日本経済新聞が専門記者コラム「迷走するパート1入り」を掲載

 【日本経済新聞】 野元賢一・運動部記者による執筆。競馬法改正問題と絡み、1999年策定の「国際化第二次五カ年計画」満了を受けての、今後の外国馬への開放と「パート1」国入り問題の関係について解説している。

 野元氏によれば、今回「パート1」国入りに関する議論の発端となったのは生産界側の要望であり、それを受けてJRAが「パート1」国入りにむけての条件を具体的に示したにもかかわらず、突如生産牧場側から開放策の反対意見が出てきたという。

 その背景には、もともと「パート1」国入りの議論がJRAの国際会議における面子を満たすために始まったものである事、「パート1」国入りによる海外販路の拡大というメリットに対して疑問が多いこと、対外開放によって直接的な影響を蒙る牧場経営者と影響がほとんどない牧場経営者との間で齟齬が生じていることなどがあると指摘されている。

 記者が思うに、「国際化」が最初に議論に上ったときと現在とでは明らかに競馬界・生産界を巡る状況は変化しています。世界の競馬における寄与度からいって、メリットの有無にかかわらす日本の「パート1」は当然に果たされなければならないと思われますし、JRAが「パート1」国入りの具体的な条件を示したのは一つの前進といえるでしょう。GIレースを社台グループが席巻する状況において、少なくともJRAの重賞クラス以上のレースを外国産馬・外国調教馬に全て開放したとしても、現在の状況がそうも劇的に変わるとは思えません(外国調教馬についていえば、出走資格を獲得賞金順にすれば、内外の賞金格差からいってフルゲートになればほぼ除外でしょうし)。

 その一方で、外国産馬の出走制限を巡るファンの不満が解消に向かうというメリットは少なくないと思います。伝統という観点からクラシック路線の全面開放が受け入れられないというのであれば、クラシック登録の時期をかなり早い段階に置き、追加登録料を莫大な額にするなどの歯止め策も考えられます。今や、生産界が求めるべき要求の軸足は、「国際化」問題から、地方競馬の経営改善を中心とした、日本の競馬の底辺の問題への取組みに変わるべきなのではないでしょうか。