[中央]第50回京成杯オータムH(GIII)|優勝:マイネルモルゲン|父:マウントリヴァーモア|生産:新冠町・松浦牧場

 9月11日、中山競馬場で行われた秋競馬の開幕を告げる名物ハンデ重賞、京成杯オータムH(GIII)は、単勝3番人気のマイネルモルゲン(牡5歳)[柴田善臣騎手、堀井雅広厩舎(美浦)]が、道中好位追走から直線馬群を捌いて差し切った。勝ちタイムは1:33.3。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上:中山・芝1600m:ハンデ・雨・やや重]

 レースは、京王杯スプリングカップ(GII)5着のニシノシタンがハナを切る展開。ニューイヤーS勝ち馬のミッドタウン、さらにはロイヤルキャンサーあたりが追走し、道中は緩みない流れに。マイネルモルゲンは好位の内で折り合いをつけ、単勝一番人気に推されたNHKマイルカップ(GI)3着の父エルコンドルパサー産駒アイルラヴァゲインは絶好位を追走。2003年の朝日杯フューチュリティS(GI)を制した父ザグレブ産駒のコスモサンビームは中団から。昨年のこのレース3着の父トウカイテイオー産駒マイネルソロモンニュージーランドトロフィー(GII)勝ち馬の父マイネルラヴ産駒マイネルハーティーは、例によって後方からの競馬となる。

 直線を向くとニシノシタンが抜け出し、そのまま押し切るかのように見えたが、直線半ばで馬群を捌いて外に持ち出したマイネルモルゲンが、ゴール前でこれを捕らえて優勝した。

 逃げ粘ったニシノシタンはアタマ差の2着。10番人気の伏兵ウインラディウスが1/2馬身差の3着。

 以下、東京新聞杯(GIII)2着以来の休み明けとなったキネティクスは、中団追走からジワッと伸びて5着。絶好位を追走した人気のアイルラヴァゲインは、追っての伸び案外で6着。マイネルハーティーは、直線この馬なりに伸びたものの、前も止まらず8着まで。昨年の京成杯(GIII)勝ち馬フォーカルポイントは、後方で宥めて進んだものの、直線伸びず9着。コスモサンビームは直線で一杯となり10着。ミッドタウンは直線失速の11着。マイネルソロモンはいいところなくブービーの12着に終わった。

 勝ったマイネルモルゲンは、父が現役時代1985年のカーターH(米GI)、フォールハイウェートH(米GII)を制し、BCスプリント(米GI)を3着。種牡馬としては2002年のBCスプリント(米GI)を制して同年のエクリプス賞最優秀スプリンターに輝いたOrientateや1993年の根岸S(GIII)勝ち馬プロストラインなどを輩出しているMt.Livermore、母がモーニングタイド(母父Seeking the Gold)という血統の持込馬。半弟に昇竜S(OP)勝ち馬シンメイレグルス(父ブライアンズタイム)、6月の函館開催で新馬勝ちしたケイアイマイバッハ(父ブライアンズタイム)がいるほか、祖母がオマール賞(仏GIII)勝ち馬Eastern Dawnで、近親に1995年の京都新聞杯(GII)勝ち馬ナリタキングオーなどがいる。古くは1985年のジャパンカップ(GI)で「皇帝」シンボリルドルフの2着と健闘した南関東の名馬ロッキータイガー、最近では2001年の札幌2歳S(GIII)を制し、朝日杯フューチュリティSアドマイヤドンの2着と健闘したヤマノブリザードらを輩出している、北海道・新冠町の松浦牧場の生産で、馬主は「マイネル」の冠号でお馴染みの岡田繁幸総帥率いるサラブレッドクラブラフィアン。2歳6月の函館開催でデビューし、折り返しの新馬戦で初勝利。2歳時から函館2歳S(GIII)3着、デイリー杯2歳S(GII)3着と重賞路線で活躍するも、重賞は勝てず。3歳時もNHKマイルカップ(GI)で3着と健闘するなど一線級で活躍し、ベンジャミンSなどオープン特別を2勝するもやはり重賞は勝てずに終わり、4歳時のダービー卿チャレンジトロフィーで待望の重賞初制覇。秋には京成杯オータムHで重賞2勝目を挙げたが、その後は富士S(GIII)、マイルチャンピオンシップ(GI)と大敗。5歳となった今期は、復帰戦の岡部幸雄騎手引退記念を大敗し、その後一息入れ、関越S(OP)を一叩きしてここに臨んでいた。

 マイネルモルゲンは、前走を一叩きされー10kgとキッチリ絞れて結果を出した。上手く折り合っていたし、柴田善臣騎手とは手が合うようだ。GIクラスとなるとどうかだが、デキや折り合いがまともならGIIIクラスは本来勝って当然の馬だけに、ここは順当勝ちと言えそうだ。

 ニシノシタンは一叩きされてデキ絶好。直前に大雨が降ったこともあり、ここはチャンスと思われた。実際、ミッドタウンもロイヤルキャンサーも結果的に控えてくれて、緩みないペースとはいえ理想的な単騎逃げ。しかし最後は脚が止まって差されてしまった。軽ハンデも考えればこれで粘りきれないのはちょっとガッカリの感もある。ただ、その気になれば控える競馬もできる馬だけに、このクラス相手だと控える競馬の方が目標にならない分いいという可能性も。いずれどこかでチャンスを掴む余地はありそうだ。

 ウインラディウスからキネティクスまでは、直前の雨で上がりがかかる競馬になってくれたのが幸いした感があり、今回だけではなんとも。それだけにマイネルハーティーはちょっとガッカリの印象で、後方一辺倒の競馬を脱皮しない限り、今後はよほど展開に恵まれないと苦しいか。とはいえまだ3歳の身だけに、今後の成長に期待したいところだ。

 同じ3歳のアイルラヴァゲインは絶好位で競馬をしながら伸び案外。NHKマイルカップでの好走からマイルもこなすかと思えたが、やはり現状ではスプリントがベストということなのかも。距離短縮で今一度見直してみたいところだ。

 フォーカルポイントは新潟記念(GIII)時と違ってだいぶイレ込みがマシになっていたし、レースでもまずまず折り合っていた。これで伸びないのは道悪のせいだろうか。コスモサンビームは一叩きでも大きく変わった印象はなかったが、それは前回で仕上がっていた分もある。今回は正攻法の競馬に出たが、いいところなく一杯に。やはり故障の影響が残っているということなのだろうか。ちょっと敗因がはっきりしない。(文責:ま)