高崎競馬場の存廃問題、廃止の場合は雇用・跡地利用に課題山積

 小寺弘之知事が9月議会で存廃判断をすると表明した高崎競馬は、2003年度末時点で約51億円の累積赤字を抱え、存続は極めて苦しい状況と見られている。その一方、廃止となった場合に生じる、騎手ら関係者の雇用問題や、複雑な所有形態になっている跡地利用の問題についても課題は山積している模様で、この問題について朝日新聞が取り上げている。

 高崎競馬に所属するのは、現在調教師が35人、騎手が17人。厩務員、装蹄師、獣医師、さらには群馬県競馬組合の職員も含めると、関係者は約400人に上るとされている。

 競馬の廃止に伴う関係者の失業問題については、過去に2002年に廃止された島根県の益田競馬が、廃止への「協力見舞金」として、約230人に約2億2000万円を支払った例がある。また、同じく2002年に廃止された新潟競馬は、「生活救済のための行政支援」として過去3年間の平均所得の8割を、最長1年間支援すると提示し、調教師27人を除く約590人がこれに応じて、約7億2000万円を支出したなどのケースがある。ただ、大分県の中津競馬や、昨年廃止された山形県の上山競馬のように、行政の支援体勢と関係者の要望が折り合わず、激しく揉めるケースが少なくない。

 また、JR高崎駅から約1km、広さ約13.3ヘクタールという、「高崎市の一等地」にある広大な敷地の競馬場の跡地利用も重大な課題となると見られている。

 高崎市側は、跡地利用問題について楽観的に構えているようだが、馬場や観客席などがある約10.7ヘクタールの場内のうち、群馬県高崎市群馬県競馬組合が合わせて65%を所有する一方、残りの35%は民有地という、きわめて複雑な所有関係となっている。実際、県競馬組合は、競馬開催のために年間約1億2000万円の借地料を、50人あまりの地権者に支払っているという。

 群馬県側は、跡地利用の問題は、存廃問題の決着後に考えるとしているようだが、跡地利用の問題が大揉めに揉めた挙句、新たに莫大な額の税金を投入して後始末を図らざるを得なくなった上山の例もあるだけに、先の問題を見据えない見切り発車的な廃止決定は避けていただきたいものである。【朝日新聞群馬版】