[福山]第30回金杯|優勝:ワシュウジョージ|父:ミスタージョージ|生産:静内町・落合一己牧場

 ファン投票で行われる福山の夏のグランプリ金杯は、ブービー人気の伏兵ワシュウジョージ(牡8歳)[野田誠騎手、堀部重昭厩舎(福山)]が、道中後方待機から勝負所で一気に進出し、直線で前を差し切って優勝した。勝ちタイムは1:49:0。二着に3番人気にイケノスカレー、3着に7番人気のニュータイム。それぞれ単勝1.9倍、2.1倍と一本被りの人気となった二頭のうち、一番人気のクロイチョキンバコは4角で故障を発生し最下位の10着、2番人気のラピッドリーランクロイチョキンバコにハナを叩かれていいところなく6着と惨敗。三連単は400,280円の大波乱となった。なお、鞍上の野田誠騎手は、ホマレエリートで制した一昨年、昨年に続きこのレース三連覇となった。

【Keiba.go.jp 地方競馬情報サイト】 [アラブ・ファン投票:福山・ダート1600m:規定・曇・良]

 レースは、新春賞勝ち馬の女傑ラピッドリーランが内から行こうとするところを、ここまで14戦12勝で、前走の銀杯で3歳最強を示した一番人気のクロイチョキンバコが外から強引にハナを奪う展開となる。

 クロイチョキンバコは快調なペースで逃げたが、4角て前で故障を発症して一気に失速。直線は代わって後方から捲ってきた昨年の福山3歳牝馬特別勝ち馬イケノスカレーが先頭に立ったが、さらにその後ろから捲ってきたワシュウジョージが大外から一気に差し切って優勝した。

 勝ち馬の強襲に屈したものの粘りこんだイケノスカレーが2着。7番人気の伏兵ニュータイムが中団待機からしぶとく伸びて3着に入った。

 以下、2002年の銀杯勝ち馬モナクカバキチが好位追走から流れ込み4着。昨年の福山菊花賞4着のメカリジョージが道中最後方から追い込んで5着。クロイチョキンバコにハナを叩かれ、2番手からの競馬を余儀なくされたラピッドリーランは、4角で一杯となり6着。福山桜花賞5着のフェストクインシーは、後方待機も直線も伸びきれずに7着。ここへきて3連勝と好調の、父カルラネイチャー産駒の上がり馬イケノロマンは、好位追走も直線は一杯となって8着。2002年の福山菊花賞勝ち馬フジナミスペシャルは、中団追走も勝負所でついていけなくなりブービーの9着。4角で故障を発症したクロイチョキンバコは、ゴールまで何とか走ったものの、最下位の10着に終わった。なお、クロイチョキンバコはその後の検査で重度の屈腱炎を発症していることが判明。残念ながら現役を引退し、北海道の天羽牧場で種牡馬として第二の馬生を送ることになった。

 勝ったワシュウジョージは、父ミスタージョージ、母ワシュウミドリ(母父ミクニノホマレ)で、半兄に2000年の摂津盃、2001年の九州アラブグランプリを制したシャインマンリー(兄ミマツホマレ)、全弟に今年の福山ダービーを制したタッカーワシュウがいる血統。旧3歳の12月に園田の曽和直栄厩舎からデビューし、デビューから3連勝。旧4歳時は菊水賞六甲盃、西日本アラブダービーを制し、楠賞全日本アラブ優駿が2着。古馬となってからも、旧5歳時にはタマツバキ記念山陽杯を、5歳時にはセイユウ記念アラブグランプリを制して2年連続でNARグランプリアラブ最優秀古馬に選出された。6歳になると、年齢的なものか徐々に成績が下降線をたどり、昨年の秋に園田から福山の堀部重昭厩舎に転厩。福山移籍後も3着2回が最高と、今一つの成績が続いていた。

 さすがに年齢的にピークが過ぎたと思われていたが、展開が向いたこともあって久々にこの馬らしい豪脚を見せたワシュウジョージは見事というほかはない。今回は恵まれた面が多い勝利だけに、完全復活なったかどうかは次走以降を見ないと分からないところだが、それにしても見事な復活劇だ。