[中央]第40回札幌記念(GII)|優勝:ファインモーション|父:Danehill|生産:愛国・Barronstown Stud

 秋シーズンに向けてのステップレース、札幌記念(GII)は、単勝1番人気に推されたファインモーション(牝5歳)[武豊騎手、伊藤雄二厩舎(栗東)]が、道中離れた最後方追走から勝負所で一気に進出し、直線で外から一気に差し切って優勝した。勝ちタイムは2:00.4。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上:札幌・芝2000m:別定・晴・良]

 道中2番手追走から直線抜け出した、昨年の毎日王冠(GII)勝ち馬バランスオブゲームは、勝ち馬の決め手に屈して1/2馬身差の2着。スタートからハナを切って快調に逃げた昨年のマイラーズカップ(GII)勝ち馬ローエングリンは、直線粘りを欠いて3着。

 以下、前走エプソムカップ(GIII)で昨年に続く連覇を果たしたマイネルアムンゼンは、中団追走から勝負所で進出も、直線では上位の馬との決め手の差があり5着まで。昨年のステイヤーズS(GII)3着のハッピールックは、ここでは距離が短く、中団から流れ込んだだけの8着。昨年の新潟記念(GIII)勝ち馬ダービーレグノは、好位追走も道中後の馬に乗りかかられる不利があって故障を発生し最下位の11着。レース後に予後不良と診断される残念な結果となった。

 勝ったファインモーションは、父が世界的名種牡馬Danehill、母がCocotteで、母の父が1979年の英・愛ダービーキングジョージを制した歴史的名馬Troyという血統で、兄に1997年のジャパンカップ(国際GI)勝ち馬ピルサドスキーがいる。愛国・Barronstown Studの生産で、馬主は伏木田達男氏。2歳12月の阪神開催でデビュー勝ち。3歳時は夏の函館開催で復帰し、5連勝(通算6連勝)で秋華賞(GI)とエリザベス女王杯(GI)を連覇。4歳時は、マイルチャンピオンシップ(GI)で2着に入ったものの、重賞勝ちは暮れの阪神牝馬S(GII)のみとやや消化不良に終わった。今期は復帰緒戦となった安田記念(GI)では13着と大敗したが、前走の函館記念(GIII)で僅差の2着に入り、ようやく復調の兆しを見せていた。

 ファインモーションは、ようやく復調してきたという印象。3歳時の圧倒的なパフォーマンスからするとまだ物足りない面はあるが、これまで歯車が全く合っていなかった武豊騎手もようやくこの馬を手の内に入れてきた印象で、相性のいい京都コースのエリザベス女王杯マイルチャンピオンシップなら上位争いは確実だろう。ただ、天皇賞・秋(GI)あるいは有馬記念(GI)となると、輸送の問題も含めまだ未知数な面は残りそうだ。

 バランスオブゲームは、休み明けとしては上々の内容ともいえるが、もともと鉄砲駆けするタイプだけにこれくらいは走って当然。むしろ、まだ完全復調とはいえないファインモーションに差されたのは不満とさえいえるくらいだ。どうも2000mでは1800mほど走れないようなところがあり、一線級相手になると詰めが甘くなる点も解消されていない。もう一段の成長がない限り、秋のGIで勝ちきるまでは難しそうだ。

 3着のローエングリンは、今回がベストの条件と思えただけに完敗といえる内容での3着は不満。どうも昨春の絶好調時の勢いを欠いている感じで、このままではよほど展開に恵まれないと秋のGI戦線では苦戦しそうだ。5着のマイネルアムンゼンは、絶好調と映っただけに上位三強の一角崩しが期待されたが、遣われている強みがあってこの完敗では、やはり一線級との差は否めない。秋は裏路線に回らない限り苦戦は必死だろう。