さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その44「マチカネアレグロの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MilkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 マチカネアレグロ(USA)→2002年12月1日、韓国へ輸出
 (輸送中の衰弱のため、釜山の検疫所で死亡)

 1991年生。父はJRA年度代表馬シンボリクリスエス英ダービー(英GI)馬Kris Kinなどを輩出した名種牡馬Kris S。

 母はMy Dad George産駒のMy Turbulent Miss。母父のMy Dad Georgeは、Gainsborough→Solario系のマイナー血脈。現役時代はフロリダダービーを勝った程度の馬で、種牡馬としても、これといった活躍馬は出していない。My Turbulent Missも不出走。しかし、産駒の成績は素晴らしく、マチカネアレグロの全兄に当たるPrizedは、BCターフ(米GI)、サンルイレイS(米GI)などを制覇。また、半弟のExploit(父Storm Cat)も、サンヴィンセントS(米GII)、ケンタッキージョッキークラブS(米GII)など、重賞3勝を挙げている。

 BCターフ勝ち馬の全弟として注目を集め、栗東浅見秀一厩舎からデビュー。良血馬らしく、旧3歳の秋の東京開催でデビューし、初戦こそピアティアラの2着に破れたものの、2戦目の未勝利を順当に勝ち上がった。

 明けて3歳緒戦は、オープンの若駒Sに格上挑戦し、良血が買われたのか1番人気に支持されるもエイシンセンネンの3着に破れた。その後、しばらく勝ちきれないレースが続いたものの、5月の東京開催で牡丹賞を勝ち2勝目を挙げると、勢いに乗って挑戦したニュージーランドT(GII)では名牝ヒシアマゾンに1/2馬身差まで迫る健闘を見せ、良血馬の片鱗を見せた。

 夏場を休養にあて、京都大賞典(GII)から復帰すると、初の古馬相手ながら、マーベラスクラウンの3着と健闘。叩き2戦目のアイルランドTを勝ち、続くアルゼンチン共和国杯(GII)では、古豪ステイヤーアイルトンシンボリをクビ差抑え、2分31秒3のレコードタイムで、待望の重賞初制覇を飾った。

 続く有馬記念(GI)では、アルゼンチン共和国杯の勝ちっぷりが評価されて伏兵の評価を受けたが、さすがにここは相手が強く、ナリタブライアンの10着に終わった。

 その後は脚部不安もあり、結局このレースを最後に引退。現役時代の通算は13戦4勝で、特に東京コースでは5戦3勝二着2回という相性の良さを見せた。それだけに、安田記念(GI)やジャパンC(GI)といった東京コースでの大一番で、レースを見てみたかったところである。

 引退後は種牡馬入り。BCターフ勝ち馬Prizedの全弟という良血。現役時代には底を見せていなかったことから、底力のある産駒を送り出すことが期待されたが、残念ながら、これまでの所目立った活躍馬は出ていない。

 韓国へと輸出され、新天地での活躍が期待されたところでのアクシデント。非常に残念なことになってしまった。ともに韓国へ渡ったエアダブリンに、マチカネアレグロの分まで頑張ってもらいたいところである。(文責:ま)