旧・公営かみのやま競馬の跡地処分めぐって合併予定の山形・上山両市が対立

 【河北新報】 昨年廃止された公営かみのやま競馬の跡地処理が、山形、上山市など4市町の合併協議も絡んで物議を広げているようだ。上山市が決めた上山市土地開発公社への売却について、山形市が「法律上、疑義がある」とクレームをつけ、これに対し、上山市が「適正なルールに基づいている」と反発。見解を求められた山形県は「公社が自らの負担と責任で購入すること」と上山市の対応を容認したものの、互いに激しい反発が表面化しており、今後の合併協議への波及は必至の情勢となっている。

 上山市が公社への売却を決めたのは、競馬場跡地のうち、4月オープンする予定の場外馬券売り場部分などを除く17万4000平方メートル。売却額は43億8500万円で、売却益は調教師や厩務員らへの見舞金や負債処理などに充てるとされている。

 土地開発公社の取得費は銀行からの借り入れとなっており、1年あたり約1億円の利子を支払わなければならないとされている。取得目的は住宅整備事業としているものの、その具体策はまとまっていない。

 こうした姿勢を合併が予定される山形市が疑問視。3月4日、市川昭男山形市長名で「法律上、具体的な事業や資金の計画が必要と考えられ、この状況での用地取得は疑義がある」との文書を県に提出、見解を求めたようだ。

 両市は合併後、上山市の公社を山形市土地開発公社に統合することで合意しているため、山形市は不安を募らせているようだ。

 こうした山形市の反応に対し、上山市側は「内政干渉」と反発。阿部市長は「正式なルールに従って処理を進めている。競馬関係者への見舞金交渉をすっきりさせることが先決だ」と妥当性を強調。山形市への不信感を隠さない。

 合併をめぐって両市はこれまでも意見の食い違いが目立っていた。上山市は一時、新設合併を主張し、編入合併を主張する山形市などと対立していた。さらに競馬場跡地処理の問題が重なって、今後の合併協議はさらに難しくなりそうだ。

 そもそも、公営かみのやま競馬の廃止を主張する論拠の一つが、山形市との合併の足枷になるというものだったはずだが。相変わらず詰めの甘さというか、段取りの悪さが目立つ。

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