さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その27「タイトスポットの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 タイトスポット[Tight Spot(USA)]→2002年12月2日、中国へ輸出

 1987年生。父は名馬Ribotの後継種牡馬で、ケンタッキーダービーPleasant Colonyらを輩出してアメリカにおけるRibot系の繁栄の基礎を築いたHis Majesty。母は名種牡馬Lyphard産駒でカルヴァドス賞(仏GIII)2着のPremium Win。

 現役時代は、2歳デビューもダート路線で芽が出ないと見るや、3歳時に早々と芝路線に転向。スターダストS、ラ・ホヤマイルH(米GIII)、デルマーダービー(米GII)と連勝。

 4歳になるとさらに成長し、まずはアローワンスを芝8Fのタイレコードの1分44秒8で快勝。イングルウッドH(米GII)、アメリカンH(米GII)、エディリードH(米GI)を逃げ切ると、アーリントンミリオン(米GI)では2番手から抜け出して快勝し、米国芝チャンピオンに王手をかける。しかし、肝心のBCマイル(米GI)では1番人気のIn Excessと猛烈な競り合いを演じた挙句の共倒れでなんと9着同着という結果に終わってしまった。

 5歳時はサンフランシスコマイルH(米GIII)など2勝留まりで、現役時代の通算は21戦12勝。うち、芝で12戦10勝と徹底したターフランナーだった。

 日本で種牡馬入りし、現役時代に見せた軽快なスピードから大いに期待されたが、これまでのところJRAの重賞勝ち馬が京阪杯(GIII)を勝ったブラボーグリーンのみ。気性面に問題を抱えたムラ馬が多く、Ribot系の悪いところが伝えられて父の軽快なスピードは今ひとつ伝わっていないようだ。

 表面的には失意の再輸出との印象を拭えないが、年齢的にまだまだ老け込む年齢ではなく、新天地での仕事に期待したい。また、現3歳のコスモインペリアルがクラシック路線の伏兵として渋い活躍を見せており、なんといっても一発大物の魅力のあるRibot系だけに、当のコスモインペリアルを含め、残された産駒に大物出現の望みを託したいところである。