[中央]第19回セントウルS(GIII)|優勝:ゴールデンキャスト|父:タイキシャトル|生産:浦河町荻伏・バンダム牧場

 9月11日に阪神競馬場で行われた、スプリンターズS(GI)の前哨戦のセントウルS(GIII)は、単勝5番人気の伏兵ゴールデンキャスト(牡5歳)[小牧太騎手、橋口弘次郎厩舎(栗東)]が、道中2番手追走から直線の競り合いを制して優勝した。勝ちタイムは1:08.3。

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上・国際:阪神・芝1200m:別定・曇・良]

 小倉日経OPを勝ってここに臨んだ3歳馬ホーマンテキーラは、スタートからハナを切って軽快に逃げたものの、ゴール前で捕まりクビ差の2着。単勝1.8倍と断然の一番人気に推されたマルカキセキは、中団追走も直線の伸び案外で3着どまり。

 以下、2003年のスワンS(GII)を制した父リンドシェーバー産駒ギャラントアローは、行けず好位からの競馬となり、流れ込んでの4着。昨年のこのレース2着のキーンランドスワンは、中団追走も直線伸びず5着。昨年の青函S2着の父アスワン産駒コスモラブシックは、後方侭の8着。高松宮記念(GI)5着のナイキアヘッドも後方侭の9着。昨年の小倉日経OPを2着した父タマモクロス産駒スウィートエルフは、中団追走も直線一杯となりブービーの11着に沈んだ。

 勝ったゴールデンキャストは、父が現役時代1998年のジャックルマロワ賞(仏GI)などGIを5勝し、1999年に顕彰馬に選出。種牡馬としても今年のフェブラリーS(GI)を制したメイショウボーラーや2003年のNHKマイルカップ(GI)を制したウインクリューガーなどを輩出して大成功しているタイキシャトル。母がリターンバンダム(母父Niniski)という血統構成。北海道・浦河町のバンダム牧場の生産で、馬主は「ノースヒル・グループ」の前田幸治氏。2000年のセレクトセールで2300万円で取引されている。2歳7月の小倉開催でデビューし、3戦目で初勝利。続くききょうS(OP)も連勝して一躍スターダムにのし上がったが、骨折で半年間の休養。3歳の春に復帰するも、春の短距離重賞路線はおろか、自己条件の準OPにいたるまで6戦連続で一番人気を大きく裏切るなど大敗が続き、完全なスランプに。4歳時も今一つ波に乗れずにいたが、2年ぶりとなった夏の小倉開催で復調の兆しを見せ、昨年のこのレースで待望の重賞初制覇。その後は再び不振に陥っていたが、ここ二走は得意の小倉で3着、4着とそこそこのレースを見せていた。

 ゴールデンキャストは、一年ぶりの勝利が昨年に続くこのレースの連覇に。ただ、今回はいかにも相手に恵まれた上に、開幕週の馬場で絶好の展開が味方した感。使い詰めで来ていて大幅な上積みが見込めるとも思えず、スプリンターズSではよほど恵まれないと厳しいだろう。

 ホーマンテキーラはスンナリハナに行けた上にギャラントアローが来なかったためマイペースの単騎逃げ。開幕週ということも考えれば逃げ切って当然の流れだったが、ラスト差されたのは坂で止まった分だろうか。充実してきているとはいえ、さすがに現状でGIで通用となると、やはり恵まれないと厳しいだろう。とはいえ、平坦ならGIIIクラスでも通用だろうし、まだ3歳だけに今後の成長に期待したいところ。

 マルカキセキは馬場差もあるとはいえ前走の時計に1秒も差のあったホーマンテキーラに手も足も出なかったのだから、これは坂がまったくダメ。今後は平坦コースに活路を求めないと苦しそうだ。

 ギャラントアローは絶好の最内枠もホーマンテキーラに行かれるとすごすごと引き下がって好位から。確かに控えても競馬ができないわけではないのだろうが、基本的に無理やりでも行かないと勝ちきることがありえない馬。鞍上の幸騎手、逃げ馬に乗っていてもテンに無理をしたがらない嫌いがあるのだが、この競馬をしていては常識的に勝ち目がないことに自覚があるのか。本番のスプリンターズSは意外な前残りが多いだけに、無理やりにでも行く気を見せて欲しいのだが。

 キーンランドスワンは昨年のこのレースで2着しているとはいえ、基本的には坂が苦手な馬。昨年はデキの良さでカバーしていた面があったし、状態面で一変がない限り次走も坂コースでは厳しいだろう。高松宮記念で見せ場を作ったナイキアヘッドは、今回もデキが良く映ったのだが行きっぷりサッパリで見せ場もなく終わった。もう少し走れる馬だと思うのだが。(文責:ま)