジャパンカップダート(GI)がハナ差の2着。今期は、フェブラリーSを快勝してドバイワールドカップに挑戦し、帰国緒戦の帝王賞でGI6勝目。前走の南部杯では武豊騎手の仕掛けミスもあってユートピアの逃げ切りを許し2着となっている。JBCクラシック3連覇に挑むここも、常識的には能力上位のはず。ただ、前走で負けたということはともかくとして、ここへきて勝負どころの反応が鈍くなってきているのが気にかかる。今回は主戦の安藤勝己騎手に戻るだけに大丈夫とは思うが、勝負どころで流れに乗り損ねれば思わぬ取りこぼしもないとはいえなさそう。(期待度=A)

タイムパラドックス(牡6歳)[武豊騎手、松田博資厩舎(栗東)](父:ブライアンズタイム)
通算成績:29戦11勝(主な勝ち鞍:ブリーダーズゴールドカップ(統一GII)、白山大賞典(統一GIII))
短評:3歳3月に阪神でデビューし、2連勝。その後も条件戦を着実に勝ち上がり、5歳の冬にオープン入り。6歳となった今期、完全に本格化し、平安S(GIII)、アンタレスS(GIII)と重賞を2勝。東海S(GII)を2着して臨んだ帝王賞でも4着と健闘し、続くブリーダーズゴールドカップ天皇賞・春(GI)勝ち馬イングランディーレを下して優勝。エルムS3着を挟んだ前走の白山大賞典では早めに先頭に立って圧勝した。帝王賞時に大井がこなせることは分かっているし、そのとき以上に力をつけているここは楽しみ。ここのところ大一番での神通力がなくなっている武豊騎手だが、こと大井競馬場に限れば年々うまさを増しているだけに、一発があってもおかしくはなさそう。(期待度=B)

アンドゥオール(牡5歳)[松永幹夫騎手、長浜博之厩舎(栗東)](父:ブライアンズタイム)
通算成績:19戦8勝(主な勝ち鞍:東海S(GII)、マーチS(GIII))
短評:3歳5月に中京でデビューし、3戦目で初勝利。その後も条件戦を着実に勝ち上がり、今年の冬にオープン入り。マーチS東海Sを連勝して臨んだ帝王賞では5着に敗れた。その後一息入り、日本テレビ盃5着を叩いてここへ。マーチS東海Sの時に比べると、ここ2戦の内容が一息で、地方の深い砂は向いていないのではないかという気がする。素質は高いだけにここで走られても驚きはしないが。(期待度=C)

モエレトレジャー(牡3歳)[金子正彦騎手、足立勝久厩舎(川崎)](父:トレジャーアイランド)
通算成績:13戦5勝(主な勝ち鞍:しらさぎ賞戸塚記念埼玉新聞杯)
短評:2歳の7月に川崎でデビュー勝ち。今期はしらさぎ賞を勝って南関東クラシック路線に乗り、羽田盃では4着と健闘も東京ダービーでは12着と大敗。その後黒潮盃を6着を挟んで戸塚記念埼玉新聞杯と重賞2連勝。ここへきての充実振りは確かだが、ここは格段の相手強化。一本調子で展開に注文もつくタイプだけに、あくまでも展開に恵まれてどこまで頑張れるかだろう。(期待度=C)

テンリットル(牡6歳)[水野貴史騎手、川嶋弘吉厩舎(高崎)](父:モガンボ)
通算成績:43戦11勝(主な勝ち鞍:高崎大賞典2回、高崎記念、名古屋大賞典(統一GIII)3着)
短評:旧3歳の9月に高崎でデビュー勝ち。3歳7月のサラブレッドカップで重賞初制覇し、続くサラブレッドチャレンジカップ(統一GIII)が3着。その後は高崎のエースとして各地に積極的に遠征しながら活躍。6歳となった今期、名古屋大賞典で久々に統一重賞での入着を果たしたが、その後地元戦で4連敗と下降気味。そろそろ年齢的な衰えがあるようで、全盛期でもこの相手ではと思われるだけに、今回はさすがに苦しそうだ。(期待度=E)

ヤスミダブリン(牡5歳)[今野忠成騎手、大山二三夫厩舎(大井)](父:エアダブリン)
通算成績:42戦8勝(主な戦績:東京記念2着、ゴールドウイング賞3着)
短評:2歳の7月に笠松でデビューし、5戦目で初勝利。続くゴールドウイング賞で3着に入り、東海公営で計4勝後、昨年大井に移籍。大井に移籍後はB級で堅実に走っていたが、前走の東京記念で格上挑戦ながら2着と大健闘。とはいえ、その前走はいかにも流れが嵌ったし、2着とは言っても勝ち馬から2.3秒離されてのもの。さすがにここで通用の根拠は見出しにくい。(期待度=E)

トーシンブリザード(牡6歳)[佐藤隆騎手、佐藤賢二厩舎(船橋)](父:デュラブ)
通算成績:22戦9勝(主な勝ち鞍:ジャパンダートダービー(統一GI)、かしわ記念(統一GII)、全日本3歳優駿(統一GII))
短評:旧3歳の9月に船橋でデビューし、無敗の8連勝でジャパンダートダービーを含む南関東のクラシック四冠を制覇。その後も休み明けの東京大賞典(統一GI)3着、フェブラリーSで2着して将来を大いに嘱望されたが、4歳の夏頃から体調を崩し長期のスランプに。今期はそれでも堅実に駆けている方だが、全盛期に程遠い状態なのは否めない。2000mは若干距離が長い上にこの外枠では、うまく流れに乗れてどこまでといったところか。(期待度=C)

コアレスハンター(牡7歳)[御神本訓史騎手、高橋三郎厩舎(大井)](父:ハイブリッジスルー)
通算成績:31戦14勝(主な勝ち鞍:金盃2回、東京大賞典(統一GI)2着、南部杯(統一GI)2着)
短評:旧3歳の12月に大井でデビューし、3戦目で初勝利。その後も条件戦を順調に勝ち上がり、5歳時にオープン入りすると、かちどき賞で重賞初制覇。6歳となった昨年は完全に本格化し、秋シーズンは南部杯2着、JBCクラシック3着、東京大賞典2着と大活躍。7歳となった今期は、金盃で連覇を達成し、秋緒戦は南部杯7着を叩いてここへ。さすがに去年ほどの勢いはないし、自在の脚質とはいえこの相手では前に行けないと厳しくこの外枠は痛い。まずは流れに乗ってどこまで。(期待度=C)


―まとめ―

 JBCクラシックの予想のポイントは、展開をどう読むかということと、アドマイヤドンをどう扱うかの2点に尽きるといえそうだ。今回は逃げ馬が揃っているだけに、テンから激しい流れになる可能性も否定できないが、ユートピアは距離に不安があるだけにテンに無理はできないだろうし、アジュディミツオーは控えても競馬ができる馬。モエレトレジャーは揉まれると駄目な馬なだけに、すんなり外目に付けられれば控えることは十分考えられる。そこで今回もナイキアディライトが単騎で行ける可能性は高いと見るが、それでも帝王賞よりは先行勢が早めに動く可能性もあり、本命には先行勢を見ながら絶好位で競馬ができそうな◎シャコーオープンを思い切って抜擢してみる。とにかくここへきての充実が素晴らしく、前走の内容も秀逸。全国クラスの強豪との手合わせが初めてだけに、ここで壁に当たる可能性も否定はできないが、相性抜群の的場文男騎手の手綱さばきで一気の突破を期待したい。

 相手にはここも単騎で行けると踏んで○ナイキアディライトを推す。ここ3戦の内容から、とにかく単騎で逃げられさえすればしぶとさは一級品。展開が厳しくなる可能性も考えて二番手評価にはしたが、すんなり行ければあっさり逃げ切りがあってもおかしくはない。

 ここも断然人気が予想される▲アドマイヤドンの扱いは迷うところだ。前走の負け自体は単なる騎手のボーンヘッドでそれほど気にすることではないのだが、今年のレース内容がどうにも昨年ほどの迫力に欠いている気がして仕方がない。主戦の安藤勝己騎手に戻るだけに、それほど気にすることはないのかもしれないが、万が一大きく取りこぼす可能性があるとすればここと踏んで、思い切って評価を落としてみる。もちろん、あっさり勝ってもおかしくはないのだが・・・

 一発に期待があるとすれば△タイムパラドックスが面白そうだ。ここへきての充実振りから、少なくとも帝王賞時よりは前との差は詰まっているはず。武豊騎手乾坤一擲の騎乗が決まれば、大勢逆転の望みもあるだろう。

 △アジュディミツオー、△ユートピアの先行勢も侮れないが、アジュディミツオーは素質の高さを認めてもまだ3歳ということで、さすがに勝ちきるとなるとどうか。ユートピアの場合は展開が微妙。ナイキアディライトが逃げ宣言をしているだけに、単騎逃げは望みづらい状況。となるとこの内枠はむしろ裏目になる可能性もある。ナイキアディライトが控えてくれるか、バラけて単独2番手のような状況になれば能力全開となるのだろうが。