さようなら〜2002年供用停止種牡馬外伝その11「ガレオンの場合」

 JRHR日本軽種馬登録協会から2002年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、まよ氏@MiljkyHorse.comの執筆による供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を連載します。

 ガレオン(JPN)→2002年12月2日、用途変更

 脚部不安と不運に泣いたクラシック候補生。

 父がリアルシャダイ(USA)、母がオークス馬のシャダイアイバーという良血が評価され、デビュー前から期待を集める。デビュー戦では1番人気に応えて快勝。続く芙蓉S(OP)こそマリアキラメキの3着に敗れたものの、3戦目のアイビーS(OP)を快勝してクラシック路線に乗った。

 脚部不安による休養を経て出走した旧4歳緒戦の若葉S(OP)はビワハヤヒデの4着。その後、勇躍臨んだ皐月賞(GI)では、さすがに9番人気と伏兵の評価でしかなかったが、中団から徐々に進出。直線でゴチャついたところがありながらも、最後は鋭く追い込んで3位入線と大健闘を見せた。しかし、直線でゴチャついたところで外に持ち出した場面が審議対象となり、裁定は無情にも8着降着。進路妨害の対象となったのが、同じ父リアルシャダイの良血馬ステージチャンプ(母はダイナアクトレス)だったのは皮肉というほかない。

 この年はステップレースのたびに勝ち馬が変わり、収得賞金を加算した馬がたくさんいた。このため、ほぼ手中にしていたダービー優先出走権を降着処分で取りこぼしたガレオンは、出走権を獲得するためにダービートライアルのNHK杯(GII)に出走する。主戦の杉浦騎手が皐月賞での降着に伴い騎乗停止処分を受けてしまったため、一度限りの代打で岡部騎手が騎乗した。そのNHK杯(GII)では、マイシンザンの大駆けに遭ったものの、岡部騎手らしいソツのない騎乗で2着入線。ダービーの出走権は確保できた。

 そうして迎えた日本ダービー(GI)本番。好位から良く伸びたものの、ウイニングチケットビワハヤヒデナリタタイシンによる三強の壁は厚く、4着と敗れた。

 このレースの直後、皐月賞NHK杯→ダービーという中2週続きのローテーションにもともと不安を抱えていた脚元がやはり耐え切れなかったのか、左前繋靭帯断裂が判明して競走能力喪失。そのまま現役を引退し種牡馬になった。勝負の世界に「たら、れば」は禁物とはいえ、皐月賞降着の憂き目に遭わずNHK杯を使わないでダービーに直行できていたならば、というのは誰もが考えたくなることであろう。

 種牡馬入りしてからのガレオンは、その良血のわりには種付け頭数にまったく恵まれず、結局これまでのところこれといった活躍馬は出せていない。血統の字面も優秀。現役時代も非凡な素質の片鱗を見せていただけに、種牡馬としても現役時代の不運を引きずってしまったということか。