さようなら〜2004年供用停止種牡馬外伝その3「アイランドゴールドの場合」

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 JRHR日本軽種馬登録協会から2004年供用停止種牡馬一覧が公表されたのを受けて、MilkyHorse.comではニュースコンテンツ「文芸欄」の企画として、供用停止種牡馬の馬生を簡単に振り返る外伝を2002年版以来2年ぶりに連載中です。

アイランドゴールド(JPN)→2004年9月1日、用途変更

 脚部不安に泣いた「ノーザンテースト最後の傑作」候補。

 1996年新冠町関東ホースエクスプレスファーム産。父は、1982年から11年連続JRAリーディングサイアーとなるなど、素晴らしい成績を残した偉大な名種牡馬で、2004年に33歳で大往生を遂げたノーザンテースト。母は米国で6勝を挙げたウィローベイ。母の父はHyperion系High Lineの産駒で1980年のベンソン&ヘッジス金杯(=現・インターナショナルS)(英GI)、1981年のエクリプスS(英GI)、コロネーションカップ(英GI)を制した名馬Master Willieという血統。祖母のアサーティブプリンセスは、1993年の菊花賞(GI)、1994年の天皇賞・春(GI)、宝塚記念(GI)を制したビワハヤヒデ、1994年のJRAクラシック三冠馬ナリタブライアンの兄弟を輩出した名牝パシフィカスの妹という、日本でもお馴染みとなった牝系の一族である。
 JRAの名門、鈴木康弘厩舎(美浦)に入厩し、旧3歳8月の新潟開催でデビューすると、柴田善臣騎手を背に芝1000m戦を馬なりで快勝。気の早いファンからは「ノーザンテースト最後の傑作」の声もあがる。続いて中一週で臨んだ新潟3歳S(GIII)では、既に函館3歳S(GIII)を制して仕上がりの速さとスピードをアピールしていたリザーブユアハートに次ぐ2番人気に支持されたが、レースではキャリアの浅さが出てしまったのか8着と大敗してしまう。
 その後、9ヶ月の休養を経て復帰したものの、条件戦を2戦して11着、16着と大敗。結局、脚部不安を発症してそのまま現役を引退することとなった。
 現役引退後は生まれ故郷の関東ホームエクスプレスファームで種牡馬入り。2004年に初年度産駒が2歳を迎えたが、その年に用途変更の憂き目にあってしまった。初年度産駒は母アイランドブルース(母父キンググローリアス)の産駒(母は1993年の新潟3歳Sの3着馬)と母アイランドポート(母父ノーパスノーセール)の産駒(半兄にJRA1勝のアイランドフッカツ(父ファーディナンド)がいる)の2頭のみで、記者の調べた限りでは2年目の産駒は4頭いるようである。なお、初年度産駒のうち母アイランドポートの産駒であるヨシミスピードは、船橋の函館一昭厩舎厩舎に入厩し、今年の2月の開催でデビュー勝ちしている。
 半妹のアイランドパレス(父ブライアンズタイム)、半弟のアイランドサン(父ラムタラ)がそうだったように、どうもこの系統は脚部不安に悩まされる傾向にあるようで、現役時代にその素質が十分に発揮されずに終わったのは残念だった。種牡馬としても、この不景気ではプライベートな生産向けの種牡馬としてやっていくのは厳しい時代と言うことなのだろう。幸いにして産駒の1頭は勝ちあがったことではあるし、残された数少ない産駒の走りを温かく見守りたいところである。 (文責:ま)