さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その12「カーネギーの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 カーネギー[Carnegie(IRE)]→2002年8月12日、オーストラリアへ輸出

 1991年生まれ。父は2002年に11年連続の英愛リーディングサイヤーとなった大種牡馬のSadler's Wells、母は1980年の凱旋門賞を制したフランスの名牝Detroitという超良血馬で、生産牧場がアイルランドの大馬主R・サングスター氏、馬主はドバイのモハメド殿下、調教師はフランスの名伯楽A.ファーブル師、主戦騎手はフランスの名手T.ジャルネという生まれついてのスター候補。

 3歳3月とデビューが遅く、クラシックは出走せず、7月のユジェーヌアダム賞(仏GII)で重賞初制覇。さらに、凱旋門賞(仏GI)の前哨戦、ニエユ賞(仏GII)を快勝して臨んだ本番では、好位から早めに抜け出し、前年の仏ダービー馬エルナンドの追い込みを抑えて優勝。やや重馬場の勝ちタイムは2分31秒1だった。ちなみにこのレースは、武豊騎手が1番人気のホワイトマズルに騎乗するも後方から外に回して届かずの6着に終わり、欧州のマスコミから総スカンにあったレースとしてもおなじみである。

 4歳時は重馬場のサンクルー大賞(仏GI)を勝って臨んだキングジョージ6世&クイーンエリザベスDS(英GI)は硬い馬場に苦しんだかラムタラの6着。秋は凱旋門賞(仏GI)の前哨戦・フォワ賞(仏GII)を制したものの、本番ではラムタラの6着に敗退し、連覇はならず。続いてアメリカのブリーダーズCターフ(米GI)に遠征して3着となり、引退した。現役時代の通算成績は13戦7勝。

 種牡馬として日本に輸入。欧州の大物として期待され、初年度から小倉3歳S(GIII)2着のピサノガルボ青葉賞(GIII)を勝ったカーネギーダイアンを輩出。Sadler's Wells系らしからぬ仕上がりの早さを見せて更なる期待を抱かせたが、その後の産駒の成績はひと息という印象。

 一方、シャトル供用された南半球では秋のシドニー三冠で準三冠馬となったCarnegie Expressやメルボルン地区・春のダービーであるVRCダービーを制したAmalfiなどを輩出し大成功を収めている。求められてのオーストラリア輸出であり、当地でのさらなる活躍が期待できそうだ。