公営高崎・宇都宮競馬が今年度限りで廃止の公算大に

 公営高崎競馬を運営する群馬県競馬組合が、経営難を理由に高崎競馬を今年度限りで廃止することで合意したと伝えられている。報道によると、この方針は小寺群馬県知事にも伝えられ、高崎競馬を共同運営する高崎市も早期廃止を求めていることから、公営高崎競馬が廃止される可能性が非常に強まっている。

 高崎競馬の単年度収支は、昨年度まで12年連続の赤字となっており、昨年度の赤字額は6億7800万円。累積赤字は約51億円にのぼっているという。【日刊スポーツ】

 群馬県など公営競馬を抱える7県は、この8月に農水省に対して地方競馬支援のための予算措置を要望したが、来年度予算の農水省の概算要求には盛り込まれていない。【読売新聞】【Google News】

 ちなみに、公営高崎競馬については、2005年4月から放映されるNHK朝の連続テレビ小説「ファイト」(主演は本仮屋ユイカさん-17歳)で高崎競馬場が舞台となることが決まったばかりである。そのあらすじは「町工場を営む15歳のヒロイン一家が離散の危機を乗り越え、ヒロインが大好きな馬とともに自らの生きる道を見つける」というものが予定されているとのこと。テレビドラマの舞台となる公営高崎競馬にとっても格好の宣伝となることが期待されていただけに、その放映直前に競馬場そのものが消滅してしまうという公算が大きくなったということは、残念としかいいようがない。【毎日新聞】

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 また、同じ北関東の栃木県営・宇都宮競馬についても、栃木県競馬検討委員会が今年8月25日に今年度限りで廃止すべきと県知事に対して答申を行なっており、福田昭夫知事の最終決断を待つのみという段階に至っている(注記1)。

 栃木県では12月8日に現職の任期満了に伴う県知事選が予定されている。現職の福田昭夫知事が再選を目指して出馬する方針だが、これに対して2002年3月に宇都宮市営競馬を廃止した(注記2)福田富一・宇都宮市長も対抗馬として県知事戦に出馬する見通しとなっており、公営宇都宮競馬の存廃問題が県知事戦の争点として浮上しつつある。政争化した場合、「栃木県競馬の存続=県財政への赤字容認」というレッテル張りが行なわれることは確実で、栃木県営競馬の廃止を公約に織り込む候補者が現れる一方で、同競馬の存続を容認する候補者は現れない公算が大きい。以上から、公営宇都宮競馬についても来年度以降の存続は困難の見通しとなっている。

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 公営宇都宮競馬と公営高崎競馬が2005年3月限りで廃止されてしまった場合、北関東競馬そのものが消滅することになる。競馬法改正が実現し、地方競馬主催者の広域連合化の機運が高まりつつあるこの時期に、地方競馬のブロック単位が一つ消滅する危機にさらされるとは皮相的という観を禁じ得ない。

 なお、北関東競馬ブロックにおける地方競馬存廃問題については、宇田川淳氏のコラムも詳しい。

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 注記1:
 公営宇都宮競馬の存廃問題については、宇都宮競馬場で開業されている浅見政孝獣医のホームページの記載が詳しい。【浅見競走馬診療所-宇都宮競馬の存廃問題を考える】

 注記2:
 それ以前の公営宇都宮競馬は、栃木県営競馬が18分の16、宇都宮市営競馬が18分の2の割合で開催権を有していが、2002年3月限りで宇都宮市が開催権を返上。福田富一宇都宮市長は1999年の市長選で前市長の後継候補を破って初当選。前市長の「2004年をめどに存廃論議」方針を覆し、宇都宮市営競馬の廃止を2年前倒しする政治決断をした前歴がある。