第21回東海テレビ杯東海S(GII)は、アンドゥオールが優勝

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上:中京・ダート2300m:別定・雨・良]

 中京ダートの名物レース東海S(GII)は、単勝2番人気のアンドゥオール(牡5歳)[松永幹夫騎手、長浜博之厩舎(栗東)]が、道中中団追走から勝負所で進出。直線あっさりと抜け出すと、終いやや甘くなったもののそのまま後続の追い込みを抑えて優勝した。勝ちタイムは2:23.7。

 レースは、昨年の川崎記念(GI)勝ち馬カネツフルーヴと前走準OPの上賀茂Sを逃げ切ったイブキリムジンオーが激しく競り合う流れ。この両馬が勝負所で一杯となるとともに後続の有力どころが仕掛けにかかる厳しい流れ。アンドゥオールは中団待機から勝負所で進出し、直線抜け出す横綱相撲で押し切った。

 今期、平安S(GIII)、アンタレスS(GIII)の重賞2勝と好調のタイムパラドックスは、後方待機から徐々に進出。ゴール前1頭だけ違う脚色で追い込んだが、僅かに1/2馬身差及ばずの惜しい2着。アンタレスS(GIII)3着のヒシアトラスは、好位追走からこの馬なりの伸びを見せたが、上位2頭とは決め手で見劣り3着まで。

 昨年のフェブラリーS(GI)2着馬ビワシンセイキは、好位追走から4角で2番手に上がったものの、微妙に距離が長いのかそこからの伸びがなく4着。一番人気に支持された上がり馬べラージオは、中団からジワジワ伸びては来たが、前を脅かすには至らず5着まで。

 以下、昨年の春待月S(OP)3着馬ペルフェットは、後方から勝負所で一気に捲っていったが、結果的には仕掛けが早く直線失速して7着。船橋から戸田博文厩舎(美浦)に移籍した昨年のエンプレス杯(統一GII)勝ち馬ジーナフォンテンは、好位追走も-12kgの馬体減が堪えたのか、勝負所で一杯となり12着。逃げたカネツフルーヴは大差の最下位に沈んだ。

 勝ったアンドゥオールは、父がブライアンズタイム、母が1993年のローズS(GII)勝ち馬スターバレリーナ(母父Risen Star)という超良血馬。3歳5月の中京開催でデビューし、3戦目で初勝利。デビュー時から素質を高く評価されていたものの、体質面の弱さもあって足踏みを強いられたが、昨年の夏頃から本格的に素質開花。今年は2連勝して臨んだ仁川S(OP)こそ人気を裏切ったものの、続くマーチS(GIII)を快勝して重賞初制覇を果たしていた。

 アンドゥオールは今回も勢いに乗って重賞連覇。もはや完全に素質馬が一皮剥けた印象だ。ただ、レース振りからは1800m〜2000mまでがベストという印象。能力の高さは疑う余地がないだけに、あとは一線級の馬との力関係と、地方のダートがこなせるかどうかが鍵になりそうだ。2着のタイムパラドックスは、結果的に仕掛けが遅れた印象で勿体無い負け方。ただ、差し脚質の割には中京コースは走る。ヒシアトラスは現状ワンパンチ足りない印象で、重賞クラスだと相手に恵まれないと勝ちきるのは難しいか。ビワシンセイキは明らかに距離が長かった印象で、それを考えればよく走っている。べラージオは長距離適性だけで人気になりすぎていた印象。器用さに欠ける面があるだけに、本質的に小回りは不向きだろう。