さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その25「スターマンの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 スターマン(JPN)→2002年11月3日、用途変更

 1991年生。父のワイズカウンセラーRibot系の名馬Alleged産駒で、現役時代はデスモンドS(愛GIII)を勝ち、愛ダービートライアルS(愛GII)2着。種牡馬としては不振で、スターマンの他には、しもつけ菊花賞勝ち馬のナスノネバーくらいしか活躍馬がいない。ただし、母父としてはJRA最優秀短距離馬のトロットスターを輩出している。母のケイテイルートは現役時代JRAで11戦2勝。母の父は、早逝しながらも、ビゼンニシキなどを出して大成功したダンディルートである。

 栗東・長浜厩舎からデビューし、旧3歳10月の京都開催でデビュー勝ち。その後500万下で3戦足踏みしたが、旧4歳4月のれんげ賞を勝つと、昇級戦の白藤Sも快勝。さらに、夏場の休養を挟んで臨んだ神戸新聞杯(GII)でも、毎日杯(GIII)勝ち馬のメルシーステージを楽々と差し切って3連勝を達成。

 勢いに乗ったスターマンは菊花賞トライアルを連戦するべく、京都新聞杯(GII)に駒を進めた。このレースでは、何といっても春の二冠馬ナリタブライアンが休養明け緒戦ながらも単勝1.0倍で断然の1番人気。ダービー2着の後、秋緒戦のセントライト記念(GII)を一叩きされたエアダブリンが2番人気に推され、スターマンは上がり馬の評価を受けたものの、あくまでも伏兵扱いの3番人気だった。しかし、レースではメルシーステージエアダブリンを振り切ったナリタブライアンを、内から強襲したスターマンがクビ差差し切る大金星。ナリタブライアンの三冠へ向けての進撃をほとんどのファンが疑わなかったなかで、衝撃的な勝利を挙げた。

 しかし、菊花賞(GI)本番ではナリタブライアンがきっちり巻き返し、堂々の三冠達成。一方のスターマンは、苦手の道悪に加え、距離も長かったのか決め手を欠いて5着に終わった。それでも、続く鳴尾記念(GII)を快勝し、中距離馬としての能力の高さをアピールした。

 明けて旧5歳になったスターマンは、緒戦にアメリカジョッキークラブカップ(GII)に出走。ところが、ここで人気を裏切る5着に敗れてしまい、さらには屈腱炎を発症してしまう。

 1年半もの休養を余儀なくされた後、レースに復帰。緒戦のKBC杯こそ3.7秒差の9着に沈んだものの、叩き2戦目の小倉記念(GIII)で2着と復調の兆しを見せる。ところが、続く朝日チャレンジC(GIII)で2着入線した直後、今度は右前脚浅屈腱断裂が判明。現役引退に追い込まれることになった。

 あの名馬ナリタブライアンを破った実績を持つものの、近時の日本では重宝されなくなっているRibot系ということが嫌われたのか、種付け料無料であっても交配相手には恵まれたとはいい難い。現在のところ、公営金沢からJRAに移籍し、「?」マークのメンコでおなじみの快速馬ナゾが代表産駒となっている。