第65回オークス(優駿牝馬)は、ダイワエルシエーロが優勝

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳牝馬限定:東京・芝2400m:定量・曇・やや重]

 3歳牝馬チャンピオン決定戦のオークス(GI)は、単勝6番人気の伏兵ダイワエルシエーロ(牝3歳)[福永祐一騎手、松田国英厩舎(栗東)]が、2角で先頭に立つとスローペースに落とし込み、ゴール前猛追したスイープトウショウを3/4馬身差抑えて逃げ切った。勝ちタイムは2:27.2。

 レースは、押し出されるようにスイートピーS勝ち馬のウイングレットがハナに立ち、あからさまなスローペース。ダイワエルシエーロは、福永祐一騎手が判断よく2角で先頭を奪うと、そのまま絶妙のペース配分でレースの主導権を握り、上がりもまとめてまんまと逃げ切った。

 チューリップ賞(GIII)勝ち馬スイープトウショウは、好スタートから後方のうちで待機。直線も内を衝いて猛然と追い込んだが、僅かに及ばず2着まで。スタートで出遅れ最後方からの競馬となったフラワーカップ(GIII)2着馬ヤマニンアラバスタが、馬場の真ん中からしぶとく伸びて3着。単勝1.4倍と圧倒的な一番人気に支持された桜花賞ダンスインザムードは、好位の内で宥められ、直線もスムーズに前が開いたものの、そこから伸びを欠いて4着に終わり、三連複は63,460円の大波乱となった。

 昨年の阪神ジュヴェナイルフィリーズ(GI)勝ち馬ヤマニンシュクルは、後方で折り合い直線勝負に賭けたものの、雨で馬場が渋っていたこともあっていつもほどの切れ味はなく5着に終わった。

 勝ったダイワエルシエーロは、父サンデーサイレンス、母ロンドンブリッジ(母父ドクターデヴィアス)の血統。通算成績はこれで5戦3勝。重賞はクイーンカップ(GIII)に続き2勝目で、GIは初制覇。

 とにかく評価の難しいオークスになった。ダイワエルシエーロの勝利は、福永祐一騎手の好騎乗に尽きるといったところ。力関係についても今回だけでは判断しかねるし、距離についてもスローで行けたから粘れたという要素は大きいだろう。いずれにしても、もう少し見てみないとこの馬の能力については分からない。ただ、オークスで穴を開けるパターンとして、距離適性云々もさることながら、桜花賞で負けていたが東京コースで実績のあった馬(とりわけクイーンカップ(GIII)好走馬)が巻き返すという図式はかなり出来上がってきたように思う。

 スイープトウショウについては、今回初めて馬込みに突っ込む競馬をしたが、結果的にそれが功を奏した形。こちらも距離適性についてはなんともいえない面はあるが、父エンドスゥイープ産駒も含めたフォーティーナイナー系の馬は、矯めが利けば意外に距離はもつ馬が多いということは抑えておかなければならないか。スイープトウショウ自身も、流れ次第では2000mくらいまでなら十分守備範囲なのかもしれず、秋にどういうレースを見せるか注目だろう。スローペースで見た目1600mの競馬となった中、3着まで追い込んできたヤマニンアラバスタは、いかにも2400m向きのスタミナタイプ。今回もまだ馬体が戻りきらなかった上、レースの流れを考えると痛恨といえる出遅れ。結果的には桜花賞を使ったのが余計だったように思う。ただ、このメンバーなら上位の能力を持つことは示せたわけだし、条件が揃えば今後大きなところが狙えるように思う。

 ダンスインザムードの敗因は、色々考えられるが、一つには+14kgの馬体増か。はっきり太いとまではいわないにしても、やはり若干緩い仕上げだったようには見えた。あとは焦れ込みも敗因としては考えられる。もともとうるさい面はあったにしても、正直今回は度を越していたように見受けられた。あとは、2400mの距離か。血統面からむしろ歓迎とのたまっていた血統評論家が多かったようだが、全兄弟だからといって全く同じタイプに出るわけではないのが血統の難しいところ。センスとスピードで押すこれまでのレース振りは、確かにダンスパートナーダンスインザダークとは異なっていたわけで、血統を抜きに桜花賞のレース振りを見れば、やはり1600m前後がベストという評価ができるのかもしれない。いずれにしても、1勝馬でさえ出走できてしまうくらいに全体的に低レベルな今年の3歳牝馬にあって、そのなかで圧倒的な強さを見せていたからといって、マイナス要素があれば負けてしまう程度の馬だったということなのかもしれない。

 秋に向けて、この中から一段の成長見せてくる馬が出てくることを期待したいところだ。