[中央]第51回オールカマー(GII)|優勝:ホオキパウェーブ|父:カーネギー|生産:早来町・ノーザンファーム

 9月25日に中山競馬場で行われたオールカマー(GII)は、単勝4番人気のホオキパウェーブ(牡4歳)[後藤浩輝騎手、二ノ宮敬宇厩舎(美浦)]が、道中中団追走から勝負所で早めに進出し、直線の叩き合いを制して優勝した。勝ちタイムは2:16.7。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上・国際:中山・芝2200m:別定・曇・やや重]

 レースは戦前ハナを切ると目されたコイントスが出遅れ、2003年の小倉記念(GIII)2着の父サクラホクトオー産駒サンライズシャークが押し出されてハナに立ち、2003年の愛知杯(GIII)を制した父サニーブライアン産駒のカゼニフカレテが2番手追走と、本来追い込み馬の2頭が先導する展開に。前半の1000m通過が65秒台という超スローペースとなる。

 勝負どころにかかると徐々にペースが上がり、直線を向くと早めに動いたホオキパウェーブが外から抜け出しにかかり、これに中団待機から内を通って伸びてきた新潟記念(GIII)2着馬グラスボンバーが並びかけたが、最後はホオキパウェーブがこれを捩じ伏せて優勝した。

 最後まで食い下がったグラスボンバーがクビ差の2着。6番人気のエルノヴァが3着。

 以下、昨年の目黒記念(GII)を制した父マヤノトップガン産駒チャクラは、後方追走から徐々に進出したものの、勝負所での動きが鈍く、ラストは差を詰めたものの4着まで。一番人気に推されたヴィータローザは、中団追走も見せ場なく5着どまり。出遅れたコイントスは、途中から前につけたものの、最後は決め手で見劣り6着。先行したカゼニフカレテは勝負所で一杯となり7着。七夕賞(GIII)4着の父アンバーシャダイ産駒カナハラドラゴンは後方侭の8着。2001年の札幌2歳S(GIII)を制した父タイキブリザード産駒のヤマノブリザードも後方侭の9着。逃げたサンライズシャークは直線失速して最下位の10着に終わった。

 勝ったホオキパウェーブは、父が現役時代に1994年の凱旋門賞(仏GI)を制し、種牡馬としては2000年の青葉賞(GII)勝ち馬カーネギーダイアンや2002年のローズヒルギニー(豪GI)、カンタベリーギニー(豪GI)を制したCarnegie Expressらを輩出しているカーネギー、母がプラチナウェーブ(母父Mr.Prospector)という血統構成。北海道・早来町ノーザンファームの生産で、馬主は金子真人ホールディングス(株)。2歳の9月に札幌で新馬勝ち。3歳時は青葉賞(GII)で2着に入り日本ダービー(GI)に出走。秋はセントライト記念(GII)2着から菊花賞(GI)でも2着と健闘した。4歳となった今期は、春を全休し、復帰戦となった前走の札幌記念(GII)を叩いてここに臨んでいた。

 ホオキパウェーブは、休み明けを一叩きされて順当に良化。下見ではイレ込み気味だったが、この馬はむしろその方がいいくらいなのだろう。このメンバー相手では順当勝ちだったというところか。とはいえ、上がりの競馬で結果を出したのは収穫だし、まずはキッチリ重賞を勝ちきったというのは大きいといえる。昨年の菊花賞2着の内容から底力は折り紙付で、今後は大きなところを狙っていきたいところだ。

 2着のグラスボンバーは、ここ一連のレース内容から完全に本格化した印象。2200mの距離でも結果を出したし、このスローでも折り合えるのだから気性の成長が著しい。高速馬場でも結果を出したことだし、今後もマイルから中距離で幅広く活躍できそうだ。まずは一つ重賞を勝ちたいところだろう。

 エルノヴァはよく追い込んできているが、例によって詰めが甘い。相手なりに走るタイプだけに、今後も堅実に走りそうだが、勝ちきるまではどうだろう。

 4着のチャクラはもともと切れるタイプではなく、あのスローペースでのんびり構えていては切れ負けするのも当然。やはり府中コースの長距離戦、アルゼンチン共和国杯(GII)あたりが狙い目となりそうだ。

 人気の一角を占めたヴィータローザだが、現状の能力はこんなものだろう。コイントスは出遅れが堪えた面もあるだろうが、超スローでスンナリ前にはつけられただけに、ラストはだらしない印象。どうも一頃の力は戻っていないようだ。(文責:ま)