第130回ケンタッキーダービー(米GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

【The Blood-Horse】 アメリカ牡馬クラシック三冠レースの初戦にして、アメリカ競馬の最高峰、ケンタッキーダービー(米GI)が、現地時間5月1日(日本時間5月2日朝)に行われる。今年はステップレースの勝ち馬がレース毎に入れ替わる大混戦で、ほとんどの出走馬にチャンスがある難解なレースとなった。なお、サンフェリペS(米GII)2着馬のSt Averilと、ルイジアナダービー(米GII)勝ち馬でBob Baffert調教師の秘密兵器Wimbledonが直前になって出走を取消。現時点で18頭立てとなっている。

 どの馬からの入れそうな組み合わせだが、今回の予想の中心には少し狙って◎Imperialismを抜擢する。サンヴィンセンテS(米GII)、サンラファエルS(米GII)と連勝してきた内容は秀逸。前走のサンタアニタダービー(米GI)はCastledaleの末脚に屈して2着(3位入線からの繰り上がり)に終わったが、初めての一線級相手ということを考えれば内容は決して悪くなかった。鞍上のKent Desormeaux騎手の勝負強さにも期待したいところ。管理するのは若干21歳の女性調教師Kristin Mulhall調教師と話題性も十分だ。

 軸としての信頼性ならば○The Cliff's Edgeか。ステップレースのブルーグラスS(米GI)は、逃げた昨年のハリウッドフューチュリティS(米GI)勝ち馬Lion Heartを自ら捕まえに行き、そのまま押し切った強いレース内容。ケンタッキーカップジュヴェナイル(米GII)、イロコイS(米GIII)とチャーチルダウンズ競馬場を得意としていることも強み。父のGulchも2冠馬サンダーガルチを出しており、血統面からの後押しもある。あとは一番人気が不振という壁だけが懸念材料だが、大崩はなさそうだ。

 一発があるとすれば、まずは▲Master Davidあたりだろうか。ステップレースのウッドメモリアルS(米GI)は伏兵のTapitに敗れたものの、1/2馬身差なら巻き返しの余地は十分にある。断然の人気を集めていた昨年のEmpire Makerの時とは違い、今回は気楽な立場で臨めるはずで、こういう時にBobby Frankel調教師のケンタッキーダービー初制覇となるのかもしれない。

 伏兵も多彩だが、まず不気味な一頭が△Minister Eric。昨年のBCジュヴェナイル(米GI)2着馬で、前走は一般戦を快勝しての参戦。ここのところ一線級と手合わせしていなかっただけに評価が難しいが、BC2着で既に底力は証明しているし、名伯楽Richard Mandella調教師のすることだけにこのステップも意味深。ここへきて余力を残して上昇ムードというのは確かだけに、消耗戦ともなれば一発がありそうだ。また、△Friends Lakeは、前走のフロリダダービー(米GI)で見せた末脚が驚異。4月にレースを使っていない馬はこの50年優勝していないというジンクスが引っ掛かるところだが、激しい展開になりやすいケンタッキーダービー向けのタイプではある。来るか来ないかで極端な結果にはなりそうだが、ノーマークにはできないだろう。大穴を挙げるとしたら△Limehouse。前走のブルーグラスS(米GI)は大きく離された3着と完敗。ただ、今回は絶好の最内枠。うまく流れに乗って行ければ、あるいはそのままというめもあるのではないか。

 人気どころでは、ここまで6連勝できたアーカンソーダービー(米GII)勝ち馬Smarty Jonesは外枠を引いたのが痛い。この枠から先行争いを捌くのは難しそうなだけに、脚質的に前に行ってこそのこの馬にとってはレースの運び方が難しくなった。父Elusive Qualityの血統から距離面の不安もあるし、ほぼ無名と言っていいStewart Elliott騎手がこの大混戦を捌けるだろうか。ウッドメモリアルS(米GI)を快勝したTapitにとってもやはり外枠がマイナス材料。ならば先行争いを上手く捌けることを条件に、△Lion Heartが巻き返す可能性の方が高いのではないだろうか。