第9回秋華賞(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 3歳牝馬三冠の最終戦秋華賞(GI)が行われる。今年の3歳牝馬オークス(GI)に1勝馬でも出走できたように存外層が薄く、また、桜花賞(GI)勝ち馬ダンスインザムードが休み明けぶっつけ、オークス勝ち馬ダイワエルシエーロは、前哨戦のローズS(GII)で沈んだ挙句出走回避となにやら波乱のムードも漂ってきた。順当か、大荒れか、極端な結果が待っていそうだ。秋華賞(GI)の枠順(JRA日本中央競馬会)

 そんな中でも軸としての信頼性では◎スイープトウショウが一番だろう。前走のローズSでは結果的に3着に敗れたが、これは休み明けに加えて後方から早目に動いて出た結果によるもの。仕掛けるタイミングをつかんだ今回は、同じ過ちは繰り返さないであろうし、坂のある阪神から京都コースに変わるのもプラス。加えて、鞍上の池添騎手も、ヤマカツスズランでこのレースを2着したこともあるように、京都の芝2000mは苦にしていない印象。これだけプラス材料があれば、ローズSから前進はあっても後退はないだろう。

 相手候補は難しいが、ペースが速くなってゴチャゴチャの差し比べになれば○ヤマニンシュクルに出番が回ってきそうだ。昨年の阪神ジュヴェナイルフィリーズ(GI)を制してからは今一つ詰めきれないレースが続いているが、これは多分に展開不向きによるもの。父トウカイテイオー産駒は、上がりの早い競馬になると詰めきれない一方、ペースが厳しくなってゴチャゴチャの展開になると一気に突っ込んでくる傾向にあるように思う。秋華賞特有の乱戦になれば、一気の差し切りも充分だろう。

 秋華賞で穴を開ける馬に共通するのは、古馬混合の1000万下を勝って力を示している馬か、前哨戦で2着、3着に入って権利を取ったものの今一つ影の薄い馬。今年の場合、やはり全体的なレベルが落ちるのか、条件に当てはまるのはフェミニンガールただ1頭。古馬混合の1000万下を勝っているといっても福島の芝1200mだけに、かなり無理があるようにも思うが、紫苑Sで一応1800mまではこなしている。鞍上の岩田康成騎手も不気味で、前が残る展開になった場合の穴馬はこのあたりだろう。

 紫苑Sを1位入線(降着)した△ヤマニンアラバスタは、春とは一変したレース振りだっただけに、ここも大いに期待したいところ。ただ、降着の責任をとらされたとはいえ、大舞台で勝負強さを発揮する江田照男騎手から、JRAのGIとなるととかく詰めの甘い柴田善臣騎手への乗り代わりは、技術の巧拙は別の次元でやはり買い材料とは言いにくい。能力は認めても、結局2着までになってしまうのではないかという懸念を容れて連下までの評価にとどめざるを得ない。

 人気が予想されるダンスインザムードは、休み明けぶっつけということも一抹の不安があるし、何よりこれまでゆったりとした流れの競馬していないのは気になる。前走のアメリカンオークス(米GI)で掛かるような仕草を見せていたように、気性的な難しさは内包しているはずで、休み明けで秋華賞特有の乱ペースになった場合には気性が暴走する可能性も充分だろう。少なくとも人気ほどの信頼性があるとは考えにくく、これで勝たれたら仕方ないと割り切って軽視したい。

 ローズSの上位2頭は、時計は速かったものの展開に恵まれた部分も大きかったのではないか。勝ったレクレドールは、全てが嵌まってあの結果という感が強い。前走大幅に馬体が減っていたことも気にかかるし、こちらも気難しい面がありそうなだけに、小牧太騎手の腕を考慮しても乗り替わりはプラスとは言えないはず。前走以上の結果を臨むのは難しいと見て今回は軽視したい。2着のグローリアスデイズは、なかなかしぶとい内容だったし、春も堅実に駆けていただけに今回も入着は充分ありそうだ。反面、やや勝ちきれない面はあり、鞍上が若い柴原騎手ではなかなか大駆けまでは難しそうに思う。あっても入着までと見て軽視したい。