「週刊アサヒ芸能」2004年4月1日号が、ハルウララ人気の知られざる一面について記事を掲載

 【週刊アサヒ芸能(徳間書店)】 3月23日から書店店頭で発売されている「週刊アサヒ芸能」2004年4月1日号(徳間書店)に、「ハルウララ『ゼニ儲け商法』にブーイング「ブーム仕掛け人が新馬主になった」という見出しの記事が掲載されている。

 2004年3月28日付の朝日新聞に掲載されている亀和田武氏の連載「マガジンウォッチ」において、記事の内容が詳しく伝えられている。

 亀和田氏は「東京スポーツ」2004年3月21日付紙面に載せられた競馬評論家・清水成駿氏の「ハルウララを映画にしようという人の気持ちは知れない。きっと競馬に救われたことも、泣かされたこともない人たちだろう」というコメントを引用し、「その違和感をズバリ簡潔にいい当てた」と評している。

 その上で、亀和田氏は「いま地方競馬は次つぎ廃止に追い込まれている。まず話題づくりを。そんな関係者の思いは痛いほど分かる。しかし連敗中の馬しかマスコミが飛びつく話題がない。これはつらい。」と主催者側の事情に理解を示すものの、キャラクター商法の手際の良さに対しては「あざとくはないか。だが高知競馬の窮状を思うと口にできなかった」という感想を記している。

 亀和田氏の所見は、ハルウララ嬢のブーム加熱については批判的な「一部の競馬ファン」もいるという、ある意味で当たり前の意思表示をしているに過ぎない。そして、亀和田氏も「ハルウララの記事に公共性があるか、私は興味ない」という姿勢を示し、ブームをあえて否定はしないという穏健な立場を明らかにしている。

 しかし、どうやら「週刊アサヒ芸能」編集部には、今回の記事掲載については、ハルウララ・ブームの収益が、主催者や105連敗まで支えてきた最初の馬主さん以外の第三者によって搾取されるに至っている、という告発記事の体裁で掲載したという認識があるようだ。ちなみにハルウララ嬢の馬主は、確かに106連敗直前の2004年3月4日から株式会社エムエイオフィスに譲渡されている。

 「週刊アサヒ芸能」2004年4月1日号に掲載された記事は、ハルウララ公式グッズの売り上げ配分をめぐって、高知県競馬組合の広報と新馬主との間で、食い違いがあるなどの状況証拠に焦点を当てている。

 そういえば、106連敗目での武豊騎手に対する騎乗依頼の経緯をめぐっても、武豊騎手は当初、「勝つことこそが美しいと教わったボクの競馬観からすると、どうしても拭えない違和感」「ちょっとブームが過熱しすぎて怖い感じ」「100何連敗かしている馬が出るレースが、重賞のあとのレース(最終レースの予定だとか)に組まれるというのも、正直に言うと『そんなの、あり?』という気分」とかなり難色を示していたものの、「そのレースで引退ということなので」と(依頼元から)聞かされ、「まあそういうことならば…」と依頼を受けたという経緯があったところ、にもかかわらず高知県競馬組合の広報から「(武豊騎手のハルウララ引退発言は)単に一部マスコミの誤報からの引用に過ぎない」「ハルウララは引退後の引き受け先が決まっているだけ」「現在ハルウララに引退の話はまったくありません」「回りの皆さまにもご周知願います」と即座に強く否定されてしまい武豊騎手が「クレームがついて、そのことについてはボクが一番驚いています。騎乗依頼が来たときに『最後なので是非に』と確かにそう言われてお受けしたのです」と再反論するという一幕があった。

 このハルウララ引退報道をめぐる武豊騎手と高知県競馬組合との間の行き違いについても、騎手に騎乗依頼するのは馬主であることが通例であることを考えると、結局は両当事者に対して第三者の誰かが二枚舌を使っていたに過ぎないのではないかと推察されるものの、この推察については確証はないし、所詮追求する必要もない。

 それに、武豊騎手も「まあ、引退するかどうかは別に構わない」「生涯で一度も勝ったことがない馬が、GIレースを勝った馬達よりも注目を集める対象になるというのはどうにも理解し難い」ブービーに負けてしまいました。それでも、暖かい拍手の嵐。これが競馬? という思いはありますが」と最後まで愚痴を言いながらも、当日は「ハルウララのレース後は、勝っても負けてもウイニングラン(負けてするのは、なんて言うのでしょうか)」とサービス精神旺盛で、しかも「この馬の求心力はやはり大したものだと感心しました」「ある意味、名馬です」としっかりリップサービスまでして帰ってくるなど、大人の対応に終始していた。こちらもやはり、特に大げさな問題とまではいえないだろう。

 結局は、サラブレッド・ビジネスにはシビアな一面もあるという、ある意味定説ともいうべき現象が、ハルウララ嬢ブームの舞台裏でも起きているということだ。それ以上でもなく、それ以下でもない。ただそれだけのことである。