おつかれさま〜2002年供用停止種牡馬外伝その29「ダイナコスモスの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 ダイナコスモス(JPN)→2002年10月、用途変更

 1983年生。父はNearcoからの分岐で、マイナーながら欧州でそれなりの繁栄をみせているDante系の血を引くハンターコム。母はノーザンテースト牝馬のシャダイワーデンで、近親にマイル路線で活躍したカッティングエッジがいる。

 旧3歳の秋の福島開催でデビュー。緒戦は蓑田早人騎手騎乗で、1番人気も3着に終わったが、折り返しの新馬戦で坂井千明騎手を背に7馬身差の大差で逃げ切った。続く400万下も5馬身差で逃げ切り勝ちを収める。白菊賞2着を挟んで臨んだ朝日杯3歳S(GI)では、根本康広騎手を背に後方からよく追込んだものの、先に抜け出したダイシンフブキをわずかに捉えられず2着。

 明けて旧4歳時は、初戦の京成杯(GIII)が1番人気に推されたものの追い込んで3着。続く弥生賞(GII)では岡部幸雄騎手に乗り替わったが、朝日杯に続いてダイシンフブキに競り負けて2着に終わる。

 こうして迎えた皐月賞(GI)本番では、一線級との勝負付けが済んだと見られたのか、5番人気と脇役扱いだった。しかし、岡部騎手の芸術的騎乗で中団から鮮やかに抜け出すと、猛追するフレッシュボイスをクビ差退けて優勝した。3着のアサヒエンペラーにはそこから6馬身の差を付けており、ライバルのダイシンフブキは1番人気に推されたものの7着に終わっていた。

 続く日本ダービー(GI)では2番人気に支持されたものの、距離が長かったかダイナガリバーの5着に敗れた。さらに、皐月賞馬としては異例ながら、福島のラジオたんぱ賞4歳S(GIII)に参戦すると、ここでは皐月賞馬の貫禄を見せて、後の名マイラーニッポーテイオーを一蹴して楽勝した。

 この結果を受けて、秋シーズンは菊花賞(GI)を回避してマイルチャンピオンシップ(GI)を目標に調整されることとなったが、脚部不安を発症したため、結局そのまま現役を引退した。

 種牡馬としては、折からの内国産種牡馬ブームの恩恵もあり、まずまず恵まれたスタートを切り、カブトヤマ記念(GIII)勝ち馬のワンモアラブウェイなど、地味ながら平坦コースに強い中堅馬を輩出。さらに、公営浦和競馬からJRAに移籍したトロットサンダーマイルチャンピオンシップ(GI)、安田記念(GI)を制して、父の果たせなかったマイル王の栄冠に輝いた。

 なお、種牡馬引退後も、同馬は幸いなことに引き続き門別町・門別牧場にて壮健とのことだ。