「キョウワ」・「アサカ」の冠号などでお馴染みの浅川吉男氏が経営する「私市」が事実上の倒産

 【帝国データバンク】 「キョウワ」・「アサカ」の冠号で知られ、2000年の高松宮記念(GI)勝ち馬キングヘイローを所有していた大馬主、浅川吉男氏が代表を務める株式会社私市が、3月30日に債権者の整理回収機構(RCC)から大阪地裁から会社更生の申し立てに基づく保全命令を受け、事実上倒産した。

 同社は、1966年11月にゴルフ場建設を目的に私市観光(株)の商号で設立され、1978年1月に現在の(株)私市に商号変更。関西のゴルフ場運営会社大手の1つで、1968年10月の「きさいちカントリークラブ」オープンを皮切りに、次々とゴルフ場を建設。直営ゴルフ場の「堺カントリークラブ、「加茂カントリークラブ」のほか、関係会社を含めグループ全体で9ヵ所のゴルフ場を経営。直営ゴルフ場は都心部に近く、交通の便に恵まれて高い利用率を維持し、ピークの1993年には年収入高約95億円を計上していた。

 しかし、バブル期に立案した新規ゴルフ場建設とホール増設計画、リゾート開発計画などが、バブル崩壊で中断となり資金が固定化。加えて、会員・ビジター利用数の減少や客単価の低下で収入はジリ貧傾向をたどり、2003年の年収入高は約52億400万円にまでダウン。ゴルフ会員権市況の低迷による預託金返還請求の増加から資金繰りが悪化していた。

 こうした状況を受け、債権回収を進めるRCCが多数の会員のプレー権確保を考慮し、手続きの透明性・公平性を維持しつつ事業の再生を図るため、会社更生法の申し立てを行ったとのこと。

 なお、関係会社の(株)東京私市、協和土木(株)、九州きさいち(株)、(株)ファイブ・ケイの4
社も、同日、(RCC)より大阪地裁へ会社更生法を申し立てられ、保全命令を受けている。

 負債額は(株)私市が約425億円、(株)東京私市が約241億円、協和土木(株)が約60億円、九州きさいち(株)が約23億円、(株)ファイブ・ケイが約10億円となっており、グループ5社の負債総額は約759億円。